Uber、ロボタクシーで「八方美人」化!トヨタ・日産・ホンダとも協業

ネットワークは拡大の一途



配車サービス大手の米Uber Technologiesが、自動運転分野において日産と協業することを発表した。Uberはトヨタホンダといった国内自動車メーカーとも協業を進めているが、さらに日産にも手を伸ばした格好だ。


世界各地の自動運転開発事業者や自動車メーカーとのネットワークを「無節操」にも見えるほど急拡大する様は、「八方美人」と言われそうな勢いだ。こうした事業拡大戦略は、非常に多くの企業とパートナーシップを積極的に組む米NVIDIAと非常に似ている。

Uberの八方美人戦略の先には、どのような未来が待ち受けているのか。同社の戦略に迫る。

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■Uberと日産の協業の概要

Uber×日産×Wayveで日本市場に自動運転タクシーを導入

発表によると、UberはAI技術パートナーとしてWayve、自動車メーカーパートナーとして日産と協力し、日本における初の自動運転タクシーサービスの実現を図っていくとしている。


自動運転開発を進める英WayveはUber、日産双方とすでにパートナーシップを結んでおり、UberとWayveの協業の一環で日本展開に向け日産が選ばれた格好となっている。

2026年末までに東京で実証実験に着手し、WayveのAIドライバーを搭載したBEV「リーフ」をUberのプラットフォームに導入する。

Wayveは2025年初頭から日本各地で技術実証を行い、日本特有の道路環境において経験を積み重ねているという。東京は交通量が多く道路のレイアウトが複雑で安全基準が高いなど、世界で最も厳しい市場の一つと認識しており、Uber、そして日産の協力のもと、自動運転技術を責任ある形で導入し、学習と拡大を継続していく方針としている。

日本ではWaymoやティアフォー、ムービーズなどが自動運転タクシー実用化に向けた取り組みを加速しているが、新たに強力なライバルが出現したことになる。


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▼プレスリリース
https://investor.uber.com/news-events/news/press-release-details/2026/Wayve-Uber-and-Nissan-Announce-Collaboration-on-Robotaxis/default.aspx

Uberは自動運転分野で「八方美人戦略」採用

Uberは「八方美人戦略」とも言えるネットワークの構築を推進しており、世界各地の自動運転開発事業者や自動車メーカーとのパートナーシップ網を拡大している。日産との協業もこの一環だ。

「配車サービス(自動運転タクシー)に関わるノウハウや日常的な管理・メンテナンスサービスを提供するから、自動運転タクシーを実用化する時はうちのプラットフォームを使ってね」――的な協業だろう。

Uberはこうした協業をグローバルに進め、世界各地で自動運転タクシーサービスの主役になる未来を描いているはずだ。特定の開発事業者に限定せず、自社プラットフォーム上で複数の開発事業者が競合・共存するような展開を待ち望んでいるものと思われる。

例えば、Waymoはテキサス州オースティンやジョージア州アトランタにおいては、自動運転タクシーサービス「Waymo One」はUberアプリでのみ利用可能としている。Waymo独自のプラットフォームを展開していないのだ。

しかし、Uberはおそらくオースティンやアトランタで他の開発事業者がサービスを開始すれば、ウェルカム体制でUberプラットフォームに招き入れるだろう。

Uberとしては、開発事業者独自の単一プラットフォームはライバルになり得ない。Lyftなどの同業に先んじてシェアを獲得できればOKなのだ。開発事業者同士が競合するのも問題ない。有人のライドシェアが主体となる時代から無人サービス時代にシフトした際、自社プラットフォームが「すでに選ばれている」環境が何よりも重要となる。

従来の有人ライドシェアにおいては、登録するライドシェアドライバーの数やサービス提供エリアなどが重視される。アプリの使いやすさや料金体系なども当然重要だが、これらは競争を進めるうちに他社と遜色のないものへと仕上がっていく。

まずはライドシェアドライバーをより多く囲い込み、配車依頼にすぐ対応できる体制を構築する方が優先される。プラットフォーマーとしては、スタートダッシュでいかに高いシェアを確保するかが重要視されるためだ。

これは、無人サービス時代も同様だ。ライドシェアドライバーに代わる自動運転車両をスタートダッシュでいかに確保しておくかが後々のシェアに大きく関わることになる。

それゆえ、無節操・八方美人と言われようと、どん欲に開発事業者や自動車メーカーにアプローチし、ネットワークの拡大に力を入れているのだ。

■Uber×自動運転の概要

早期に自動運転に着目しトヨタと提携

Uberは早くから自動運転社会を見据えた事業に着手していた。自動運転開発部門を立ち上げ、自社開発を推し進めていたのだ。しかし、アリゾナ州で2018年、実証中のセーフティドライバーの過失による死亡事故をきっかけに開発は停滞し、最終的に開発部門はAurora Innovationに売却されることとなった。

ただ、モビリティサービス領域で2016年にトヨタと協業に向けた検討を開始しており、2018年には自動運転技術を活用したライドシェアサービスの開発に向け協業拡大に同意するなど、すでにネットワーク拡大に着手していた。

トヨタはUberに5億ドル(約550億円)を出資したほか、北米市場向けのミニバン「シエナ」を自動運転モビリティサービス「Autono-MaaS」専用車両に改造し、Uberのプラットフォームに導入する計画を明かしていた。

