【2019年1月分】自動運転・MaaS・AIの最新ニュースまとめ

トヨタ、ガーディアン技術を他社にも提供



世界最大級の家電見本市「CES(コンシューマー・エレクトロニクス・ショー)」が米ラスベガスで開催される1月は、最新技術に関する話題が多く提供される。日産自動車は見えないものを可視化する技術を披露し、トヨタ自動車は自社の運転支援機能「ガーディアン」について発表を行った。


一方、海外ではグーグル系ウェイモが自動運転車の生産工場建設を発表するなど、年明けからビッグニュースが飛び込んでいる。

このほかにもさまざまな動きがあった2019年1月の10大ニュースは!?

■日産、”ビルを透明化する”将来技術発表 自動運転車に搭載へ(2019年1月5日付)

日産自動車は2019年1月4日、将来実用化を目指す新技術「Invisible-to-Visible(I2V)」を発表した。見えないものを可視化する技術で、将来的にコネクテッドカーや自動運転車への搭載を目指す。

I2Vは、車両センサーの収集データとクラウド上の情報を統合することによって、建物の裏側やカーブの先の状況を映し出すことなどを可能にする技術のようだ。日産総合研究所エキスパートリーダーの上田哲郎氏は「ドライバーはより自信を持って運転を楽しむことができる」としている。


また、I2Vではこうした可視化の技術だけではなく、ドライバーの運転を支援するアバターを車内に登場させるなどの機能も搭載するという。

■自動運転領域の求人数、1万件突破 2019年は転職ラッシュか(2019年1月9日付)

自動運転領域で2019年は転職ラッシュが起きそうだ。自動運転ラボが実施した日本国内の主要な6つの転職サイトを対象とした調査で、自動運転関連の登録求人数は2018年末時点で1万675件に達したことがわかった。2018年5月の前回調査の対象となった5サイトでは、前回比627件増の1407件となり、約半年間で倍増する結果となった。

調査対象の転職サイトは「Indeed」「doda」「マイナビ転職」「リクナビNEXT」「ランスタッド」「エン転職」の6サイト。調査では、自動運転ラボが「自動運転」のフリーワード検索で表示される求人数を比較した。

サイト別ではIndeedが9250件と圧倒的に多く、dodaが1106件、リクナビNEXTが104件、マイナビ転職が84件、ランスタッドが70件、エン転職が43件と続いた。

自動運転業界では、自動化が本格化する自動運転レベル3(条件付き運転自動化)の市販化に向けた取り組みが加速しており、エンジニア職の人手不足が続いているのが現状だ。

■トヨタ、運転支援機能「ガーディアン」を他社に提供(2019年1月9日付)

トヨタ自動車は2019年1月7日、自社で開発する運転支援機能「ガーディアン」を他社に提供していく方向性を発表した。米ラスベガスで開催された「CES 2019」において、トヨタのアメリカ子会社TRIのギル・プラット最高経営責任者(CEO)が講演で明らかにした。

プラットCEOは、ガーディアンについて「Guardian for all(ガーディアンを全ての方に)」と述べ、「この業界の中にも提供していければと思っています」と語っている。製造業からの脱却を目指す同社の方針を象徴するかのような発言だ。

運転支援機能はメーカー各社などが開発を進めており、この分野における主導権争いが一層激化していく可能性が高そうだ。

■日本は置き去りのライドシェア世界市場、2025年に20兆円超え(2019年1月10日付)

リサーチ事業を手掛けるリサーチステーション合同会社は2019年1月10日までに、米ウーバーなどが牽引するライドシェア市場に関する最新レポートの取り扱いを開始し、市場予測に関する内容の一部を公表した。

同社によれば、ライドシェアの世界市場は2018年段階では613億ドル(約7兆円)。予測通りにいけば2025年には3倍以上に市場が拡大するとしている。

日本においてライドシェアは法的な問題からコストシェア型や地域運行型などに限られているが、海外では欧米だけではなくアジア中東諸国などでもサービス事業者が続々と誕生し、アプリ間でのユーザー獲得競争が加速している。大型の資金調達を果たすスタートアップ企業も多い。

■茨城に「AIが自動運転を学ぶ学校」誕生!自動車学校跡地を活用(2019年1月12日付)

AI開発などを手掛けるセンスタイム(本社:香港)の日本法人は2019年1月10日、茨城県常総市で自動車学校の跡地を活用したテストコース「AI・自動運転パーク」を開設したと発表した。AIが運転を学習する場として活用していく方針で、同社は「自動運転をはじめとする様々な車載事業の技術開発の拠点として活用していく予定」としている。

センスタイムは2014年に設立し、ディープラーニング(深層学習)やコンピュータービジョンの分野で世界的に評価が高い企業の一つ。自撮りアプリ「SNOW」のAI顔認識技術なども手掛けている。日本法人は2016年に設立され、日本の主力産業である自動車や製造業、インフラなどの分野向けの技術提供を行ってきた。

同社は今後、車載事業に注力した開発を推進するとしている。

■デンソー、「自動運転の目」LiDARを開発へ 供給先はトヨタだけ?(2019年1月14日付)

「自動運転の目」と呼ばれる光技術を活用したセンサー「LiDAR」(ライダー)の開発に、デンソーがいよいよ乗り出すようだ。日経新聞がデンソー幹部の話として2019年1月14日までに報じた。

