トヨタ第二の創業(3)新生トヨタで「つながる車」 AIで提携網拡大 トヨタ自動車特集—AI自動運転・コネクテッド・IT

怒濤の2年に前進させたこと


100年に1度の大変革期を迎えているトヨタ自動車。連載1回目は豊田章男社長の戦略に重点を置き、連載2回目では戦略の重点要素であるTPS(トヨタ生産方式)や研究開発について掲載してきた。これらを踏まえ、連載3回目では自動運転に関する近年のトヨタの動きについて紹介し、トヨタの「今」を探ってみよう。

■全国ハイヤー・タクシー連合会とトヨタ自動車が「未来の日本のタクシー」実現に向け協業(2016年8月)

全国ハイヤー・タクシー連合会とトヨタ自動車が、未来の日本のタクシーの開発・導入に向けた協業を検討する覚書を締結した。誰にでも優しいユニバーサルデザインタクシーの普及や先進安全装備の充実、利用者の利便性の向上、多言語対応への協力などについて協業し、具体化を目指す。

■TRI、OSRFとロボティクス、自動運転研究で連携(2016年9月)

米国でAI(人工知能)などの研究開発を行うToyota Research Institute(TRI)は、米国の非営利団体Open Source Robotics Foundation(OSRF)と連携することを発表した。OSRFが新たに営利企業として設立した企業(OSRC)と2年間の契約を締結し、OSRCの技術チームがロボット工学やソフトウェア技術などに関し、TRIの研究活動を支援する。

■筑波大学とトヨタ自動車が共同で「未来社会工学開発研究センター」を開設(2017年4月)

筑波大学とトヨタ自動車は、地域未来の社会基盤づくりを研究開発する未来社会工学開発研究センターを、筑波大学構内に設立したと発表した。産学官連携によるオープンラボ方式を採用し、5年間の活動を予定。地域経済・社会の課題解決と未来産業創出、拠点化形成への実証研究と政策提言に取り組む。

■米TRI、ベンチャー投資を行うベンチャーキャピタルファンドを設立(2017年7月)

TRIはベンチャー企業への投資を目的としたベンチャーキャピタルファンドの設立を発表した。TRIが設立した新会社「Toyota AI Ventures」が運営し、AI、ロボティクス、自動運転・モビリティサービスおよびデータ・クラウド技術の4分野で、設立から間もない有望ベンチャー企業への投資を行っていく。TRIはファンドに1億ドル(約111億円)を投じた。

■トヨタ、米国の非営利団体ACMと協力(2017年8月)

トヨタの北米事業体であるToyota Motor North America(TMNA)とTRIは、米国の非営利団体American Center for Mobility(ACM)の取り組みにスポンサー支援を行う予定であることを公表した。

ACMはミシガン州南東部でさまざまな企業の利用を想定したコネクテッド・自動運転技術の試験場建設を進めており、TMNAとTRIは計500万ドル(約5億5600万円)を拠出するとともに、ACMの取り組みを支援する産官チームに加わる。

■トヨタ自動車、Preferred Networksに追加出資(2017年8月)

モビリティ事業分野におけるAI技術の共同研究・開発を加速させるため、トヨタ自動車は株式会社Preferred Networks(PFN、本社:東京都千代田区/ 西川徹社長)に約105億円の追加出資をすることを発表した。PFNはIoTにフォーカスしたディープラーニング(深層学習)技術のビジネス活用を目的に2014年3月に創業した企業だ。

■TRI、次世代の自動運転実験車をCESで公開(2018年1月)

TRIはラスベガスで開催された「2018 International CES」に新型実験車を公開した。車両全周200メートルの認識が可能で、センサー類をクルマのデザインと調和させ、スマートで美しい外観に仕上げた。なお、トヨタ自動車もCESでモビリティサービス専用EV「e-Palette Concept」を発表した。電動化、コネクテッド、自動運転技術を活用したMaaS(Mobility as a Service)専用次世代EVで、移動や物流、物販などさまざまなサービスに対応可能という。

■トヨタ自動車、アルベルトに出資(2018年5月)

トヨタ自動車は、ビッグデータ解析などを手掛ける株式会社アルベルトに約4億円を出資し、自動運転開発の分野で資本業務提携すると発表した。この提携でトヨタはアルベルト社のビッグデータ解析技術を活用し、AI技術の開発においてデータ分析プロセスなどを強化していく考えだ。

発表に臨むトヨタ先進技術開発カンパニーの鯉渕健常務理事(左)とアルベルト社の松本壮志代表取締役社長(右)=出典:トヨタ自動車プレスリリース
■自動運転ソフト開発のトヨタ新会社「TRI-AD」即戦力エンジニアの新規採用を開始(2018年6月)

世界トップレベルのソフトウェア企業を目指し2018年3月に東京に設立したTRI-ADが、エンジニアの採用を開始した。最高経営責任者(CEO)はGoogleで自動運転車開発に携わってきたジェームス・カフナー氏が務め、取締役会長にはロボティクスやAI開発の第一人者として活躍するギル・プラット氏が参画する予定。

■TRI、オープンソースの自動運転シミュレーター開発を支援(2018年6月)

オープンソースの自動運転シミュレーター「Car Learning to Act(CARLA)」の開発促進に向け、TRIがバルセロナ自治大学の研究センターに10万ドルを助成すると発表した。CARLAは自動運転システムの開発と検証に向けたシミュレーター・ソフトウェア。より簡単にコードや情報、データなどを共有できるようソフトウェア開発のプラットフォーム「GitHub」で公開している。

■トヨタ自動車、コネクテッドカーの本格展開を開始(2018年6月)

トヨタ自動車は、全グレードに車載通信機(DCM)を標準搭載した新型クラウンとカローラスポーツの販売を開始した。これを皮切りに今後国内で発売するほぼ全ての乗用車にDCMを搭載し、コネクテッド化を加速させる。

【参考】トヨタのコネクテッドカーについては「LINEから操作可能に!? トヨタカローラがコネクテッドカーに変貌|自動運転ラボ 」も参照。

■大学、非営利団体、ベンチャーへの出資に積極姿勢

トヨタのニュースリリースを中心に自動運転に関する話題をピックアップしてみたが、大学や非営利団体、ベンチャーへの出資や連携が圧倒的に多い印象だ。自社の利益だけでなく、社会全体の利益を追求して新たなモビリティ社会を形成していく姿勢がうかがえる。

このほかにも、東南アジア配車サービス大手Grab社とMaaS領域での提携(2018年6月)や、米レンタカー事業者Avis Budget Groupとのコネクテッドカー導入に向けたパートナーシップ(2018年3月)などまだまだ話題は尽きない。

自社系列の開発拠点も世界各地に増やしており、研究開発においては余念がない。世界を代表する自動車メーカーとして、次世代の自動車業界、ひいては自動運転業界をけん引していく未来に期待したい。

>>トヨタ第二の創業 予告編(目次)

>>トヨタ第二の創業(1)第11代社長、豊田章男65歳と夢の自動運転

>>トヨタ第二の創業(2)初心に返る 研究に巨額予算、原価低減が鍵

(閲覧中)トヨタ第二の創業(3)新生トヨタで「つながる車」 AIで提携網拡大

>>トヨタ第二の創業(4)虎視眈々…全世界に広がる研究開発拠点

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