モビリティとは?意味・定義・種類は?(2024年最新版)

交通関連業界が多用する「モビリティ」



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モビリティサービス、スマートモビリティ、モビリティカンパニー――。近年、「モビリティ」(Mobility)という言葉を耳にする機会が多くなった。当サイトでも頻出するスタンダードなワードだ。


しかし、その定義は意外と曖昧で、漠然と使用していることが多い。そこで今回は「モビリティ」に焦点を当て、2024年時点の情報をもとに、言葉の定義をはじめモビリティ全般に渡る情勢や法律などについてまとめてみた。

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<記事の更新情報>
・2024年1月22日:モビリティサービスの一覧などを追記
・2023年11月21日:電動キックボードに関する法改正の情報などを追記
・2022年10月17日:記事初稿を公開

記事の目次

■モビリティとは?

モビリティは「移動」を意味する?

「モビリティ=Mobility」という英語は直訳すると「可動性」や「移動性」「流動性」「機動性」などを意味する。「モバイル=Mobile(形容詞)」の名詞形と捉えると理解しやすい。

▼mobility|英辞郎 on the WEB
https://eow.alc.co.jp/search?q=mobility


「モバイル」は「動ける」「移動型の」「機動性のある」「流動性がある」などを意味する。携帯電話やパソコンなどで「モバイル通信」「モバイルパソコン」といった感じでよく利用され、「モバイル=携帯端末」のように使われることが多くなった。

「モビリティ」も本来さまざまな事象に使用される言葉だが、近年自動車メーカーをはじめとする交通関連事業者が移動や輸送に結び付けて使用する例が多く、モビリティといえば人の移動やモノの輸送などを指すことが多くなっている。

出典:国土交通省

事実、「モビリティ分野」といえば、一般的に自動車業界(オートモーティブインダストリー)を中心とした交通関連業界を指す。自家用車やバスなどの各種自動車が人やモノを移動するための象徴的存在であるためと思われる。

こうした背景には、移動や輸送に対する概念や価値観などが転換期を迎えつつあることが関連していそうだ。IoT技術の普及で自動車なども常時インターネットにつながる時代が到来し、サービスの多様化が進み始めた。


自家用車やバス、タクシー、鉄道など、従来独立して存在していた各事業の垣根が低くなり、「移動」そのものに着眼した事業展開が求められるようになってきたのだ。このため、「モビリティ」という大枠で移動を俯瞰的に捉える目線が重要視されるようになったものと思われる。

やや曖昧ではあるが、モビリティは移動そのものや移動手段・方法を指して使われる――と認識しておけば間違いなさそうだ。

■モビリティの種類

多様化が進むモビリティ、ドローンやロボットも

出典:国土交通省/経済産業省

モビリティは、自家用車やバス、タクシー、トラックなどの自動車全般をはじめ、オートバイや自転車、原動機付自転車などの二輪車、鉄道、シニアカーなど、移動や輸送に関わるあらゆる手段・手法が含まれる。馬車はもちろん、環境によっては「馬」もモビリティと言えそうだ。

近年では、電動キックボードなどの新たな移動手段が市民権を得つつある。1人乗りのコンパクトなパーソナルモビリティ(Personal Mobility)においても、車道走行タイプや軽車両と同等のタイプなど、今後さまざまな種類が登場する可能性が高い。

また、モノを輸送するドローンや人の移動を担う空飛ぶクルマeVTOL)なども、「エアモビリティ」として注目を集めている。

▼Advanced Air Mobility in JAPAN 2021
https://www.mlit.go.jp/koku/koku_tk2_000007.html

このほか、自動運転機能を搭載した各種ロボットもモビリティにおける新領域として注目だ。輸送を担う宅配ロボットをはじめ、警備や掃除といった移動・輸送を伴わないロボットも、従来人が移動して担っていたタスクを代替することから、モビリティに該当するといっても間違いではなさそうだ。

【参考】関連記事としては「空飛ぶクルマとは」も参照。

■モビリティを取り巻く環境

公共交通への支出は減少傾向に

移動の軸となる自家用車や自転車、そして鉄道やバスといった公共交通。時代とともにそれぞれのシェアは変化していく。

交通動向や交通施策をまとめた令和4年(2022年)版の交通政策白書によると、1世帯あたりの年間公共交通運賃は、全国平均で2002年の53万5,252円から2021年には58%減となる22万4,007円まで激減している。自動車等購入・維持費は、194万1,580円から16%増の225万3,187円となった。

▼令和4年版交通政策白書
https://www.mlit.go.jp/sogoseisaku/transport/sosei_transport_fr_000129.html