この「シエナ Autono-MaaS」がUberに利用されることはなかったものと思われるが、Aurora InnovationやMay Mobility、Pony.aiといったパートナー企業が続々と導入するなど、トヨタの自動運転戦略に有効活用されている。

日本企業では、ホンダもUberの日本法人と協業している。二輪ドライバー向けにホンダがウェブサイトで公開していた「危険予測トレーニング」にUber Eats Japanが注目し、本社の協力のもと自社の配達ドライバー向けの危険予測トレーニング開発に着手した。この開発にあたり、ホンダも監修という立場でさまざまな助言を行ったという。

自動運転分野における協業ではないものの、ホンダは自動配送ロボットや自動運転サービス車両の開発に力を入れている一社であり、今後新たな領域でパートナーシップを結ぶ可能性も十分考えられそうだ。

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Zooxも加わり26社とパートナーシップ

Uberの公式サイトによると、自動運転領域におけるUberのパートナーシップでは、以下の25社が名を連ねている(2026年3月時点)。

  • Aurora Innovation
  • avomo
  • Avride
  • Baidu
  • Cartken
  • Coco Robotics
  • Flytrex
  • Lucid Motors
  • Melco Mobility Solutions
  • Momenta
  • Motional
  • May Mobility
  • Nuro
  • NVIDIA
  • Pony.ai
  • ServeRobotics
  • Starship Technologies
  • Tawasul Transport
  • Torc Robotics
  • フォルクスワーゲン
  • ボルボカーズ
  • Waabi
  • Waymo
  • Wayve
  • WeRide

トヨタの名前がない点が気になるが、両社の関係は今なお続いているものと思われる。avomo はMoove Cars傘下で自動運転車のメンテナンスなどを手掛ける企業で、Flytrexはドローン配達サービスを展開している。Melco Mobility Solutionsは三菱電機グループでモビリティ事業を行っている企業で、Tawasul Transportはアブダビでタクシー事業を手掛けている。

それ以外は、自動配送ロボットを含め自動運転開発を行っている企業だ。Baidu、Momenta、Pony.ai、WeRideといった中国勢との協業では、中国市場以外でのサービス展開を目指している。

2026年3月には、このネットワークにZooxも加わった。世界の有力な自動運転開発企業の大半がUberと手を組んだことになる。独自路線を歩むテスラ、Lyftと手を組むMobileyeなどの動向も気になるところだ。

今のところ、北米をはじめ、欧州や中東がサービス展開エリアの中心となっている。日本を含むアジアはまだ手薄な状況で、Uber×日産×Wayveの取り組みに大きな注目が集まりそうだ。

また、すでにパートナーシップを結んでいるWaymoをはじめ、ティアフォーやムービーズなどとも将来的に手を組む可能性もある。

3社の取り組みを契機に日本市場の注目が高まり、自動運転タクシーの実用化が加速する――ということも考えられそうだ。

Uber Autonomous Solutionsで商用化を支援

Uberは2026年2月、開発各社の実証や商用化をサポートする「Uber Autonomous Solutions」の提供開始を発表した。

プラットフォームによる効果的な配車のみならず、トレーニングデータやデータ強化マッピングの提供、各市場における規制サポート、フリートファイナンス、リモートアシスタンス、保険、自動運転車両の管理・メンテナンスなど、トータルでサポート可能なソリューションとなっている。

▼プレスリリース
https://investor.uber.com/news-events/news/press-release-details/2026/Uber-Unveils-Uber-Autonomous-Solutions-to-Accelerate-Autonomous-Mobility–Delivery-Worldwide/default.aspx

■【まとめ】自動運転時代はUberとともにやってくる?

今のところ、本格商用化の域に達しているのはWaymoとBaidu、WeRide、Pony.aiに限られ、大半は実証段階から抜け出せていない。それでも、Uberはまだまだネットワークの拡大を加速していくものと思われる。八方美人と言われようがお構いなしで、次代の交通サービスの覇者を目指す。

Uber Autonomous Solutionsによりこのネットワークはどのような広がりを見せるのか。欧州や中東、日本でどのような展開がみられるのか。本格的な自動運転時代は、Uberとともにやってくるのかもしれない。

【参考】関連記事としては「米Uber、自動運転タクシーの「1兆ドル市場」独占か」も参照。

記事監修:下山 哲平
(株式会社ストロボ代表取締役社長/自動運転ラボ発行人)

大手デジタルマーケティングエージェンシーのアイレップにて取締役CSO(Chief Solutions Officer)として、SEO・コンテンツマーケティング等の事業開発に従事。JV設立やM&Aによる新規事業開発をリードし、在任時、年商100億から700億規模への急拡大を果たす。2016年、大手企業におけるデジタルトランスフォーメーション支援すべく、株式会社ストロボを設立し、設立5年でグループ6社へと拡大。2018年5月、自動車産業×デジタルトランスフォーメーションの一手として、自動運転領域メディア「自動運転ラボ」を立ち上げ、業界最大級のメディアに成長させる。講演実績も多く、早くもあらゆる自動運転系の技術や企業の最新情報が最も集まる存在に。(登壇情報
【著書】
自動運転&MaaSビジネス参入ガイド
“未来予測”による研究開発テーマ創出の仕方(共著)




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