自動運転レベル2+、レベル2++とは?

新たな市場を形成



自家用車の主力ADASとなった自動運転レベル2。自動車の縦方向と横方向の制御を同時に支援することで安全性を高める技術として、標準搭載化が進んでいる。


また、その進化バージョンとして、さらに安全性や快適性を高めたレベル2+やレベル2++も登場し、新たな市場を形成し始めている。レベル2+やレベル2++は、既存のレベル2と何が異なるのか。その違いや実用化状況について解説していく。

編集部おすすめサービス<PR>
自動車保険 スクエアbang!(一括見積もり)
「最も安い」自動車保険を選べる!見直すなら今!
新車定額!リースナブル(車のカーリース)
お好きな車が月1万円台!頭金・初期費用なし!
車業界への転職はパソナで!(転職エージェント)
転職後の平均年収837〜1,015万円!今すぐ無料登録を
タクシーアプリは「DiDi」(配車アプリ)
クーポン超充実!「無料」のチャンスも!
編集部おすすめサービス<PR>
スクエアbang!
「最も安い」自動車保険を提案!
リースナブル
新車が月々2万円から!
パソナキャリア
転職後の平均年収837〜1,015万円
タクシーアプリDiDi
クーポンが充実!「乗車無料」チャンス
ジェイエイシーリクルートメント

■自動運転レベル2

自動車の前後左右の動きを同時にサポート

自動運転レベル2は、アダプティブクルーズコントロールやレーンキープアシストなどを組み合わせることで、アクセル・ブレーキ操作に相当する自動車の縦(前後)方向の制御と、ハンドル操作に相当する横(左右)方向の制御を同時にサポートし、安全性を高める技術を指す。

国際標準に最も近い米自動車技術会SAEが策定した基準では、レベル2は「部分運転自動化」とされ、「運転自動化システムが動的運転タスクの縦方向及び横方向両方の車両運動制御のサブタスクを特定の限定領域において持続的に実行。この際、運転者は動的運転タスクのサブタスクである対象物・事象の検知及び応答を完了し、システムを監督することが期待される」と定義されている。


出典:自動車技術会

システムが自動車の縦・横方向の動的運転タスクを継続的に実行するものの、あくまで人間の運転をアシスト・サポートする機能に留まるため、ドライバーは常に車両の挙動や周囲の状況を監視しなければならない――ということだ。自律走行可能な技術ではないことに注意が必要だ。

また、安全運転の義務を定めた道路交通法第70条において「車両等の運転者は、当該車両等のハンドル、ブレーキその他の装置を確実に操作し、かつ、道路、交通及び当該車両等の状況に応じ、他人に危害を及ぼさないような速度と方法で運転しなければならない」と規定されているため、ドライバーはハンドルなどの装置を確実に操作できる状態であることが原則として求められる。

■自動運転レベル2+

ハンドルから手を放せる水準まで安全性を高めたもの

この規定に少しだけメスを入れたものがレベル2+だ。レベル2+は、レベル2機能を高度化して安全性を高めることで、一定条件下でハンドルから手を放す「ハンズオフ(ハンズフリー)」運転を実現する技術を指す。


なお、レベル2+と、この後に解説するレベル2++については、SAEなどによる公式的な定義は存在しない。開発メーカーなどの業界側が、より高度なシステムを既存技術(既存のレベル2)と区別するために設定した独自分類となる。

レベル2+は、自動車の前後左右のシステム制御をより高度に行うことで、ハンドルから手を放す程度の余裕を生み出したものだ。

あくまでADASであり、ドライバーは常に車両周囲の状況を監視する必要があるが、ハンズオフシステム作動中は高い安全性が確保されており、道路上の落下物などイレギュラーなシーンに遭遇しない限り、咄嗟にハンドルを握らなければならない――といったことはそうそう発生しないように設計されている。

多くの場合、レベル2+システムが作動するODD(運行設計領域)は高速道路をはじめとした自動車専用道路に限られている。交差点や歩行者が介在する複雑な環境下でハンズオフを実現するのはハードルが高いため、歩行者がおらず交差点もなく、一定の速度域で安定して走行し続けられる高速道路が向いているのだ。

■自動運転レベル2++

「どこでもハンズオフ」が可能に

このレベル2+をさらに進化させたものがレベル2++だ。高速道路に限られていたハンズオフ走行可能エリアを、市街地などにも拡大したものがレベル2++と呼ぶ。

市街地への拡大は、事実上エリア制限なしとなる。都市部の片側4車線道路でも田舎の1車線道路でも、どのような道路環境であってもハンズオフ運転を可能にする技術となる。

厳密な定義がないため、開発メーカーによっては中央線などの車線があることが条件に付されるケースもありそうだが、基本的には現在地から目的地に至るまで、ハンズオフで走行可能な技術を指すものと解される。

