
CASEの潮流のもと、SDVやBEV、自動運転など自動車業界を取り巻く環境が大きく変わり始めている。従来通り自動車を開発・製造しているだけでは将来を見通せない、100年に一度と言われる大変革の時代を迎えているのだ。
おそらく、今後10年以内に新興勢の台頭と淘汰が進行し、アライアンスなどの枠組みも様変わりしていくものと思われる。
将来生き残るためには、どのような技術・要素が必要なのか。そして、将来生き残る自動車メーカーはどこなのか。業界の行く末を展望してみよう。
記事の目次
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■自動車業界の潮流
CASEの波を受け各社が試行錯誤
2010年代、自動車業界ではADASの標準搭載化やコネクテッド化、電動化、モビリティサービス化が進展し始めた。2016年のパリモーターショーでは、独ダイムラー会長(当時)のディーター・ツェッチェ氏がCASE戦略を提唱し、この考え方が業界に浸透した。
当時、EV新興勢のテスラが頭角を現し始め、テクノロジー企業のグーグルが自動運転開発事業化を本格化させ始めた時期だ。来るべき新しい時代に向け、老舗の自動車メーカーもモデルチェンジを図っていかなければならない――といった危機感と展望がうかがえる。
事実として、2010年代は自動車メーカー各社が試行錯誤し続けていたように感じる。ADAS装備の標準化を推し進めるとともに、レベル4の実用化目標を2020年ごろと定める動きも多くみられた。しかし、いずれのメーカーも実現できなかったのは周知の事実だ。
電動化は、EU主導の拙速な目標のもと世界各国のメーカーが巻き込まれるような形で加速したが、現在はマイペースを取り戻し緩やかに普及が進んでいる状況だ。
モビリティサービスも試行錯誤が続いている。ダイムラー(当時)とBMWはモビリティサービス領域の事業を統合したものの失敗に終わり、カーシェア事業をステランティスに売却するなど悪戦苦闘した経緯がある。
トヨタや日産、ホンダなどもカーシェア事業を展開し、トヨタはMaaSアプリ「my route」もサービスインした。
この2010年代から続く潮流は2020年代に入っても続いており、一部成果を挙げつつもなお各社の模索は継続されている。
SDV対応が必須に
CASEの概念・考え方は決して間違いではなく、これらが将来生き残るための要素技術となり得る。コネクテッド技術をSDV化に置き換えれば、SDVへの対応、自動運転化への対応、モビリティサービス提供への挑戦、電動化対応……となり、各社の取り組みとマッチする。これらの領域への対応が生き残りを左右する可能性が高い。
SDV対応は、コンピュータ化が進む自動車の根幹となる重要要素だ。近年の自動車は、さまざまなADASを搭載し、従来のカーナビは多彩なインフォテインメント機能を提供可能にしている。エンジンやモーターなどあらゆる自動車制御もECUにより電子制御されるのがスタンダードとなり、さまざまな機能がソフトウェアで管理されている。
これらのソフトウェアの多くは個別に動いているが、すべてを一体的に統括するOSのようなものがあればメンテナンスやアップデート、機能拡充に向けた開発などを効率的に行うことが可能になり、クルマとしての質もサービスも向上させることができる。
こうした統合的なソフトウェアを搭載し、ソフトウェアファーストの考えのもと開発されるのがSDV(Software Defined Vehicle)だ。将来的な自動運転化やモビリティサービス、さまざまな通信サービスとの連携、BEV化などとも相性が良く、自動車のOS化は今後必須の流れとなっていきそうだ。
この領域では、米テスラを筆頭に、新興EVメーカーが先行している。テスラは早くからSDVに注目したクルマづくりを進めてきた。また、新興EV勢は既存のクルマづくりにこだわりはなく、当初からスマート化を前提に開発を進めている企業が多いため、必然的にSDV化が進んでいる。
