未来決する「革新的事業活動に関する実行計画」 自動運転レベル4や空飛ぶクルマお披露目なるか

東京オリンピックが一つの契機に


出典:首相官邸

官民連携のもと第4次産業革命をはじめとする将来の成長分野への未来投資戦略を取りまとめる未来投資会議。2020年を大きな目標に掲げており、そのロードマップが「革新的事業活動に関する実行計画」に記されている。

  1. 自動運転車の実現はいつから?
  2. 空飛ぶクルマとは?
  3. 【日本版】自動運転開発を手掛ける主要企業・会社総まとめ
  4. MaaSとは? 読み方や意味・仕組み、サービス・導入事例まとめ

自動運転分野は「次世代モビリティ・システムの構築」において、「無人自動運転移動サービスなどの実現」など5項目に分けて掲載されている。今回は5項目それぞれに目を通し、どのようなスケジュールで計画が進んでいるのか、またどのようなメンバーが実証実験を行っているのかなどをまとめてみた。







■実証プロジェクトの円滑・迅速な推進
無人自動運転移動サービスなどの実現

無人自動運転移動サービスを2020年度に実現することを目指し、より実際のニーズに近い形態での実証実験を実施していく。2020年度に社会実装した後、2025年度までにサービスの高度化を図っていく。

また、2020年東京オリンピック・パラリンピック競技大会を見据え、信号情報を車両と通信するインフラの整備や、磁気マーカー敷設、路車間通信の整備などの環境整備を実施するほか、自動走行に係る官民協議会における公道実証プロジェクトにより得られた実証の成果・データを関係者間で共有し、事業化に向けた実証の更なる高度化の推進していく。

2017年度から行われている中山間地域における道の駅などを拠点とした自動運転サービスの実証実験では、使用車両に自動運転レベル4(高度運転自動化)で自律走行可能な株式会社ディー・エヌ・エー(DeNA)の6人乗りバスや、専用空間でレベル4、混在交通下ではレベル2(部分運転自動化)で走行する先進モビリティ株式会社の20人乗りバス、ヤマハ発動機株式会社の7人乗り乗用車、アイサンテクノロジー株式会社の4人乗り乗用車が採用されており、新進気鋭の企業の活躍も目立っている。

東京オリンピック・パラリンピックに向けては、一般社団法人日本自動車工業会がトヨタ自動車をはじめとする自動車メーカー10社による合計80台の自動運転車の公道実証実験を東京オリンピック直前に実施することを発表しており、世界の注目が集まる舞台で日本の自動運転技術が大々的に披露される予定だ。

トラックの隊列走行の実現

高速道路でのトラックの隊列走行の商業化のための議論を推進するほか、2018年10月までに隊列走行技術を確立し、後続無人隊列システムの実証を行う。2020年度からは高速道路の走行距離や走行可能範囲を拡大していくこととしている。

また、2018年1月に後続有人による実証実験も開始し、協調型車間距離維持支援システム(CACC)や社会受容性の検証を行っていくほか、2019年10月までに隊列走行に用いる技術や実証実験の成果、運用ルール、他の走行車両への影響軽減の観点も含め、インフラ面などの事業環境を検討し、2021年までに後続車有人システムの商業化を目指すこととしている。

隊列走行の実証実験は、豊田通商を中心にいすゞや日野、三菱ふそう、UDトラックス、先進モビリティ、ジェイテクト、ナブテスコAM、ワブコジャパン、日本信号、ヤマト運輸、佐川急便、日本通運、全日本トラック協会が取り組んでいる。

【参考】トラックの隊列走行については「トヨタ退職後に起業…先進モビリティと豊田通商の自動運転追従トラックとは?」も参照。

■自動運転の実現に向けた制度整備

「自動運転に係る制度整備大綱」に基づく具体的な法制度の整備を進め、2018年度中に安全性に関する要件や安全性確保のためのガイドラインを策定するとしており、同年9月に国土交通省が「自動運転車の安全技術ガイドライン」を取りまとめている。今後、新たな技術に係る具体的な安全基準について国際基準策定をリードしつつ段階的に策定していくこととしている。

