自動運転AIの実力、国が採点 レベル2++で「優良認定制度」

高市政権、開発や普及を後押し



出典:首相官邸

高市政権下で発足した国土交通省自動運転社会実現本部が、自動運転レベル2++の優良認定制度創設に向け動き出した。自動運転時代を見据え、国が自動運転AIの実力を採点して「お墨付き」を与え、開発と受容性を促進する狙いがあるようだ。

そもそも、自動運転レベル2++とはどのようなものなのか。その概要とともに最新動向に迫る。


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■自動運転レベル2++とは?

レベル2++は「ドライバー関与をほぼ必要としない高度な運転支援」

自動運転レベル2++に明確な定義は存在しないが、国土交通省は「ドライバー関与をほぼ必要としない高度な運転支援」と位置付けており、複雑な交通環境下における高精度走行を実現できるとしている。

そもそも、自動運転レベルを定義するSAE基準に「+」というものは存在しなかったが、レベル2の機能向上とともにその技術を区別化する動きが出始め、いつしか「レベル2+」「レベル2++」という概念が誕生した。

▼自動運転社会の早期実現に向けた当面の方策について
https://www.mlit.go.jp/jidosha/content/001995965.pdf

出典:国土交通省公開資料(※クリックorタップすると拡大できます)

レベル2は、アダプティブクルーズコントロール×レーンキープアシストなど、自動車の縦方向と横方向両方の制御を同時にサポートする機能だ。あくまでサポートであり、ドライバーは常にハンドルを握り、前方を監視しなければならない。


このレベル2を高度化し、ハンドルから手を放せるほどの安全性を備えたものがレベル2+となる。いわゆる「ハンズオフ」運転を可能にするADASで、ドライバーは従来通り運転の責任を負い、前方を監視し続けなければならないが、ハンドルから手を放す程度にはリラックスして運転することができる。

レベル2+は多くの場合、「高速道路限定」「時速60キロ以下限定」などの制限が付されているが、こうした制限の大半を排除したものがレベル2++となる。

高速道路のみならず、一般道路も網羅し、制限速度を満たす形でハンズオフ運転を実現する領域だ。自動運転ではないため精度面で甘いところが残っている可能性もあるが、現在地から目的地に至るまでハンズオフ運転を継続可能な水準に相当する。

汎用性の高い自動運転につながる技術

あくまで運転支援システムであるものの、レベル2++が実装されれば運転負担は大幅に軽減され、交通事故防止にも大きく寄与していくことが期待される。汎用性の高い自動運転につながっていく革新的な技術なのだ。

それゆえ、国は優良認定制度を創設し、自動車メーカーにおける開発・普及を促進するとともに、自動運転車両に対する社会の認知度と受容性を高める方針としている。

具体策は不明だが、金子恭之国土交通大臣も正式に優良認定制度創設の指示を出した。自動運転社会実現本部はこの6月に中間とりまとめ案を発表する。次回の同本部開催は12月が予定されているため、おそらくそれまでにワーキンググループなどで素案を取りまとめていくものと思われる。

搭載車両に「レベル2++認定車」のような名称を付記するだけでは効果は見込めないため、オーナー向けの補助金など何らかの優遇措置が盛り込まれるのか気になるところだ。

保険会社などの動きにも注目

また、保険会社にも動きが出るか注目したい。海外では、米LemonadeがテスラのFSDを対象に保険料を50%オフするサービスをインディアナ州で開始した。中国BYDは、自社製品の都市部NOA(Navigate on Autopilot)向けに事故を補償する制度導入を発表している。

日本でも過去、レベル3使用時の事故はノーカウントとして扱い、保険料を据え置く商品などが販売されている。

こうした保険面での新商品も、普及に大きく貢献するものと思われる。レベル2++を契機に周辺業界にも動きが出るのか、要注目だ。

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規制面の動きにも注目

一方、規制面も気になるところだ。ADASはあくまでドライバーの運転をサポートする役割であるため、本来的には許認可は必要ないものとなるが、技術が高度化すればするほど、車両制御・運転行動に及ぼす影響は大きなものへと変わっていく。

そのため、品質や安全基準を担保するため、一定の自主規格や業界規格が定められるのが一般的だ。安全上特に重視するべきものについては、道路運送車両法上の保安基準に盛り込まれることもある。

多くの場合、国際基準と連動する形で保安基準に盛り込まれるようだ。レベル2に相当する機能「DCAS(Driver Control Assistance System)」については国連自動車基準調和世界フォーラム(WP29)でも議題に挙げられており、高速道路や一般道路における車線維持・変更の支援機能(ハンズオン)に対応した基準が2024年に協定規則第171号として成立しており、日本では同年9月に国内基準(保安基準)が改正・公布された。

高速道路におけるハンズオフ運転時の車線維持の支援機能などを追加する改正案も2025年3月に成立しており、国内法令に取り入れていくとしている。

レベル2++は従来とは異なりエンドツーエンド(E2E)モデルのAIが認知・判断を行う。その判断根拠はブラックボックス化しやすく、万が一事故などが発生した際、原因究明が困難となる可能性も指摘されている。

このE2Eに関する国際基準は現状設けられておらず、世界各国で対応が遅れている。こうした点についても、開発企業の義務などを明確にしていく必要がありそうだ。

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レベル2++対象車種は?

ハンズオフ可能なレベル2+車両は各自動車メーカーが実用化済みだが、レベル2++対象車両は限られている。代表格はテスラのFSD(Supervised)で、北米をはじめ、メキシコ、プエルトリコ、中国、オーストラリア、ニュージーランド、韓国、オランダ、リトアニア、エストニア、デンマーク、ベルギーまで対応エリアを拡大している。道路の種別に関わらず各国でハンズオフ運転を実現している。

中国では、AITOなどのファーウェイ系ブランドやXpeng、BYD、NIOといった新興勢が実現しているようだ。規制上、中国内全域ではなく、一定の都市などで区切られているシステムもあるものと思われるが、E2Eに基づく柔軟なハンズオフ運転を実現している。

日本では、日産が英Wayveの技術を活用し、2027年度内にレベル2++に相当する次世代プロパイロットの販売・実装を開始する計画だ。

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■【まとめ】レベル2++が瞬く間に普及する可能性も

現状、レベル2++開発メーカーや対象車種は限られているが、今後予想以上の速度で実装が進んでいく可能性が高い。多くはフラッグシップモデルが対象となりそうだが、並行して進められる自動運転化の進捗次第では、レベル2++は瞬く間に普及技術水準に落とし込まれることも考えられる。

国はどのような優良認定制度を導入するのか。日産以外で国内に新たな動きが出てくるのか。各社の動向にも注目したい。

記事監修:下山 哲平
(株式会社ストロボ代表取締役社長/自動運転ラボ発行人)

大手デジタルマーケティングエージェンシーのアイレップにて取締役CSO(Chief Solutions Officer)として、SEO・コンテンツマーケティング等の事業開発に従事。JV設立やM&Aによる新規事業開発をリードし、在任時、年商100億から700億規模への急拡大を果たす。2016年、大手企業におけるデジタルトランスフォーメーション支援すべく、株式会社ストロボを設立し、設立5年でグループ6社へと拡大。2018年5月、自動車産業×デジタルトランスフォーメーションの一手として、自動運転領域メディア「自動運転ラボ」を立ち上げ、業界最大級のメディアに成長させる。講演実績も多く、早くもあらゆる自動運転系の技術や企業の最新情報が最も集まる存在に。(登壇情報
【著書】
自動運転&MaaSビジネス参入ガイド
“未来予測”による研究開発テーマ創出の仕方(共著)




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