
第51回衆議院議員総選挙が公示された。外交や安保、物価高対策などの経済政策に焦点が当てられているが、自動運転ラボとしてはやはり「自動運転施策」に注目したい。
争点になりにくい領域だが、安野貴博氏が率いるチームみらいは、産業面や地方創生などさまざまな観点から自動運転の導入を推進するマニフェストを掲げた。
各党は自動運転にどのように向き合っているのか。チームみらいの施策を中心に、各党の公約を見ていこう。
記事の目次
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■チームみらいの自動運転施策
最先端テクノロジーの実証特区を実現

チームみらいは、「未来」に向けた成長投資でこどもたちの世代が安心して暮らせる社会をつくり、「テクノロジー」で行政・政治を大胆に改革していくビジョンを掲げている。
成長投資分野では、AI、ロボティクス、自動運転をはじめとした技術を社会実装し、新産業の創出を推進していく。大学運営費交付金のさらなる拡充など、基礎研究への投資も大切にし、AI時代の成長を支える安定的かつ大量の電力を確保し、技術革新を賃上げと国民の豊かさに結び付けていく。
産業面では、自動運転をはじめとする最先端テクノロジーの社会実装により、便利で豊かな生活の実現を目指す。
ドローン配送や空飛ぶクルマ、生成 AIなど新しい技術が市場に届くスピードは年々加速している一方、許認可や安全基準は「省庁ごとに細かく分かれ、改正には年単位」という従来型プロセスにとどまり、産業と規制のギャップ・摩擦が生じていると指摘する。
特に、日本の強みである自動車産業については、昨今EV・自動運転にシフトしているが、ことさら自動運転の実装状況については他国に大きく後れを取っている状況にあるとする。
▼マニフェスト2026
https://policy.team-mir.ai/
そこで、自動運転をはじめとする最先端テクノロジーの実証特区の実現を目指す。住民・事業者・行政・学術界が参加できるオンラインツールを整備し、実装に向けた課題感や走行ルート安全基準など具体的な内容まで踏み込んだ議論を行うことで、関係者の合意形成を図る。
また、特区制度自体の見直しも検討し、社会課題に対し複数のアプローチを同時に実行できる仕組みを検討するほか、産官学・多機関連携アクセラレーターを設置し、技術実証から事業化までを一気通貫で支援する体制を整える。
経済財政の観点では、AGI(汎用人工知能)実現に向けた対応の一つとして、介護の現場における自動化や自動運転など、AGIによる果実を最大限に享受できるような制度設計・インフラ投資を進めるとしている。
地方創生の観点では、自動運転サービスを実用化し、誰もが自由に外出できる社会の実現を目指す。自動運転の先進地域である福井県永平寺町ではレベル4の自動運転バスが導入され、高齢者の移動支援や観光活性化に貢献しているとし、安全性に問題がないことが確認された自動運転サービスに対しては積極的な全国展開を承認し、過疎地の交通空白の解消や高齢社会における自由な移動につなげるとしている。
また、デマンド型モビリティや新型の地域版シェアリング交通の全国展開も掲げている。
公共交通空白地域や運転免許を返納した高齢者の移動手段を確保するため、タクシー不足の地域や時間帯において、デマンド型モビリティの全国展開を推進する。配車に際しては、AIを用いたリアルタイムでの最適化を行う。
また、三輪の特定小型原付(免許不要・最高時速20キロ)などを活用した、安全かつ利便性の高い地域版シェアリング交通を整備する。自治体と協力し、規制緩和や地方交付金を通じて、誰もが自由に外出できる仕組みを整えるとしている。
なお、これらの政策は2025年の参院選でも掲げていた内容だ。参院選では、余計なしがらみがなく、デジタル・AIの力で純粋に政治・立法府の変革を目指す期待感が先行し、マニフェストの細かな部分へのアプローチが不足していた感が強いが、安野氏が議席を獲得し、国政政党となったことで注目度はいっそう高まっている。
衆院でも議席を獲得することができるか、新たな一歩に注目したい。
■各党の自動運転施策
自民党