【参考】関連記事「SDV(ソフトウェア定義型自動車)の意味は?自動運転化の「最低条件」」も参照。
モビリティサービスへの対応や電動化も
モビリティサービスへの対応に関しては、絶対必須とまでは言えないが、従来の自動車を開発・製造・販売するシンプルなビジネスが時代遅れになりつつあり、新たなビジネスモデルを構築する必要に迫られる可能性が高い。
先進国では新車販売が頭打ちとなり、従来のビジネスが通用するのは東南アジアやアフリカなどに移行していく。自動運転開発スタートアップや新興BEV勢の台頭などにより市場に変化が見られ、その影響は今後ますます大きなものへと変わっていくものと思われる。
台湾のFoxconnのように、BEV製造現場にイノベーションをもたらすべく取り組む勢力もある。さらには、Uber Technologiesに代表される配車プラットフォーマーがスタンダード化し、移動サービスにも変革が訪れようとしている。
この先、今までどおりが通用しない環境が待ち受けているのだ。モビリティサービスが絶対解ではないが、新たなビジネスモデルを早期に構築しておく必要がある。
この領域では、トヨタに注目が集まるところだ。カーシェアやMaaSアプリ「my route」の展開のほか、実証都市「Woven City」で異業種を交えた前例のない取り組みに着手している。クルマやモビリティの既成概念を覆すような成果が生まれることに期待したい。
BEV化に関しては国策に拠るところが大きいが、遅かれ早かれBEVが主流となる時代がやってくる。バッテリー技術や充電技術、モーター技術など、従来とは異なる領域のテクノロジーが試されることになる。
この領域はテスラと中国BYDが販売台数で抜きん出ているが、技術的には自動車メーカーも大差ない。
生き残りの肝は自動運転技術にあり
そして自動運転技術だ。グーグル(Waymo)が仕掛けた自動運転開発競争は世界に波及し、多くのスタートアップが誕生した。その技術水準は、もはや自動車メーカーが及ばぬ領域にまで達している。自動車に関わる技術にもかかわらず、わずか10年ほどでテクノロジー企業やスタートアップに後れを取ってしまったのだ。
今のところレベル4は人やモノの輸送を担う商用サービス用途に限られており、その影響は限定的だが、近い将来自家用車へのレベル4搭載も始まる見込みだ。エンドツーエンドモデルの開発も大きく前進しており、レベル5相当の技術も想定より早く実現する可能性が出てきた。
おそらく、世界初のレベル4搭載車は自動車メーカーの独自技術ではなく、テクノロジー企業などとのパートナーシップのもと誕生するものと思われる。可能性があるとすれば、新興EV勢だろう。
今後、先行するテクノロジー企業とどのように協調、あるいは棲み分けを図っていくかが戦略の分かれ目となるが、技術力の格差がある以上、これまでのように業界が主導権を握ることができるとは限らない。ゆえに自動運転技術は生き残りの肝となるのだ。
今後、自動車メーカーは高速道路限定などの形でレベル4の導入を進めていく見込みだが、テスラのようにレベル5の実装を目指す動きもある。Tensor(旧AutoX)のように、レベル4市販車を販売する計画を発表する動きも出てきており、数年先の情勢も見通しにくい状況だ。
既存車両では、ホンダがレベル3で先鞭をつけ、メルセデスベンツなどが追随している。メルセデスは制限速度を満たす時速95キロまで対応している。
【参考】関連記事「自動運転レベル3(条件付運転自動化)の定義とは?展開企業・車種は?」も参照。
テスラは、自動運転ではないものの市街地などでも利用可能なレベル2+ADASを実現している。他の自動車メーカーとの技術力の差は歴然だ。実質レベル2+状態ながら、ロボタクシー事業にも着手している。
【参考】関連記事「テスラのロボタクシー運行範囲、もうGoogleの2.7倍に」も参照。
■将来生き残る自動車メーカーは?