交通ルールに関しては、既存の運転者の義務の見直しなどについて、次期通常国会における法改正の要否も含め検討していく。また、責任関係では、EDR(Event Data Recorder、イベントデータレコーダー)などのデータ記録装置の設置義務化やデータの記録機能の在り方の検討を進めていく。

【参考】国土交通省が発表した「自動運転車の安全技術ガイドライン」の公式資料はこちらを参照(PDF)。EDRについては「EDRとは?CDRとは? ゼロから分かる事故データ記録装置 AI自動運転車にも装着義務化へ」も参照。

■技術開発の推進と協調領域の深化・拡大など

自動運転の安全性評価用のシナリオの作成や事故・インシデントに関するシナリオのデータ共有の在り方について2019年度をめどに検討していくほか、自動運転地図の実用化に向けた地図関連データの整備や海外展開に向けた国際連携の推進、高速道路における自動走行地図の実用化、一般道路における自動走行地図の整備方針を固めていく。ダイナミックマップの自動運転以外での活用やプローブ情報の活用方法、データ収集・配信機能の在り方の検討及び方針についても検討していく。

通信分野では、「5G周波数確保に向けた基本戦略の取りまとめ」を踏まえた交通分野などでの具体的な利活用を想定した総合的な実証実験の実施、国際標準化活動への参画、電波利用環境の整備などを進め、2020年度に社会実装を目指すこととしている。

5Gの開発においては、NTTグループやソフトバンク、KDDIのキャリア大手を中心に研究や実証が進められている。

【参考】5Gについては「自動運転とデータ通信…V2IやV2V、5Gなどの基礎解説」も参照。

■次世代モビリティ・システムの構築に向けた新たな取り組み

首都圏で先行して、運行情報などのオープンデータを活用した情報提供の実証実験を2018年度に実施し、2019年度から首都圏以外にも拡大していく方針。

ドローンをはじめとした小型無人機は、航空法に基づく許可・承認の審査要領を改訂し、2018年度から山間部などにおける荷物配送などの本格展開を図っていく。

このほか、宅配ロボットや自動運転車椅子などの自動運転型のパーソナルモビリティに関する交通ルール上の取扱いについて検討するほか、世界に先駆けた「空飛ぶクルマ」の実現に向けた官民協議会を2018年8月に立上げており、ロードマップの策定を進めている。

空飛ぶクルマに関しては、日本国内では民間有志による空飛ぶクルマプロジェクトの「CARTIVATOR」(カーティベーター)の取り組みが目立っており、官民協議会においても中心的存在になりそうだ。同プロジェクトは2019年9月に無人機の飛行試験、2019年に有人機の飛行試験をそれぞれ予定しており、2020年の東京五輪開会式で聖火点灯デモを行う独自目標を掲げている。有人機の販売は2023年を予定している。

■海上交通の高度化に向けた自動運航船の実用化への取り組み

「自動運航船」に関する国際的な合意を図っていくとともに、2018年度から遠隔操作などの技術実証を開始し、遠隔操縦小型船舶に関する安全ガイドラインを策定する。2019年度から技術実証、本格導入を進めていくこととしている。

■実証実験は予定通り進行中 法整備が鍵か

自動車メーカーから通信大手、スタートアップなどさまざまな事業者が相互に協力し合い、実証実験を円滑に進めている。

自動運転社会の実現に向けたガイドラインやルールづくりなどの整備も着実に進められており、概ね予定通り進行中だが、あえて一つだけ懸念を挙げるとすれば、法整備だ。国会を通して厳密に審査される法律の改正は政局に左右される可能性もあり、すんなり事が運ぶとは限らない。

社会受容性なども含め、反論の余地がないほど安全で利便性の高い堅実なシステムの構築に期待したい。







関連記事