物流ロボ、2027年に3兆円市場!崩れる「物流=労働」という常識 自動運転技術を活用

インドの市場調査会社が市場予測を発表





世界の物流ロボット市場は2027年までに292億9340万ドル(約3兆1000億円)に達する見込み——。インドの市場調査会社The Insight Partnersが、こうした予測を掲載したレポートを発表している。







2018年時点で43億5620万ドルだった物流ロボット市場が2027年には約6.7倍まで拡大するという試算で、2019年から2027年にかけてのCAGR(年平均成長率)は19.1%に及ぶという。

特に先進国などでは高齢化の波により、省力化に向けた取り組みの機運が高まっている。そこで注目されているのが物流ロボットだ。導入することで、生産性の向上や人員削減、安全性の向上などが期待され、公道や倉庫での導入を前提としたロボットを開発する企業が増えてきた印象だ。

レポートによれば、物流ロボットは現在はアジア太平洋地域が高いシェアを維持しているが、今後数年間で最も成長する地域は北米だと予想されている。EC市場の拡大に伴ってサプライチェーンが変化し、需要が拡大するからだという。

この記事では物流ロボットが活躍するフィールドを「公道」「建物」「倉庫」に分け、開発の現状などについて解説していこう。

■公道における配送のためのロボット

まず「公道」での活躍を前提として配送ロボットの開発状況などについて説明していこう。

エストニアと米サンフランシスコに本社を構えるスターシップ・テクノロジーズは、英国のミルトン・キーンズで2018年から自動配送ロボットによる商品配送を開始している。

現在、新型コロナウイルスによる外出規制に伴い、需要が急増中だという。地元のスーパーと提携し、同社の自動配送ロボットが食料品などを提供しているようだ。米サンフランシスコなどサービスエリアを拡大している。

米EC大手のアマゾンも、自動配送ロボットの開発に力を入れている。2019年1月には、同社が開発する配送ロボット「Amazon Scout」の宅配実証実験に着手することを発表した。このロボットは6つの車輪がついた40センチ四方程度の小型タイプで、アマゾンで注文された商品を自動で顧客の元まで届ける。

一方の日本国内では自動運転ベンチャーのZMPが、自動運転技術を応用した配送ロボット「CarriRo Deli(キャリロデリ)」を開発した。最大50キロまで荷物を運ぶことが可能で、ZMPは日本勢の中で先行しているイメージだ。

搭載されたセンサーで周囲環境を検知し、最大時速6キロで自動走行できる。受け取りのためのスマートフォンアプリとセットで提供しており、セキュリティにも配慮されている。

【参考】関連記事としては「ラストワンマイル向けの物流・配送ロボット10選」も参照。

■建物内における配送のためのロボット

オフィスや商業施設でも、配送ロボットが活躍している。2013年に米シリコンバレーで創業したスタートアップ企業のサビオーク社は、世界に先駆けて2014年に自律走行が可能な配送ロボット「Relay」の販売を開始した。

Relayは上面の蓋を開けると格納スペースが用意されている。連続走行時間は4時間で、自律走行で充電スポットに戻っていくことも特徴の一つだ。

アメリカでは既にホテルやオフィスなどで導入実績が多く、オフィス経営などを手掛ける日本の森トラストが2018年に出資したことでも知られ、日本でも実証実験が行われている。

日本勢では公道での配送ロボットと同様、ZMPの取り組みがこの分野では目立つ。

【参考】関連記事としては「自動運転、マネタイズは「ビルの中」から 宅配ロボの需要」も参照。

■倉庫における配送のためのロボット

倉庫に特化した配送ロボットを開発する企業も多い。ノルウェーのAutoStore社が手掛ける自動倉庫型ピッキングシステム「AutoStore(オートストア)」は、倉庫内の専用コンテナに荷物を自動配送することができる。

日本では、産業用機器などの製造・販売を行うオカムラが同社と販売契約を結び、2014年から取り扱っている。

シンガポールに本社を構えるインド発スタートアップのGreyOrangeは、物流ロボットシステム「Butler(バトラー)」を開発している。物流センターの床面を移動するロボットが可搬式の棚の下に潜り込み、作業者の元に棚ごと商品を届けるという仕組みだ。国内では、物流テック事業を展開するGROUND社が販売権を取得している。

日本でもZMPの無人パレット配送ロボットや2017年設立のロボットベンチャーであるDoogの運搬ロボット、パナソニックが開発している自動運転搬送ロボットなどが注目されている。

■【まとめ】「物流=労働」という常識を変える

物流ロボットは、商品配送からオフィス内での業務サポート、そして倉庫の自動化といった具合に、幅広い業界で導入が進んでいる。今後もこの流れが加速していくことは明白だ。「物流=労働」という常識を変える可能性を秘めている物流ロボットの今後に、引き続き注目したい。

【参考】関連記事としては「自動運転社会の到来で激変する9つの業界」も参照。

記事監修:下山 哲平
(株式会社ストロボ代表取締役社長/自動運転ラボ発行人)

大手デジタルマーケティングエージェンシーのアイレップにて取締役CSO(Chief Solutions Officer)として、SEO・コンテンツマーケティング等の事業開発に従事。同業上場企業とのJV設立や複数のM&Aによる新規事業開発をリードし、在任時、年商100億から700億規模への急拡大を果たす。2016年、大手企業におけるデジタルトランスフォーメーション支援すべく、株式会社ストロボを設立。設立3年で、グループ4社へと拡大し、デジタル系事業開発に従事している。2018年5月、自動車産業×デジタルトランスフォーメーションの一手として、自動運転領域最大級メディア「自動運転ラボ」立ち上げ、業界最大級のメディアに成長させる。講演実績も多く、早くもあらゆる自動運転系の技術・会社の最新情報が最も集まる存在に。
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