出典:令和4年(2022年)版の交通政策白書(※クリックorタップすると拡大できます)

この間の家計消費支出総額は16.4%減少している。公共交通への支出はそれを上回る減少幅を見せる一方、自動車関連への支出は逆に伸びを見せているのだ。さまざまな要因が複合的に結び付いた結果ではあるが、この期間においては総じて公共交通から自家用車へのモビリティシフトが強まったものと思われる。

ただし、運転免許保有者数は2017年をピークに減少に転じており、乗用車保有台数も伸びは鈍化している。

東京都の資料によると、代表交通手段の分担率(全交通手段のトリップ数に占める割合)は、東京都の区部で自動車8%、鉄道50%、バス3%である一方、地方中心都市圏では自動車73%、鉄道2%、バス1%と大きく異なっている。

出典:東京都都市整備局(※クリックorタップすると拡大できます)

▼地域公共交通の現状と課題|東京都都市整備局
https://www.toshiseibi.metro.tokyo.lg.jp/bunyabetsu/kotsu_butsuryu/pdf/chiiki_koutsu_kentoukai01_2-1.pdf

公共交通網が完備され、また道路渋滞が慢性化している大都市圏では公共交通需要が高く、逆に公共交通が限られている地方部では乗用車への依存度が高くなる傾向にある。

今後どのように推移していくかは予測の域を脱しないが、後述する自動運転技術やMaaSの普及が分担率に影響を与える可能性は非常に高そうだ。

国内旅客輸送量は自家用車639億人

国内旅客輸送量(人ベース)は、バブル期の1991年度をピークに減少を続けた後、2005年度ごろから再び微増傾向にあるようだ。コロナ禍前の2019年度の自家用車による国内旅客輸送量は約639億人で、自家用車を除く鉄道やバスなどの国内旅客輸送量は約309億人となっている。分担率では、鉄道81.5%、乗り合いバス13.8%、タクシー4.1%となっている。

物流では小口輸送が大幅増加

物流関連では、国内貨物輸送(トンベース)は1990年ごろをピークに緩やかな減少傾向が続いている。砂利やセメント製品など、重量のシェアが大きな貨物の出荷量の減少が背景にあるという。

その一方、BtoB商取引における貨物出荷の小口化や、インターネットを介したBtoCやCtoC商取引は拡大傾向にあり、売り主から買い主への小口輸送の増加に伴い宅配便取扱個数は大幅に増加している。2021年度の宅配便取扱個数は過去最高を更新する49億5,300万個に達した。

宅配便等取扱個数の推移(国土交通省調べ)=出典:国土交通省(※クリックorタップすると拡大できます)

10年スパンで見ると、1991年度は11.9億個、2001年度は26.5億個、2011年度は34億個で、近々の10年間だけでも約15億個増加しているのだ。

▼令和3年度宅配便等取扱実績関係資料|国土交通省
https://www.mlit.go.jp/report/press/content/001494501.pdf

慢性化するドライバー不足もモビリティに影響

内閣府の「国民経済計算年次推計」によると、鉄道や道路運送、水運、航空運輸を含めた運輸・郵便業の2020年における国内総生産は23.4兆円で、全体の4.3%を占めている。一方、総務省の「労働力調査」によると、2021年における交通事業の就業者数は352万人となっており、全産業の就業者数の5.2%を占めている。

膨れ上がる宅配需要を中心にドライバー不足が慢性化している状況で、こうした要素もモビリティサービスやモビリティシフトなどに影響を与える要因となる。

▼国民経済計算年次推計|内閣府
https://www.esri.cao.go.jp/jp/sna/kakuhou/kakuhou_top.html

カーボンニュートラルがスタンダードに?

近年注目度が高まっている二酸化炭素排出量やカーボンニュートラルといった環境関連の問題も、モビリティに大きな影響を与えている。

2020年度における国内の二酸化炭素排出量は10億4,400万トンで、このうち運輸部門におけるエネルギー起源二酸化炭素排出量は1億8,500万トンに上る。排出量全体の17.7%を占めている状況だ。

これまでも、大気汚染防止法の特別措置法である自動車NOx・PM法や環境基本法などに基づくディーゼル車規制条例などさまざまな施策が実施されてきたが、近年は欧州などを中心に脱炭素・カーボンニュートラルの風潮が強まり、自家用車のEV(BEV)シフトや公共交通の利用促進などが大きく叫ばれるようになっている。

