世界のトヨタ——。100年後もその呼称で呼ばれ続けるため、トヨタ自動車が自動運転の熾烈な開発競争に立ち向かっている。IT企業なども自動運転開発に乗り出し、スタートアップ企業も世界各国で次々と先進的な技術を生み出す中、トヨタは決して慢心せず、トヨタ方式という初心も忘れずに日進月歩その技術力を高めている。
第11代・豊田章男社長の2018年3月期決算発表でのスピーチは、その一言一言に自動運転にかける覚悟がにじみ出ていた。「まさに未知の世界での生死を賭けた闘いが始まっている」。章男社長は執行部の体制にも早々に改革の手を加え、世界と戦う準備は既に整った。
特集「トヨタ 第二の創業」では、4回連載でトヨタ自動車の戦略に迫る。トヨタの中枢は今何を考え、世界で何をしているのか。(自動運転ラボ編集部)
記事の目次
トヨタ第二の創業(1)第11代社長、豊田章男62歳と夢の自動運転
「100年に1度の大変革期を勝ち抜く」―—。トヨタ自動車の2018年3月期決算発表の場で、豊田章男社長が力を込めた。章男社長が言う変革期とは何か。トヨタはこの100年に1度の戦いをどのように戦い抜くのか。特集第1回目では自動車業界と自動運転の今を紐解いた上で、章男社長のスピーチからトヨタの自動運転戦略の全貌を探る。
トヨタ第二の創業(2)初心に返る 研究に巨額予算、原価低減が鍵
トヨタは技術開発への投資に力を注ぐ一方で、肥大化するコストや無駄を抑えるため「トヨタの真骨頂はTPS(トヨタ生産方式)と原価低減」(章男社長)と足元を見つめ直し、初心に帰る姿勢も忘れていない。章男社長は、過去のトヨタと未来のトヨタの両方の姿をしっかりと見据え、交通事故死傷者ゼロを目指した自動運転技術の研究開発に取り組んでいく構えだ。トヨタの本気度はいかほどか。
トヨタ第二の創業(3)新生トヨタで「つながる車」 AIで提携網拡大
連載3回目では自動運転に関する近年のトヨタの動きについて紹介し、トヨタの「今」を探る。大学、非営利団体、ベンチャーへの出資を積極的に進め、他社・他団体を巻き込みながら主導役として自動運転開発を進める姿勢を示すトヨタ。一方で自社でもエンジニアの大量採用をし始めている。
トヨタ第二の創業(4)虎視眈々…全世界に広がる研究開発拠点
トヨタ自動車の先進技術を支えるR&D(研究開発)拠点。世界各地にさまざまなR&D拠点が設けられているが、その中でも自動運転技術に携わる拠点は日本国内に2カ所、北米に5カ所、欧州に1カ所ある。それぞれの拠点がどのような研究を行い、どのような役割を担っているのか。また、大学との連携・共同開発はどのようになっているのか。連載の最終回では、エンジニアらが活躍する舞台となる各拠点を紹介する。
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