自民党は、危機管理投資・成長投資の観点から、全国で自動運転車やドローンによる自動配送などのデジタルを活用したサービスの活用を急ぎ、人手不足などの社会課題の解決に取り組むとしている。企業や業種を横断して、データやシステム連携を行うためのプラットフォーム構築を推進し、DXを通じた社会課題の解決とイノベーションを後押しする。
また、自動車・モビリティ産業においてデジタル化が競争軸になりつつある中、2030年のSDV(Software Defined Vehicle)世界市場シェア3割獲得を目指し、SDVに必要な技術開発、自動運転の社会実装の早期実現、脱炭素やサプライチェーン強靱化に資するデータの利活用を促進する。
社会資本整備の観点からも、国民の命と暮らしを支えるとともに、日本の経済成長を後押しする着実な道路整備・適切な管理の促進に向け必要な財源を確保し、災害に強い道路ネットワークの構築や自動運転の実装、無電柱化、交通安全対策、自転車利活用などの取り組みを持続的かつ計画的に推進するとしている。
これまで日本の自動運転施策・事業を推進してきたのは自民党だ。後退することなく法整備や実証環境の構築などを進めてきた。なお課題は残されているが、別格の米国・中国勢を除けば日本の取り組みは先進的である点をしっかり評価したいところだ。
【参考】関連記事「【重要】自動運転関連の委員会・検討会まとめ(国・省庁)」も参照。
日本維新の会
与党の一角となった日本維新の会は、「維新八策2026 個別政策集」において、世界的な開発競争が生じている自動運転の国内技術発展を支援し、自動運転レベル5の公道実験の推進などにより早期実用化を図ること、また、基礎自治体の域内交通について、法規制などの権限と財源を地方へ移譲し、地方部における小型モビリティやライドシェア、自動運転の規制緩和など、地方自治体がそれぞれの地域事情に応じて域内交通を最適化する取り組みを加速するとしている。
中道改革連合
立憲民主党と公明党が立ち上げた中道改革連合は、「第 3 の柱: 選択肢と可能性を広げる包摂社会の実現」における地域施策の中で、自動運転を推進し、通院・買い物などの生活の足を確保、MaaS 活用で交通サービスを高度化することや、移動・情報・建物・制度・まちづくり・コミュニケーションなどにおけるアクセシビリティを高め、社会的バリアを取り除くことを掲げている。
国民民主党
国民民主党は、世界で進行中の第4次産業革命として、量子コンピュータやIoT、ブロックチェーン、ロボット、AI、ビッグデータ、自動運転など多岐に渡る技術革新について、産学官・中小企業と大企業・国内外の企業家など異分野のプレイヤー同士を結び付ける手法を積極的に活用し、日本発の世界で戦える産業を育成するとしている。
自動運転に関しては、交通事故の削減や高齢者の移動支援、渋滞解消などに資する技術の実現に向け、レベル5を可能な限り早期に実現する。実現に向け、道路の高度化の基準をつくるとともに、交通ルールを変更・整備することで安全な交通社会の推進に取り組むとしている。
れいわ新選組・共産党・参政党・社民党・日本保守党
れいわ新選組、共産党、参政党、社民党、日本保守党は、公約を見る限り特に自動運転には触れていないようだ。
れいわは、物流問題克服に向け高速道路の無償化、地域の足であるバスや電車といった公共交通の継続的運営を国が支援し、再公営化などを検討するとしている。
■【まとめ】自動運転は交通課題を解決する重要施策
自動運転に否定的な党は基本的にないと思われる。選挙の争点になりにくいため、どのように開発と実装を推進していくか……という具体的アプローチに言及したものは少ないが、人やモノの移動を担う重要交通施策に位置付けられるべき領域のはずだ。
米中勢に比べ資本力で劣る国内民間事業者の取り組みをどのように加速させるか。また、海外有力勢の自動運転システムが本格的に国内に流れ込み始める今後を見据え、どのような方針で自動運転分野を成長させていくか……など、各党の考えが気になるところだ。
【参考】関連記事としては「【最新版】自動運転、日本政府の実現目標・ロードマップ一覧|実用化の現状解説」も参照。













