ラストワンマイル向けの物流・配送ロボット10選

Amazonや京東集団、楽天などEC大手が積極開発



出典:各社プレスリリースの画像などから作成

増加し続けるインターネット通販などの取扱量が、物流業界のキャパシティを超えつつある。EC大手の米アマゾンの配達から佐川急便が撤退した記憶は未だ鮮明で、ヤマト運輸も当日配送から撤退したほか、運賃値上げ交渉を行うなど対応に苦慮している。

特にラストワンマイルの配送は死活問題で、ロッカーや宅配ボックスの設置により再配達の労務を減らすなど、あの手この手で効率化を図っている。


そんなラストワンマイル問題だが、打開策の一つとして期待されているのが自動運転技術を搭載した「配送ロボット」だ。

ドライバーの代わりに注文者へ荷物などを届ける配送ロボットは、物流業界の救世主になることができるのか。今回は、各社の開発状況や実用化に向けた取り組み状況などを調べてみた。

【サービス紹介】自動運転ラボを運営する株式会社ストロボは、EC・宅配領域での自動運転技術の活用を支援する「自動運転宅配導入支援・PoC・実証実験コンサルティングサービス」を展開している。詳しくは「ストロボ、小売・飲食業の「無人宅配」導入を支援!自動運転技術で人手不足問題など解消」を参照。

■ZMP(日本):「CarriRo Deli」実用化へ大きく前進
出典:ZMPプレスリリース

国内ロボットベンチャーのZMPが開発した宅配ロボット「CarriRo Deli(キャリロデリ)」は、荷物を搭載できるボックスを搭載し、自動運転技術を応用した宅配ロボット。宅配サービスを実現するロボット本体と、ユーザー用・店舗用アプリ、ITサービスをパッケージ化して提供している。

LiDAR(ライダー)とカメラで周囲環境を360度認識しながら、最大時速6キロで自動走行することが可能できる。65×95×96センチメートルの小ぶりなサイズで、最大50キログラムを積載できる。スマホの注文画面のQRコードを読み取って積載されているロッカーのカギを解除する仕組み。搭載するロッカーは用途に応じて載せ替え可能で、1ボックス、4ボックス、8ボックスなど運ぶサイズに応じて選択できる。


前面にはロボットの顔のようなデザインが施されており、目の部分や後部のブレーキライトに複数のパターンを表示できるLEDパネルを設置することで、外部とのコミュニケーションを図ることもできるという。

■Hakobot(日本):ホリエモンが支援 三笠製作所も業務提携し開発力強化
出典:Hakobotプレスリリース

自動運転技術を駆使したラストワンマイルを埋める自動配送ロボットの開発を目指し、2018年5月に設立されたスタートアップ。アドバイザーにはロケット事業などを手がける堀江貴文氏が就任し、大きな話題となった。

同年11月には実証実験用端末初号機の開発が完了し、「ホリエモン祭 in 名古屋」の席でお披露目されたほか、実証実験に備え開発体制を強化するため、株式会社三笠製作所と業務提携を行うことも発表された。初号機はその後、独ベルリンの在ドイツ日本国大使館で開催された天皇誕生日祝賀レセプションや、三笠製作所が主催したセミナーでもお披露目された。

ロボットの通称は社名と同じ「Hakobot(ハコボット)」で、GPS(全地球測位システム)などを使って自分の位置を認識し、LiDAR(ライダー)などのセンサーや画像認識などで周囲の状況を把握しながら無人配送を実現する。利用者のニーズに応じてカメラやセンサーを追加することで、配送以外の用途にも対応できるという。

■AMAZON(アメリカ):実証進む「Amazon Scout」
出典:AMAZONプレスリリース

米EC大手のアマゾンも、自動配送ロボットの開発に力を入れている。2019年1月には、同社が開発する配送ロボット「Amazon Scout」の宅配実証実験に着手することを発表した。

