名古屋大学発の自動運転スタートアップ・ティアフォーのシリーズAにおける累計調達額が113億円に到達した。シリーズAにおける累計調達額としては国内では最大規模だ。2019年7月に明らかになったこのニュースは、まさに自動運転領域にいま巨額マネーが集まっていることを象徴するものだ。
大手メーカーによる長期提携、格安LiDARの登場なども話題になった2019年7月のモビリティ業界の10大ニュースは!?
記事の目次
- ■ついに実現へ!レベル4の自動運転タクシー、限定地域での運行ガイドライン発表(2019年7月4日付)
- ■BMWとダイムラーが長期提携、自動運転や自動駐車など共同開発(2019年7月6日付)
- ■MaaSレベル2に対応!ヴァル研究所が日本初の複合経路検索API(2019年7月6日付)
- ■2035年にはコネクテッドカーが新車販売の9割 世界で1億台突破、富士経済が調査(2019年7月8日付)
- ■米Luminar、ソーダ缶サイズのLiDARを500ドルで発売 「自動運転の目」の役割(2019年7月17日付)
- ■ティアフォー、自動運転実証エリアを10倍以上に 113億円の使い道は? 加藤真平会長に聞く(2019年7月18日付)
- ■NTTドコモの車向けWi-Fi、利用無制限でたった年12,000円 自動運転時代に対応(2019年7月19日付)
- ■イーロン・マスク氏、自動運転ソフト「FSD」の1000ドル値上げをツイート(2019年7月22日付)
- ■GMクルーズ、「安全第一」で自動運転タクシーのサービス延期(2019年7月26日付)
- ■トヨタとDiDi、中国におけるMaaSで協業拡大 ライドシェア運転手に車両関連サービス(2019年7月26日付)
- ■【まとめ】開発スピードも大事だが、もちろん安全も重要
■ついに実現へ!レベル4の自動運転タクシー、限定地域での運行ガイドライン発表(2019年7月4日付)
国土交通省は、限定エリアでバスやタクシーが無人自動運転の移動サービスをするためのガイドラインを公表した。
対応すべき事項としては10項目が記載されており、一例としては「交通ルールを遵守した運行の安全の確保」「旅客の安全の確保」「点検・整備等による車両の安全の確保」などとなっている。
日本国内では既に自動運転タクシーの実証実験を民間企業が実施しており、こうした企業にとっては商用化に向けて何をどう準備すべきか、ということが明確となった形で、国内における商用サービスの登場の追い風となった。
【参考】記事は「ついに実現へ!レベル4の自動運転タクシー、限定地域での運行ガイドライン発表」から。
■BMWとダイムラーが長期提携、自動運転や自動駐車など共同開発(2019年7月6日付)
ドイツの自動車メーカー大手のBMWとダイムラーが、運転支援システムや高速道路における自動運転、自動駐車などの分野で戦略的に長期提携すると発表した。
両社のリソースやノウハウを共有しながら開発を加速させたい考えで、共同開発した成果は2024年ごろまでに実用化させる計画らしい。
【参考】記事は「BMWとダイムラーが長期提携、自動運転や自動駐車など共同開発」から。
■MaaSレベル2に対応!ヴァル研究所が日本初の複合経路検索API(2019年7月6日付)
乗り換え案内サービス「駅すぱあと」を運営していることで知られる株式会社ヴァル研究所が、MaaS向けの複合経路検索API「mixway API」をリリースすると発表した。MaaS向けの複合経路検索APIがリリースされるのは、日本で初のこととみられる。
このAPIは、シェアサイクルと公共交通を組みあわせて経路検索できる「mixway」の機能を、ほかの企業がアプリやウェブサイトに組み込むことができるシステムだという。
【参考】記事は「MaaSレベル2に対応!ヴァル研究所が日本初の複合経路検索API」から。
■2035年にはコネクテッドカーが新車販売の9割 世界で1億台突破、富士経済が調査(2019年7月8日付)
近い未来、自動車の販売店で売られる自動車の多くがコネクテッドカーになるとみられている。調査会社の富士経済が発表した予測は、そのことに現実味を持たせる。
富士経済の発表によれば、2035年にはコネクテッドカー(つながるクルマ)の販売台数が1億250万台まで世界で拡大し、新車販売の9割を占めるようになるという。2018年はまだ3割(見込みベース)に留まっており、2022年は5割弱の割合に達するという。
【参考】記事は「2035年にはコネクテッドカーが新車販売の9割 世界で1億台突破、富士経済が調査」から。
■米Luminar、ソーダ缶サイズのLiDARを500ドルで発売 「自動運転の目」の役割(2019年7月17日付)