対話型生成AIサービスに聞いてみた
将来的に生き残る自動車メーカーを明言するのは難しい。そこでAIの活用具合でも将来の有望度が変わってくる未来のことだけに、参考までに対話型生成AIサービスに「将来的に生き残る自動車メーカー」について聞いてみた。
Geminiは、「将来的に生き残る自動車メーカーは以下の主要なトレンドと課題にいかに対応できるかにかかっている」とし、その条件として「CASEへの対応力」「電動化(EVシフト)」「自動運転技術の開発」「ソフトウェア・デファインド・ビークル(SDV)への移行」「バリューチェーンの拡大」を挙げた。
競争力を持つメーカーについては、多くの市場調査や専門家の意見として以下のメーカー名を提示してきた。
- トヨタ:電動化(EV、HV、FCVなどマルチパスウェイ)への柔軟な対応と、ハイブリッド車で培った技術力がある。世界的に高い品質とブランド力を背景に、中古車市場での価値維持やアフターサービスといったバリューチェーンで強みを発揮している。
- ホンダ:自動運転技術の研究開発に注力しており、技術革新への意欲が高い。航空機事業など、自動車以外の分野での技術開発力も強み。
- BYD:世界最大のEV市場である中国を背景に、急速にEV生産・販売台数を伸ばしている。バッテリー技術に強みを持つ垂直統合型のビジネスモデルも特徴。
ChatGPTは、押さえておきたい潮流として、「電動化(EV・ハイブリッド)」「コスト競争・生産効率」「ソフトウェア・車両統合・新技術(バッテリー、半導体)」「新興勢力/地域シフト(特に中国)」「ブランド・信頼・品質」を挙げた。
これらを満たせるかどうかが将来の「勝ち組・負け組」の分かれ目になるとし、将来有望なメーカー(例)として以下を提示した。
- トヨタ:長年ハイブリッド技術で優位に立っており、環境対応を比較的早くから進めてきた。コスト競争/生産効率の観点でも規模と経験があり、構造的に強みがある。
- BYD:EVにフォーカスし、バッテリーを含む垂直統合体制を築いている。未来適応(Future Readiness)の指標でも上位に入っており、EV/ソフトウェア/デジタル化といった潮流にうまく乗っている。中国という巨大市場での強さ・スケールが大きな武器である一方、グローバル展開・ブランドの信頼・品質面では課題も指摘されている。
- フォルクスワーゲン:ヨーロッパを代表する大手で、EVシフト・コスト削減・生産効率の再構築に向けた戦略を明示している。既存の販売網・ブランド力・グローバル展開力が強み。ただし、急速な変化に対し、対応のスピードやソフトウェア化・デジタル化の点で、BYDやテスラなどに追われているとの分析もある。
Gensparkは、「EV技術への対応力」「規模の経済」「垂直統合」「市場適応力」を生存の鍵となる要素として挙げた。将来生き残る有力候補メーカーとしては以下を提示している。
- BYD:バッテリーから車両まで垂直統合による高い生産性が強み
- テスラ:EV専業メーカーとして確立された地位を持っている。技術革新とブランド力で市場をリード
- トヨタ:世界最大の自動車メーカーとしての基盤を持つ。ハイブリッド、EV、水素など多様な電動化技術を追求しており、資金力と技術力で長期的な生存可能性が高い。
- ホンダ:技術力と適応力を持つメーカー。「0シリーズ」など新型EV開発に10兆円投資している。
いずれも、特にファクトチェックが必要ない回答を示してくれた。圧倒的な実績と戦略の目が光るトヨタはやはり高評価だ。テスラはコングロマリット化しそうだが、テクノロジー企業としての顔を持ち合わせた技術力と独創的かつ野心的な戦略は非常に魅力的だ。
BYDは想定以上に高評価を得ている印象を受けるが、世界最大の中国市場をバックに持つ優位性とコストパフォーマンスは大きい。オールドメーカーと比べクオリティが心配されるところだが、技術的な伸びしろがまだ多く残されているかもしれない。
■【まとめ】リスクを嫌って保身に陥れば先はない
総合的に判断すると、王道を貫くトヨタ、EV新興勢の代表格でテクノロジー企業の顔も持ち合わせるテスラが有力だ。トヨタに隠れがちだが、ホンダの技術や戦略も洗練されている印象だ。
中国勢は、BYDを筆頭にどのようにグローバル路線を歩むかがカギを握ることになりそうだ。欧州勢は、EUの戦略によって淘汰を免れる可能性が高いが、再編がさらに進むものと思われる。
自動運転関連では、独自技術をどこまで磨くことができるか。また、テクノロジー企業とのパートナーシップをどのように進めていくかで戦略が分かれ、生き残りを左右していくことも想定される。
少なからず、リスクを嫌って保身に陥れば先はない。激動の時代はすでに始まっており、その衝撃は今後ますます強まっていくのだ。
【参考】関連記事としては「自動運転が可能な車種一覧(タイプ別)」も参照。