報道によれば、デンソーは自社開発のLiDARの2020年以降の実用化を目指すこととしており、トヨタ自動車のほか、広く世界の自動車メーカーに供給していく可能性もある。

LiDARは自動運転車に必要とされるコアセンサーの一つで、自動車業界では大手部品メーカーに加えてスタートアップ企業も数多く開発レースに参戦しており、大手自動車メーカーの「標準品」の座を狙った戦いが激化している。

■自動運転車へのサイバー攻撃、月30万回 ハッカー3500人から(2019年1月16日付)

「自動運転車やコネクテッドカーは月平均30万回のサイバー攻撃を3500人ものハッカーから受けている」―セキュリティ事業を手掛けるイスラエルのカランバ・セキュリティ社がまとめた、自動運転車へのサイバー攻撃に関する報告書が話題となっている。

同社はコネクテッドカーのECU(電子制御ユニット)の脆弱性早期発見サービス「ThreatHive」を展開しており、同サービスから収集した3カ月間のデータを参考に今回の調査結果をまとめた。ハッカーからの攻撃内容は大別すると11種類で、米電気自動車(EV)大手テスラの車両に対する2017年の攻撃と同様のものもあったという。

コネクテッドカーにおいては、サイバーセキュリティ面での安全強化は非常に重要だ。コネクテッドカーはすでに日本国内ではトヨタ自動車などが販売しており、世界においては2035年ごろには新車の90%以上がコネクテッドカーになるという普及予測(富士経済:2017年)も出されている。

■JapanTaxi、モビリティ研究開発部を発足 タクシーから得るデータを有効活用(2019年1月16日付)

タクシー配車アプリを展開するJapanTaxi株式会社は2019年1月15日、モビリティ研究開発部を新設したと発表した。タクシーから取得するビッグデータを分析し、移動に関する新ソリューションの開発に活かしていくようだ。

モビリティ研究開発部による事業は、既に展開している配車や決済のプラットフォーム事業に続く新たな同社の主要事業という位置付けで、新たに「JapanTaxi Data Platform」を立ち上げ、タクシーによるセンシングデータを集積していくようだ。2020年までに約30の企業・団体などと協業する予定で、さまざまな企業の情報ニーズに応えられるようにしてくという。

■ウーバー、大阪でタクシー配車サービス開始 ソフトバンク系DiDiが進出済み、競争激化へ(2019年1月24日付)

ライドシェア世界大手の米ウーバー・テクノロジーズは2019年1月23日、大阪市や堺市などでUberアプリを使ったタクシー配車サービスを開始した。名古屋市に次ぐ正式なサービス提供で、エリアは大阪市と堺市のほか、東大阪市、八尾市、守口市、門真市、吹田市、豊中市となっている。

大阪エリアのサービスでは、大阪府内に本社を構えるタクシー事業者の株式会社未来都が連携しており、大阪府内に設けている10拠点で保有するタクシー642台を、順次Uberアプリで配車可能にしていくようだ。

同社は名古屋・大阪エリアと実証試験を行っている淡路島のほか、仙台、福島、青森でも近くサービスの提供を開始する見込み。

■グーグル系ウェイモ、自動運転車の「生産工場」建設へ ソフト搭載させレベル4車両に改造(2019年1月24日付)

米グーグル系の自動運転開発企業ウェイモは2019年1月22日、自動車メーカーから購入する車両を改造して自動運転車に仕立て上げる「工場」を、米ミシガン州に建設すると発表した。一部メディアによると投資額は15億円程度とみられ、数年内にエンジニアなどを百人規模で雇用する予定という。

工場では、購入した車両に同社が自社開発する自動運転ソフトやセンサーを組み込む作業がメインとなり、FCAなどの提携先から調達した車両を改造し、自動運転レベル4(高度運転自動化)の車両を「生産」する。作業には、カナダの自動車部品大手マグナ社が協力する見込みという。

■【まとめ】CES発表は今後の展開にも注目、タクシー業界は年始めから活気

自動運転に関わる大手各社が集うCESでは、トヨタや日産以外にもさまざまな次世代技術やビジョンが発表されており、自動運転業界の近未来にアプローチする重要な手がかりとなる。ここで発表された内容の多くは数年後、早ければ年内にも実用化されるため、1月は話題に事欠かないのだ。

国内では、JapanTaxiやウーバーらタクシー業界が依然活気づいており、2019年中の動向が早くも気になるところだ。また、センスタイムの「AI・自動運転パーク」のような取り組みも顔を出し、自動運転業界の活発化にますます拍車がかかりそうだ。

実現に向け加速度を増す自動運転業界。幸先の良いスタートを切った2019年の今後の出来事にも要注目だ。

  1. 自動運転・コネクテッドカー・MaaS系ニュースで2018年に注目を集めたニュースを振り返り!
  2. 【2018年11月分】自動運転・MaaS・AIの最新ニュースまとめ
  3. 【2018年10月分】自動運転・ライドシェア・AIの最新ニュースまとめ
  4. 【2018年9月分】自動運転・ライドシェア・AIの最新ニュースまとめ
  5. 【2018年8月分】自動運転・ライドシェア・AIの最新ニュースまとめ
  6. 【2018年7月分】自動運転・ライドシェア・AIの最新ニュースまとめ
  7. 【2018年6月分】自動運転・ライドシェア・AIの最新ニュースまとめ


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