この「どこでもハンズオフ」技術を実現するには、従来の自動運転技術ではまず不可能だ。従来のルールベースに基づく自動運転技術は、走行エリア全域を高精度3次元地図でマッピングし、その走行環境におけるさまざまな注意ポイントを事前にプログラミングすることで安全な走行を実現する仕組みとなっている。

つまり、事前にしっかりと調査した場所しか走行できないため、市街地全域など「どこでも」走行可能な技術を作り上げるには、すべての道路を緻密に調査しなければならず、現実的とは言えない。

この現実的ではない「どこでもハンズオフ」を可能にしたのは、エンドツーエンド(E2E)モデルに基づく最新の自動運転技術だ。

E2Eは、センサーが取得した情報をもとにAIがそのまま認知・判断を一体的に行う仕組みで、事前マッピングの必要もなく、柔軟な走行を実現する。この高度な技術を採用したものがレベル2++だ。

厳密な定義ではないが、国土交通省の最新の資料では「ドライバー関与をほぼ必要としない高度な運転支援」と位置付けており、複雑な交通環境下における高精度走行を実現できる――と紹介されている。

■レベル2+搭載のADAS

日産:ProPILOT2.0(プロパイロット2.0)

国内メーカー初のハンズオフは、日産が2019年に実用化した「ProPILOT2.0(プロパイロット 2.0)」だ。高精度3次元地図やカメラをはじめとしたセンサー群、高精度な衛星測位技術などにより、高速道路限定で、最大時速120キロまでハンズオフ走行を可能にしている。先行車がいない場合は、時速30キロ以上に限ってドライバーがセットした車速で定速走行する。

プロパイロット 2.0は、当初はスカイラインに設定されていたが、現在の設定車種はアリア、リーフ、セレナとなっている。

トヨタ:アドバンスト ドライブ(渋滞時支援)

トヨタは、高速道路の渋滞時限定でハンズオフを可能にする「アドバンスト ドライブ(渋滞時支援)」を実用化している。

時速0~40キロの渋滞時、レーダークルーズコントロールとレーントレーシングアシスト作動中にドライバーが前を向いているなど一定の条件を満たすとシステムを作動できる。

搭載車種は、アルファード、ヴェルファイア、ヴォクシー、ノア、クラウン、クラウン(エステート・クロスオーバー、スポーツ)、MIRAI、bZ4X、bZ4X Touring、RAV4、ランドクルーザー250、センチュリーと幅広い。

なお、かつては時速5~125キロまで対応した「Advanced Drive」をMIRAIとレクサスLSに設定していたが、現在は搭載できないようだ。

ホンダ:Honda SENSING Elite/Honda SENSING 360+

ホンダが発売したレベル3乗用車「新型LEGEND」=出典:ホンダプレスリリース

ホンダは2021年3月、ハンズオフを可能にする最新ADAS「Honda SENSING Elite(ホンダ センシングエリート)」を搭載した新型レジェンドを発売した。ハンズオフとともに、レベル3技術となるアイズオフを実現した「Traffic Jam Pilot(トラフィックジャムパイロット)」を備えていることが大きな話題となった。

Eliteは限定販売のレジェンドに限られていたため現在購入不可だが、代わって2025年に登場したのが「Honda SENSING 360+」だ。ハンズオフは時速135キロまで対応しているという。

今のところアコード e:HEVのみの展開となっているが、今後拡大していくものと思われる。

スバル:EyeSightX(アイサイトX)

スバルは、時速0~50キロの高速道路渋滞時にハンズオフ走行を可能にする「アイサイトX」を2020年に実用化している。

搭載車種はフォレスター、レイバック、クロストレック、レヴォーグ、WRX S4の5車種だ。トヨタ同様、渋滞時限定とすることでまずは普及させていく戦略と思われる。

海外では米国勢がハンズオフ機能に注力

米国勢では、GMのSuper CruiseやフォードのBlueCruise、RivianのRivian Driver+などが自動車専用道路において制限速度を満たすハンズオフ走行を実現している。

GMは自動車専用道路以外の幹線道路や一部一般道などにも拡大しており、北米60万マイル以上の道路に対応済みとしている。レベル2++に近づいているようだ。

欧州では、BMWが2019年以降に発売したほぼすべての車種にハンズ・オフ機能付き渋滞運転支援機能を搭載している。日本の高速道路にも対応している点がポイントだ。

メルセデスベンツは、ホンダのレジェンド同様、レベル3システム「DRIVE PILOT」の一環としてSクラスとEQSでハンズオフ走行を可能にしている。

手放し運転(ハンズオフ)ができる車種・機能一覧【トヨタ・ホンダ・日産・スバル】欧米車種も

■レベル2++搭載のADAS

レベル2++の先駆けはテスラ

レベル2++の先駆けは、米テスラのFSD(Supervised)だ。テスラは早くからE2E開発に着手しており、市街地を含むレベル2を早期に実現していた。

当初は、ハンドルから手を放すと警告が鳴り、システムが解除される安全設計を施していたが、2025年ごろのアップデートにより、車内のドライバーモニタリングシステムでドライバーの挙動を監視することで、ハンドルから手を放す運転が可能になった。