「自動運転の目」と呼ばれるLiDARは、価格が高いままでは消費者に売る自動運転車には搭載しにくい。そのコストが販売価格に反映されると、多くの消費者が手が届かない価格になってしまうからだ。
そんな中、LiDARの製造企業として世界的に注目を集めている米ルミナーが、500ドル程度のLiDARを製造・販売すると発表した。サイズもジュースの缶くらいのサイズで小型化されており、自動運転車の市販化に向けた注目のニュースとなった。
【参考】記事は「米Luminar、ソーダ缶サイズのLiDARを500ドルで発売 「自動運転の目」の役割」から。
■ティアフォー、自動運転実証エリアを10倍以上に 113億円の使い道は? 加藤真平会長に聞く(2019年7月18日付)
ティアフォーが約80億円にも上る資金調達を行い、シリーズAにおける累計調達額が国内では最大規模となる113億円に到達したことを発表した。調達した資金は、品質や安全性を確保するための人材と実証実験を行うための人材を増やすことなどに充てる。
自動運転ラボのインタビューでは、実証実験のエリアをいまの10倍に拡充させることを加藤会長が明らかにしている。
【参考】記事は「ティアフォー、自動運転実証エリアを10倍以上に 113億円の使い道は? 加藤真平会長に聞く」から。
■NTTドコモの車向けWi-Fi、利用無制限でたった年12,000円 自動運転時代に対応(2019年7月19日付)
自動運転車が普及すれば、今までドライバーとしてクルマに乗っていた人は、運転にかけていた時間をほかのことに費やすことができる。そうなれば、自宅にいるときのようにインターネットがクルマの中で無制限に使えるようになった方が絶対に便利だ。
こうした点を見据えてか、NTTドコモが利用無制限の自動車向けWi-Fiのサービス提供について報道発表し、注目を集めた。利用料金は年間契約であれば1万2000円と割安感がある。
【参考】記事は「NTTドコモの車向けWi-Fi、利用無制限でたった年12,000円 自動運転時代に対応」から。
■イーロン・マスク氏、自動運転ソフト「FSD」の1000ドル値上げをツイート(2019年7月22日付)
テスラCEO(最高経営責任者)のイーロン・マスク氏が自動運転ソフト「FSD」を近く最大1000ドル値上げするとTwitterでツイートした。
このニュースに対する読者の反響は大きく、NewsPicksなどでは「従来の自動車産業では考えられない売り方」「クルマをとうとうPC化しましたね」などというコメントで盛り上がった。
【参考】記事は「イーロン・マスク氏、自動運転ソフト「FSD」の1000ドル値上げをツイート」から。
■GMクルーズ、「安全第一」で自動運転タクシーのサービス延期(2019年7月26日付)
米GMの子会社クルーズは、2019年内に自動運転タクシーの商用サービスをスタートさせると語っていたが、クルーズのCEOがその計画を延期させると発言し、話題になった。
2018年12月にグーグル系ウェイモが商用サービスを開始させ、クルーズはこれに続く企業として有力視されていた。延期は安全度をさらに高めて事故を防止するためのものとみられている。
【参考】記事は「GMクルーズ、「安全第一」で自動運転タクシーのサービス延期」から。
■トヨタとDiDi、中国におけるMaaSで協業拡大 ライドシェア運転手に車両関連サービス(2019年7月26日付)
日本国内ではライドシェアに関する動きはしぼんでいるが、海外では違う。トヨタももちろんその動きに敏感で、DiDiのライドシェア運転手に車両を貸し出すサービスをDiDiとともに手掛けている。
そんなDiDiとトヨタが協業を拡大すると発表した。ライドシェア運転手に車両関連サービスを提供する合弁会社を設立するとのことだ。両社はより関係を深化させ、成長市場におけるビジネスを拡大させる。
【参考】記事は「トヨタとDiDi、中国におけるMaaSで協業拡大 ライドシェア運転手に車両関連サービス」から。
■【まとめ】開発スピードも大事だが、もちろん安全も重要
自動運転サービスの実用化に向けてガイドラインが発表されるなど、自動運転に関する環境は一層整いつつある。一方で、GMクルーズが自動運転タクシーの商用サービスの開始を安全上の理由から延期するというニュースも、2019年7月は注目を集めた。
ヒューマンエラーによる事故を減らす自動運転技術の実用化・商用化は早いに越したことはないが、一方で安全上の懸念を取り除くのは一筋縄ではいかない。各社には今後もさらなる研究開発が求められる。
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