自動運転業界でまた1つ大きな動きがあった。韓国最大手の自動車メーカーである現代自動車(ヒュンダイ)は2019年9月23日、米自動車部品大手アプティブ(Aptiv)=旧デルファイ・コーポレーション=と自動運転領域で提携し、ジョイントベンチャー(合弁会社)を設立すると発表した。
自動運転レベル4(高度運転自動化)と自動運転レベル5(高度運転自動化)に対応する自動運転技術の開発を進展させるための提携で、2022年にはロボタクシー(自動運転タクシー)のサービス事業者や車両製造企業に同システムを提供できるようにする。
合弁会社の設立では両社が等しく20億ドル(約2160億円)を投資し、株式をそれぞれ50%ずつ保有する。来年2020年には自動運転技術の実証をスタートさせる予定で、世界で激化する開発競争に対応していきたい考えだ。
自動運転レベルは0〜5の6段階に分類され、両社が開発目標とする自動運転レベル4は走行可能領域が限定される中での完全無人運転、自動運転レベル5はどこでも完全無人運転が可能な段階を指す。つまり自動運転レベル5は最高峰の自動運転技術と呼べる。
【参考】関連記事としては「自動運転レベルの基礎知識まとめ」も参照。
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■ヒュンダイ、自動運転領域に前のめりな姿勢
ヒュンダイはこれまでにも自動運転関連ビジネスに前のめりな姿勢を対外的に示している。ヒュンダイの鄭義宣(チョン・ウィソン)副会長は今年1月の年初講演で、2021年には自動運転タクシーのパイロットプログラムを開始することに言及している。
【参考】関連記事としては「韓国ヒュンダイ、自動運転タクシーを2021年から提供へ 年初講演で発表」も参照。
またヒュンダイについては過去に、中国のネット大手騰訊控股(テンセント)と自動運転ソフトウェアの共同開発で合意したことが報じられているほか、2018年9月には自動運転レベル3(条件付き運転自動化)に相当する自動運転トラックの実証実験に成功したことを発表している。
【参考】関連記事としては「韓国ヒュンダイ(現代自動車)、AI自動運転トラックの実証実験に成功 自動運転レベル3相当」も参照。
ヒュンダイ系の自動車部品メーカーの現代モービス(ヒュンダイ・モービス)もコネクテッド自動運転車(CAV)への搭載を前提とした車載インフォテインメントシステムの開発に力を入れており、自動運転車の普及を見越した技術開発・サービス開発に余念がない。
【参考】関連記事としては「自動運転車の窓ガラスをディスプレイに ヒュンダイ・モービスが新コンセプト発表へ」も参照。
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■韓国政府も強力バックアップ、韓国通信大手も
韓国政府もこうした自動運転領域における自国企業の動きを強力にバックアップしている。日本の国土交通省に相当する韓国の国土交通部は2018年12月、自動運転車両の走行試験や通信試験などのための疑似シティ「K-City」が完成したことを発表した。
韓国は5Gの実用化を他国よりいち早く進めることにも注力しており、大手通信会社が自動車メーカーなどと協力しながらコネクテッドカーの開発に尽力する動きもある。
日本と中国、そしてアメリカや欧州の動きを、韓国政府そして韓国企業は当然意識しており、自動運転領域における韓国の動きには今後も要注目だ。
【参考】関連記事としては「【最新版】自動運転車の実現はいつから?世界・日本の主要メーカーの展望に迫る|自動運転ラボ」も参照。
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