6つの車輪がついた40センチ四方程度の小型タイプで、アマゾンで注文された商品を自動で顧客の元まで届ける。アプリと連動し、配達先に到着するとアマゾン・スカウトの上部にあるカバーが開き、利用者が注文品を取ると自動で閉まる設計という。本体には商品を収納するスペースや、障害物などを検知するセンサーなどを備えている。

■Starship Technologies(アメリカ):2018年4月に英国で実用化 2019年には米国でもデビュー
出典:Starship Technologiesプレスリリース

エストニアと米サンフランシスコに本社を構えるスタートアップのスターシップ・テクノロジーズ。2014年の設立以来試作機の実証を進め、2017年1月には1720万ドル(約19億円)の資金調達を発表。同年10月には実証走行距離が10万キロを超え、2018年4月、満を持して英国のミルトン・キーンズで自動運転ロボットによる商品配送を開始した。

2019年1月には米ジョージメイソン大学でもサービスが開始されており、同年2月時点で3万回の配送を行ったという。

配送用のロボットは6輪の車輪で動くボックス型で、カメラやセンサー、通信機器、バッテリーなどを内蔵している。ボディの蓋を開けると、荷物を収納するスペースがあり、18キロまでの荷物が配送可能という。利用者がスマートフォンのアプリで注文すると、小包や食料品などが店舗から直接配送される仕組みだ。

スターシップテクノロジーズに対しては、2019年8月にリクルートが出資を行ったことが明らかになっている。出資を受け、同社は開発する自動運転ロボットの世界展開を加速させ考えで、各都市の大学での導入にも力を入れていく。

【参考】スターシップの配送ロボットについては「米スターシップ・テクノロジーズ、イギリスで自動運転ロボットによる商品配送スタート」も参照。リクルートからの出資については「リクルートも参戦!自動運転ビジネスの大本命「配達ロボ」の今」も参照。

Nuro(アメリカ):大手スーパーと協力し配送プロジェクト着手 SVFから巨額出資も
出典:Nuroプレスリリース

Googleの自動運転車開発チームに所属していたエンジニアが2017年に立ち上げた米スタートアップのNuroは、人が乗れそうなサイズの配送用自動運転車「R1」の開発を進めている。

2018年6月には、米スーパー大手のクローガーと協力し、R1などで無人配達を行うプロジェクトに着手することを発表した。当初はトヨタのプリウスをベースに同社が改造した車両でテストし、12月からはR1に切り替えて運用している。

2019年2月には、ソフトバンクビジョンファンド(SVF)から9.4億ドル(約104億円)の資金調達を行ったことが報じられている。これをもとに配送サービスの拡大などを図っていく構えのようだ。

■京東集団(中国):無人配送ロボ実用化 楽天と提携発表
出典:京東集団プレスリリース

中国EC大手の京東集団は、同国で自動運転開発を手掛ける2017年創業のスタートアップ「Go Further AI」と共同で無人配送ロボット「超影」を開発した。すでに京東の配送ステーションで稼働している。

超影は高さ1.6メートルのやや縦長のボックスタイプで、最高時速は15~18キロメートル、最大200キロまで積載することができるという。

2019年2月には、日本のEC大手の楽天株式会社と物流分野で提携することを発表している。京東が開発した超影やドローンを、楽天が日本国内で構築する無人配送ソリューションに導入する。導入するロボットは、縦1.7×高さ1.6×幅0.75メートルのサイズで、最大積載量は50キログラム。

楽天は2016年にドローン配送ソリューションを提供する「楽天ドローン」サービスを開始し、企業や自治体と連携した実証実験や試験的なサービス提供を通じて実績を重ねており、2018年には、ドローンとUGVを組み合わせた配送実験を初めて実施し、日本の物流分野におけるラストワンマイルの課題解決に向けて動いている。

