自動運転による「非接触配送」、コロナが気付かせた6大メリット コンタクトレス配送とは?

食料品配送や医療現場など配送ロボ導入続々



出典:Starship Technologies公式ブログ

新型コロナウイルスの感染拡大に伴い、「非接触=コンタクトレス」に注目が集まっている。人と人との直接的な接触を回避することで、飛沫感染のリスクなどを低減できるためだ。

このコンタクトレスへの注目の高まりとともに、自動走行が可能な配送ロボットに対する関心も高まっている。ロックダウンをはじめとした行動制限が世界各地で課され買い物一つに難儀する中、無人で物資を運搬できる配送ロボットが、コンタクトレス配送(非接触配送)を実現する画期的なテクノロジーとして熱視線を浴びているのだ。







新型コロナウイルスを契機に注目度が高まる配送ロボット。無人でコンタクトレスな配送を可能にしたテクノロジーのメリットや導入例などを改めて見ていこう。

■メリット
接触を減らすことで感染拡大防止に寄与

配送ロボットが注目を浴びている一番の理由が、人と人との接触を無くす、あるいは減らす「コンタクトレス」の部分だ。

新型コロナウイルスによる影響で、利用者はもちろん配達を担うドライバーも常に感染リスクにさらされており、運送各社も対応に苦慮しているのが現実だ。

こうした状況の中、中国スタートアップのPony.aiが、米カリフォルニア州でEC企業と組み、自動運転車両を使った配送サービスをスタートさせた。中国でも、自動運転技術を搭載した配送ロボットの規制が緩和され、感染拡大期には実際に物資の配送で活躍した。

日本でも「置き配」の取り組みが盛んに

日本国内では自動運転車や自律走行ロボットによる配送とまではいかないが、日本郵便は緊急事態宣言を受け、通常は対面で配達を行っているゆうパックなどにおいて、希望に応じて郵便受箱への配達や玄関前などに置く形で届ける方法を導入した。

ヤマト運輸も、受領印・サインの省略化や玄関前など指定箇所への置き配を行っている。これを機に、置き配ボックスや宅配ロッカーの利用などにも注目が集まっている。

神経質な印象を受ける人もいるかもしれないが、運送会社としては接触機会を極力減らして配達員の安全を確保し、かつ利用者の要望にも応じられる最善策と言えるだろう。

こうした問題を解決するのが配送ロボットだ。無人の配送車両、または配送ロボットが自宅前に到着するとスマートフォンなどを通じて連絡が入り、ロボットの中から荷物を取り出すだけのため、人と人との接触が基本的になくなる。

配送ステーションなどの倉庫作業も無人化を促進する動きが広がっており、ピッキング作業の段階から無人化を達成することも不可能ではないのだ。

配送の無人化で労働力不足に寄与

配送ロボットは、ドライバー不足が慢性化している運輸業界において救世主になり得る存在だ。EC市場拡大に伴う宅配個数の増加や再配達問題など、ラストワンマイルをめぐる環境はいつパンクしてもおかしくはない。

EC需要が今後も右肩上がり、または高止まりすることが想定されるならば、将来的な導入を見据え今のうちから実証を進め、技術水準とともに社会受容性を高める取り組みを推進していかなければならない。

宅配ボックス・ロッカーとの連動で利便性が向上

無人のロボットが荷物を届けてくれるからといって、利用者が在宅して荷物を受け取らなければならない義務は従来と変わらない。ロボットだから待たせても大丈夫とはいかないのだ。

こうした配送ロボットと相性が良いのが宅配ボックスや宅配ロッカーだ。配送ロボットが宅配ボックスなどに自動で荷物を投函するシステムを構築できれば、究極のコンタクトレス化が完成し、ラストワンマイル物流は大きく姿を変えることになる。

再配達問題は完全に解消され、ロボットは予定通りに荷物を届けて回ることが可能になる。利用者がロボットに触れる機会もなくなるため、ロボットが感染源になる可能性も極めて低くなるだろう。

気楽に荷物を受け取ることができる

配達員が直接届けてくれる場合、寝起きのままの格好ではさすがに…という人や、最低限化粧を…と考える人も少なからずいるのではないだろうか。

ロボットが相手ならば、そういった身なりをいちいち気にする必要もなくなりそうだ。最も、玄関先まで荷物を取りに行かなければならないため、ご近所の目に触れる可能性はありそうだが…。

若い女性など、配達員を含めなるべく他人に対し玄関を開けたくない場合なども有効かもしれない。コミュニケーションが苦手な人も、ロボット相手であれば臆することなく荷物を受け取ることができるだろう。

ゾーニングが必要なエリアにもフレキシブルに対応

配送ロボットはECや小売店舗からの宅配を念頭に開発が進められているが、今回のコロナウイルス感染拡大防止を機に、特定施設への食事や医療品などの配送を試みる取り組みも出始めているようだ。

機体そのものの消毒が課題となりそうだが、医療施設内など感染者と非感染者のゾーニングが必要なエリアでも対応可能で、屋内外を問わず、さまざまな場面であらゆるモノの移動にフレキシブルに応用可能なシステム開発がどんどん進む可能性もありそうだ。

■実例
代替医療施設などで物資輸送:Nuro

乗用車サイズの自動運転配送ロボットの開発を手掛ける米Nuroは、新型コロナウイルスの感染拡大防止に無人車両「R2」を役立てられないか検討し、社会貢献のため米国の連邦や州、地方の組織と協議を開始した。