モビリティを取り巻くさまざまな影響を受けながら、モビリティの在り方は時代とともに変化していくようだ。

■モビリティとサービス

多様化が進むモビリティサービス

モビリティサービスの代表例としては、バスやタクシー、鉄道などの公共交通やレンタカーなどが挙げられる。移動に関連する各種サービス全般がモビリティサービスに該当するが、こうした基本的なサービスも当然含まれる。

近年はシェアリングサービスに注目が集まっており、カーシェアやサイクルシェアなどが勢力を拡大している。電動キックボードのシェアサービスの人気も高まりつつある。

海外では、自家用車をシェアするライドシェア市場が急成長を遂げた。目的地が同一方向の利用者が乗車する乗り合いサービスと、白タクのように自家用車を活用するサービスに大別できる。このほか、AIを活用したオンデマンドバスなどのサービスも裾野を拡大している。

<モビリティサービスの代表例>

  • バス
  • タクシー
  • 鉄道
  • レンタカー
  • シェアサービス(自動車・自転車・電動キックボードなど)
  • ライドシェア
  • 自動運転タクシー

これらのさまざまな交通サービスを同一プラットフォーム上で統合するMaaSは、モビリティサービスの象徴的存在と言える。

また、観光や飲食、各種体験など移動目的となり得るさまざまなサービスと移動サービスを結び付け移動促進を図る事業や、「KINTO FACTORY」のように自家用車の進化を図るサービスなどもモビリティサービスに含まれるものと解される。自動車が生み出す各種データを活用したサービスなども該当しそうだ。

▼KINTO FACTORY公式サイト
https://factory.kinto-jp.com/

出典:KINTO FACTORY公式サイト

移動に利便性や効率性をもたらすサービスや新たな価値を付加するサービスなど、モビリティに関連して派生するさまざまなサービスが広義にはモビリティサービスに含まれることになる。

【参考】KINTO FACTORYについては「トヨタのKINTO FACTORYとは?マイカーが進化(2022年最新版)」も参照。

■モビリティ業界における革新

CASEの波が交通全体を最適化

出典:メルセデスベンツ公式ウェブサイト

自動車業界には現在、CASE(コネクテッド・自動運転・シェアサービス・電動化)の波が押し寄せている。自家用車も商用車もインターネットで常時接続され、電動化が図られ、ADAS(先進運転支援システム)を含む自動運転技術が搭載される。それと並行してシェアサービスをはじめとした各種サービスを模索していく――こういった事業展開が進められているのだ。

【参考】関連記事としては「CASEとは?意味は?(2022年最新版)」も参照。

自動車はIoT化され、コンピューターとしての色を濃いものに変えていく。また、自動運転技術の普及によって自動車は操作するものから徐々に利用・管理するものへとシフトしていくことになる。

従来、ドライバーによる手動運転が前提だった自動車において、運転操作するタスクをコンピューターが担いドライバーレスを実現する自動運転技術は大きなイノベーションとなる。コネクテッド技術は、周囲の車両や交通インフラとの連携を可能にし、スムーズな道路交通を実現する。

こうした技術は自家用車の価値も高めるが、それ以上にバスやタクシーなどの商用車の価値を高めていくことになると思われる。ドライバーレスにより削減された人件費は低運賃となって利用者に還元され、安全かつ効率的な運行を実現するのだ。

自家用車から移動サービスへのシフトが進み、MaaSを通じて各種移動サービス同士の連携も進んでいくことで、交通全体が最適化されていくことが予想される。

MaaSがモビリティサービスに新たな価値をもたらす

すでに何度も登場しているが、MaaSもモビリティ業界の革新を担っていく重要な要素となる。「Mobility as a Service=移動のサービス化」の略で、言葉の通りモビリティサービスを象徴する概念だ。

広義にはさまざまなモビリティサービスが含まれるが、多くの場合「MaaSプラットフォーム(アプリ)」を介した各種サービスを指す。バスやタクシーなどのさまざまな移動手段の経路検索や予約、決済などを同一アプリ上で可能にし、さらに対象エリアにおける観光や飲食などの地域産業・サービスを結び付けることで移動に付加価値をもたらす。

出典:国土交通省(※クリックorタップすると拡大できます)

モビリティサービスの利便性向上や新価値創出を担うプラットフォームとして、今後MaaSがどのような進化を遂げていくのか、要注目だ。

【参考】MaaSについては「【最新版】MaaSとは?基礎知識まとめと完成像を解説」も参照。

■モビリティと自動運転

自動運転がモビリティの可能性を広げる

Google系Waymoは自動運転タクシーのリーティング企業だ=出典:Waymo公式サイト

前述したように、自動運転技術は従来人が担っていた車両の制御をコンピューターが代替し、ドライバー不在の走行を実現する。無人化を図ることで商用サービスにおいては人件費を削減できるほか、交通安全の進展にも大きな期待が寄せられる。