■Continental(ドイツ):自動運転車両に乗った犬型ロボットが荷物を配達
出典:Continentalプレスリリース

独自動車部品メーカー大手のコンチネンタルは、CES 2019でラストワンマイル向けの独創的なコンセプトを打ち出した。自動運転EVと犬型ロボットを組み合わせた配送システムだ。

同社が開発を進める小型バスタイプの無人運転車両「CUbE」に、犬型の配達ロボット「ANYmal」が複数搭乗し、現場に到着すると犬型ロボットがそれぞれ荷物を背負って車両から降り、利用者に荷物を届ける仕組み。

CUbEを昼間は配送車両として、夜間は無人運転タクシーとして活用するなど、さまざまな活用方法が盛り込まれた斬新なアイデアだ。

■Deutsche Post AG(ドイツ):追従型配送ロボット「Post BOT」開発
出典:Deutsche Post AGプレスリリース

ドイツで郵便・物流を担う多国籍企業ドイツポストも、エフィデンス同様追従運転や自律走行が可能な配送ロボット「Post BOT」を開発している。高さ150×幅70×長さ120センチのボックスタイプで、2018年9月の横浜ランドマークタワー、同年10月に札幌市で行われた各実証実験で使用されている。

■Effidence(フランス):追従型配送ロボット「EffiBOT」開発
出典:Effidenceプレスリリース

仏ロボットメーカーのエフィデンスは、追従運転や自律走行が可能な配送ロボット「EffiBOT」を開発している。電気モーターで駆動し、事前に認証した人の後ろを追従する機能を備える。高さ60×幅67×長さ145センチの台車のようなタイプで、最大積載重量は30キログラム、最高時速は6キロメートル。

2018年9月に三菱地所が横浜ランドマークタワーで実施した「警備・清掃・運搬ロボットを活用した実証実験」で日本初上陸したほか、同年10月に札幌市の中心市街地で行われた「日本初の人追従・自走式の配送ロボットの公道実証実験」でも使用され、買い物客の後を追従したり、自動運転モードに切り替えると自動でスタート地点のホテルに帰還したようだ。

■e-Novia(イタリア):2輪タイプの「YAPE」イタリアなどで実証中
出典:e-Noviaプレスリリース

イタリアのミラノに本社を構えるe-Noviaは、2輪タイプの配送用ロボット「YAPE」を開発し、実証を進めている。車いすのように横に並ぶ2輪でバランスを取りながら自動運転する小型の車両で、急こう配や石畳のような路面も走行可能という。

最大積載量は70キロで、最新の顔認証システムなどで利用者を識別する。DroneFutureAviation社が独占取扱権を有しており、2019年1月には、日本郵便がYAPEを利用し、自動運転による無人搬送の実証実験を福島県の南相馬市と浪江町で実施することを発表している。

■【まとめ】大型、小型タイプの差別化進む 日本でも実証実験に向けたガイドライン策定で実用化を促進

大型サイズのものから小型サイズのものまでさまざまな開発が進められているが、大型タイプは道路、小型タイプは歩道や施設内を走行するなど、用途によって差別化も進みそうだ。

コンチネンタルの発想はその両方を取り込んでおり、大型タイプが中長距離を配送し、住宅エリアで小型タイプが各配達先を回るといった配送方法も、今後浸透していく可能性がありそうだ。

物流業界が人手不足やコストに苦しむ中、インターネット通販の取扱量はいまだ増加傾向にある。需要過多の業界において、新技術を商用化しやすいメリットも働き、開発や実用化に向けた動きはさらに加速しそうだ。

こういった状況に、日本政府も配送ロボットの実証実験に向けたガイドラインの策定に乗り出すようだ。これまでノールールだった自動配送ロボット実証に関する指針を盛り込んだ新たな成長戦略を2019年夏ごろに策定する見込みという。

【参考】関連記事としては「ラストワンマイル系の物流ソリューション・サービスまとめ」も参照。


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