現在R2は、患者を収容する代替医療施設として使用されている屋内競技場「スリープトレインアリーナ」で医薬品の配送や、試験施設や代替住宅地、野戦病院など多目的に使用されているイベントセンターで食料や水、その他物資の輸送のため配備されているという。

【参考】Nuroの取り組みについては「米Nuroの低速自動運転デリバリー専用車に、初の公道走行許可」も参照。

自律走行型ロボットを医療施設などへ無償提供:アスラテック

ソフトバンクグループでロボット開発を手掛けるアスラテックは2020年4月、医療機関などを対象に新型コロナウイルス対策向けロボット活用ソリューションの無償提供を発表した。

ソリューションは「VRcon for Pepper」による遠隔会話ソリューション、遠隔操縦型ロボットによる消毒ソリューション、自律走行型ロボット「RICE」による無人配送ソリューションの3つで、緊急事態下においても稼働が必要とされる生活インフラを支える業種に提供する。

RICEは、香港のRice Robotics社が開発した屋内向け自律走行型配送ロボットで、物品の配送や客の先導・案内などを行う機能も備えている。

香港では主にホテルでの導入が進んでおり、入境者に義務付けられている14日間の強制検疫(隔離)において、隔離対象者と接触することなく食事などを届ける用途で活用されているという。

自動運転バスでウイルス検体を輸送:NAVYA

米フロリダ州ジャクソンビル市の医療施設Mayo Clinicは、仏NAVYA社の自動運転バス「NAVYA ARMA」でコロナウイルス検体の輸送を行っているようだ。

ジャクソンビル交通局とNAVYA、そして自動運転ソリューション開発を手掛けるBeepは以前から自動運転の実証に取り組んでおり、コロナウイルスという有事に迅速に対応できたのもその成果と言えそうだ。

【参考】NAVYAなどの取り組みについては「新型コロナ、中国に続き米フロリダ州でも自動運転車両が活躍」も参照。

ロボタクシー活用し無人配送サービスに着手:Pony.ai

この記事の前半でも触れたが、自動運転開発を手掛ける中国スタートアップのPony.aiは実用実証を進めるロボタクシー車両を活用し、米カリフォルニア州アーバインで無人・非接触型の配送サービスに着手している。

EC企業の米Yamibuyと提携し、注文が入ると自動運転車がYamibuyの倉庫に向けて走行し、荷物を載せて注文者のもとへ向かう。車両が到着すると注文者に連絡が入り、車両の中から荷物を受け取る仕組みだ。

同社はこのほか、同州フリーモントでも生活複合施設の緊急避難所プログラムで住民に食事を届ける取り組みを行っているようだ。

中国でも配送ロボットやドローンに注目集まる:Neolix/アントワーク

コロナウイルスの発生源とされる中国では、自動運転レベル4の無人配送ロボットの開発を手掛けるNeolix(新石器)に注文が殺到しているようだ。

感染拡大防止に向け、同国では住居地域への配達員の立ち入りを規制するなど厳しい移動制限を実施しており、その結果として配送ロボットに注目が集まったといえそうだ。

ドローン物流を手掛けるアントワークも、浙江省でドローンを活用して医薬品や検査キットなどの医療物資を病院から疾病管理センターへ輸送する「ドローンによる医療物資の輸送プロジェクト」を開始したようだ。

このほか、インターネット出前サービス大手「美団点評」が自動運転車を使った食品のデリバリー事業を開始するといったニュースも報じられており、コロナウイルスを契機にコンタクトレス配送に大きな注目が集まっているようだ。

米Starship Technologiesもサービスエリア拡大

エストニアと米サンフランシスコに本社を構えるスターシップ・テクノロジーズも需要増を背景にサービス提供エリアを拡大しているようだ。

同社は英国のミルトン・キーンズで2018年から自動運転ロボットによる商品配送を開始しているが、英国政府がロックダウンを実施してから需要が急増したという。

外出制限がかけられた米ワシントンでも地元のスーパーと提携し、スターシップの配送ロボットが食料品などを配送しているようだ。

■【まとめ】国内でも配送ロボット導入に向けた取り組み推進を

新型コロナウイルスをきっかけに、感染防止と行動制限が相まって世界各地で配送ロボットの導入が進んでいるようだ。日本では公道走行に制限があるため、医療機関内などの屋内向けとして導入が進む可能性がありそうだ。

新型ウイルスのリスクに対し、どの段階で見切りをつけるかが今後の焦点となるが、緊急事態宣言が解除されても一定の行動制限が課される可能性がある。長丁場になることを想定し、日本においても配送ロボットの導入に向けた動きを活発化しても良いのではないだろうか。

【参考】関連記事としては「自動運転デリバリー、新型コロナが規制緩和の引き金に?」も参照。

記事監修:下山 哲平
(株式会社ストロボ代表取締役社長/自動運転ラボ発行人)

大手デジタルマーケティングエージェンシーのアイレップにて取締役CSO(Chief Solutions Officer)として、SEO・コンテンツマーケティング等の事業開発に従事。同業上場企業とのJV設立や複数のM&Aによる新規事業開発をリードし、在任時、年商100億から700億規模への急拡大を果たす。2016年、大手企業におけるデジタルトランスフォーメーション支援すべく、株式会社ストロボを設立。設立3年で、グループ4社へと拡大し、デジタル系事業開発に従事している。2018年5月、自動車産業×デジタルトランスフォーメーションの一手として、自動運転領域最大級メディア「自動運転ラボ」立ち上げ、業界最大級のメディアに成長させる。講演実績も多く、早くもあらゆる自動運転系の技術・会社の最新情報が最も集まる存在に。
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