特に無人化は、移動サービスや輸送サービスの構造を激変する可能性を含んでいる。バスやタクシー、宅配などの各事業において、支出に占める人件費率は非常に高く、故にこの人件費を削減することで業績改善や低料金化を図ることが可能になるのだ。

赤字運営が前提となっている地方の公共交通に事業の継続性を生み出し、激増する宅配需要を効果的に消化することが可能になる。経営面に余力が生まれることで、新たなサービス創出への期待も持つことができる。

自動運転技術は、各モビリティの可能性を大きく広げていく起爆剤として近い将来大注目の的となるはずだ。

■モビリティに関するワード

パーソナルモビリティ:1人乗りの低速移動手段のこと

実証実験の様子=提供:WHILL

パーソナルモビリティに明確な定義はないが、多くの場合歩行者に近い1人乗りの低速移動手段を指す。電動キックボードや電動シニアカー、電動車いすなどが該当する。

また、自転車など動力を持たない既存の移動手段を含むケースもあるほか、パーソナル用途の超小型モビリティを含むケースなどもある。

2023年7月1日に施行された改正道路交通法においては、電動キックボードに関する交通ルールの緩和が行われ、これにより特定の区分の電動キックボードが公道走行可能になった。

そして電動キックボードのうち「特定小型原動機付自転車」に該当する製品であれば、16歳以上であれば運転免許は不要となった。

スマートモビリティ:AIやIoT技術などを活用したモビリティ

スマートモビリティは、AIやIoT技術などを活用して移動に利便性をもたらす個々の移動手段や技術、移動体系全体の総称を意味する。

自動運転車やBEV、コネクテッドカーをはじめ、各種シェアリングサービスや、移動や移動サービスに利便性をもたらす路車間通信技術、クラウドサービスなど、移動をスマートなものに変えるテクノロジー全般を指すものと解される。

無人モビリティ:自動運転タクシーや自動運転バスなどを指す

(左)EasyMileの自動運転シャトル=出典:EasyMile公式サイト/(右)Navyaの自動運転シャトル=出典:Navya公式サイト

「無人モビリティ」はスマートモビリティの一種、もしくは後述するスマートモビリティの一種と考えられる。自動運転タクシーや自動運転バス(シャトル)など、運転手を必要としないモビリティのことで、モビリティの中でもこの種類のモビリティは成長余地が大きいと考えられている。

超小型モビリティ:自動車よりコンパクトで小回りが利く

トヨタ車体製の超小型モビリティ「COMS(コムス)」=出典:トヨタ車体プレスリリース

超小型モビリティは、一般的な自動車よりコンパクトで小回りが利き、かつ環境性能に優れた1~2人乗り程度の車両を指す。国土交通省が2013年に同モビリティの認定制度を創設し、公道走行を可能にするなど導入促進を図っている。

その大きさや定格出力に応じ、「第一種原動機付自転車(ミニカー)」「軽自動車(型式指定車)」「軽自動車(認定車)」の3区分に分類される。最高時速は概ね60キロだ。

代表例としては、トヨタのi-ROADやトヨタ車体のコムス、ホンダのMC-β、日産のニューモビリティコンセプトなどが挙げられる。

【参考】超小型モビリティについては「超小型モビリティが、高齢者の移動に革新をもたらす」も参照。

次世代モビリティ:先端技術を活用した進化型の移動手段

次世代モビリティは、自動運転に代表される先端テクノロジーを活用した進化型の移動手段を指す。AIを活用したオンデマンドサービスやシェアサービスなども含まれるものと解される。将来におけるスタンダードな存在として、BEV(バッテリーEV)などを含むこともある。

空飛ぶクルマやドローンなども次世代モビリティとして高い期待が寄せられているところだ。また一般的に「次世代モビリティ」と表現した場合、スマートモビリティや無人モビリティも包括することが多い。

モビリティサービス:カーシェアや配車プラットフォーム

自動車をはじめとするさまざまな移動手段を活用した移動サービスや輸送サービスそのものや、各サービスや移動をより効用の高いものとする技術・サービス全般を指す。

カーシェアなどの移動サービスをはじめ、配車プラットフォームなど各移動サービスに付加価値をもたらすサービスなども含まれる。

Mobility as a Service(MaaS):サービスとしての移動

出典:Whim公式サイト

略称MaaSで、直訳すると「移動のサービス化」「サービスとしての移動」を意味する。多くの場合、特定エリアにおける移動全般を一つのサービスとして捉え、さまざまな移動手段をシームレスに利活用できるようにする概念を指す。