FSDは有料オプションとしてすべてのテスラ車種に搭載できる。北米ではおそらくほぼすべての公道でハンズオフ走行を可能にしているものと思われる。

海外では、2026年6月時点で、メキシコ、プエルトリコ、中国、オーストラリア、ニュージーランド、韓国、オランダ、リトアニア、エストニア、デンマーク、ベルギーでFSDの利用が可能となっているが、そのすべてでハンズオフ機能も解放されているかは不明だ。

日本では2025年にFSD実装に向けた公道実証を本格化させており、早ければ2026年中の実用化を計画しているようだ。

冷静に考えて、テスラの「日本で自動運転」は実現する?

中国勢も一気に台頭

中国勢では、Huawei(ファーウェイ)のADAS「Huawei ADS 3.3.2」を搭載した各種モデルをはじめ、XpengやBYD、NIOといった新興EV勢がレベル2++の開発・実装を進めている。

ファーウェイは「ハーモニー・インテリジェント・モビリティ・アライアンス(HIMA)」を立ち上げ、自動車メーカーとの提携・共同ブランド設立を推し進めており、AITOやLuxeed、Stelato、Maextroなど、数々のブランドが立ちあがっている。

中国では、こうした新興勢を中心に、レベル2++の実装が大きく進んでいるようだ。

中国Huawei、自動運転で「コップの水」チャレンジ成功

日産は2027年度の実装を計画

オールド系自動車メーカーでは、日産が2027年度を目途にレベル2++を実用化する計画を発表している。パートナーシップを結ぶ英Wayveの技術と自社技術を融合した次世代プロパイロットの実装を開始する予定としている。

自動運転、日産が世界初「自家用車レベル4」発売へ

■レベル2++の未来

その後の進化は三者三様に?

ADASとは言え、広域でハンズオフ走行を可能にするレベル2++は、野放し状態にしておくと精度の低い「なんちゃってレベル2++」が蔓延して事故が多発する――という懸念もある。正しい利用方法を啓発する必要もある。実運用を考えると、規制・ルール上放置するわけにはいかないのだ。

現在国際基準策定に向けた動きがあり、日本国内でも優良認定制度創設に向け議論が始まった。こうした動向にもしっかりと注目したい。

また、レベル2++実装後の各社の戦略も気になるところだ。E2E技術の先には、当然自動運転が存在する。レベル2++を「どこでもレベル3」に進化させ、じっくりと磨きをかけていくか。規制などを踏まえ、一定の制限を付したうえで「レベル4」として実績を積むか。あくまで「どこでも自動運転」となるレベル5を目指すか。

さまざまな縛りが出てくる可能性が高いが、各社・各国で異なる戦略が採用される可能性が高い。それぞれの動向に要注目だ。

■【まとめ】レベル2++が業界にムーブメントを起こす

自動車メーカー各社がE2E開発に乗り出していることはほぼ間違いない。これまでは、レベル2+が2030年前後における自家用車の主力ADASになると思われていたが、開発状況次第ではレベル2++が大きなムーブメントを引き起こし、シェアを拡大していく可能性も出てきた。

システムの精度・完成度次第では、一気にレベル4やレベル5への道も拓かれることになる。システムの価格設定に拠るところも大きいが、今後数年間で自家用車のコンピュータ化が大幅に進む可能性がある。業界の動向に改めて注目したいところだ。

【参考】関連記事としては「自動運転が可能な車種一覧(タイプ別)」も参照。

記事監修:下山 哲平
(株式会社ストロボ代表取締役社長/自動運転ラボ発行人)

大手デジタルマーケティングエージェンシーのアイレップにて取締役CSO(Chief Solutions Officer)として、SEO・コンテンツマーケティング等の事業開発に従事。JV設立やM&Aによる新規事業開発をリードし、在任時、年商100億から700億規模への急拡大を果たす。2016年、大手企業におけるデジタルトランスフォーメーション支援すべく、株式会社ストロボを設立し、設立5年でグループ6社へと拡大。2018年5月、自動車産業×デジタルトランスフォーメーションの一手として、自動運転領域メディア「自動運転ラボ」を立ち上げ、業界最大級のメディアに成長させる。講演実績も多く、早くもあらゆる自動運転系の技術や企業の最新情報が最も集まる存在に。(登壇情報
【著書】
自動運転&MaaSビジネス参入ガイド
“未来予測”による研究開発テーマ創出の仕方(共著)




関連記事