スマートフォンアプリなどを介し、経路検索や予約、決済といった各機能の統合を図るのが主流となっているが、移動サービスそのものの統合を図っていく動きもあるほか、地域の飲食店などと結び付け、移動の促進や利便性向上を図る動きなども盛んだ。

元祖MaaSアプリとしては、フィンランド企業のMaaS Globalが展開する「Whim」(ウィム)が挙げられる。日本のMaaSアプリとしては、トヨタが開発・展開している「my route」(マイルート)にも注目だ。

【参考】MaaSについては「【最新版】MaaSとは?基礎知識まとめと完成像を解説」も参照。

eモビリティ:動力に電力を活用した移動手段

eモビリティは、動力の全部または一部に電力を活用した移動手段を指す。BEV(バッテリーEV)やPHEV(プラグインハイブリッド)をはじめ、電動キックボードや電動アシスト付自転車なども含まれる。

バッテリーや充電技術、モーター技術の向上がカギを握るが、未来のモビリティのスタンダードとなり得る存在だ。

モビリティカンパニー:トヨタが用いた用語

トヨタ自動車の豊田章男社長=出典:トヨタ自動車ニュースリリース

モビリティカンパニーは、トヨタ自動車の豊田章男社長がCES2018のプレカンファレンスで用いた用語だ。章男社長は「クルマ会社を超え、人々のさまざまな移動を助ける会社、モビリティカンパニーへと変革することを決意した」と述べている。

従来の自動車を製造・販売する企業から、移動そのものに重点を置いた事業体制へのシフトを意味するものと解される。

■【まとめ】モビリティを取り巻く環境は大変革の真っ只中に

ざっくりとした結論となるが、人の移動やモノの輸送などを担う手段・手法を「モビリティ」と呼び、それに関連した諸サービスが「モビリティサービス」となる――と認識していれば、多くの場合意味は通じるだろう。

このモビリティを取り巻く環境は時代とともに変化し、現在は自動運転やMaaSを含むCASEの潮流のもと大きな変革期を迎えている。モビリティ業界はこの変革にどう対応し、どのような商機を見出して新たな価値を創出していくのか。業界の動向に引き続き注目だ。

【参考】関連記事としては「自動運転はどこまで進んでる?(2023年最新版)」も参照。

■関連FAQ

    モビリティの意味は?

    モビリティは自動車などのハードウェアそのものを指すことも多いが、移動手段・方法を指して使われることも多くなってきている。

    代表的なモビリティサービスは?

    従来からあるバスやタクシー、鉄道などもモビリティサービスに含まれる。近年は、カーシェアやライドシェアも新しいモビリティサービスとして注目を集めるようになっている。

    Mobility as a Serviceとは?

    Mobility as a Serviceは略して「MaaS」(マース)という単語で使われる。直訳すると「サービスとしてのモビリティ」「サービスとしての移動」で、さまざまな移動手段を1つのアプリなどで一元的に検索・予約・決済できるようにすることなど、「移動」に新たな付加価値を誕生させようとする動きのことを指す。

    トヨタが目指している「モビリティカンパニー」とは?

    トヨタは誰もが知る自動車メーカーだが、車両を製造するだけではなく、移動に関するさまざまなサービスも包括的に提供しようとしている。そんな中でトヨタの豊田章男社長は「クルマ会社を超え、人々のさまざまな移動を助ける会社、モビリティカンパニーへと変革することを決意した」と述べ、モビリティカンパニーという言葉を使っている。

    モビリティと相性がいい技術は?

    例えばAI技術が挙げられる。自動運転や移動ルート最適化などにはAI技術が欠かせない。高いクラウド・通信技術も求められる。近年は、ハードウェアとしてのモビリティがネットワークと接続するのは当たり前のことになりつつある。

(初稿公開日:2022年10月17日/最終更新日:2024年1月22日)

記事監修:下山 哲平
(株式会社ストロボ代表取締役社長/自動運転ラボ発行人)

大手デジタルマーケティングエージェンシーのアイレップにて取締役CSO(Chief Solutions Officer)として、SEO・コンテンツマーケティング等の事業開発に従事。JV設立やM&Aによる新規事業開発をリードし、在任時、年商100億から700億規模への急拡大を果たす。2016年、大手企業におけるデジタルトランスフォーメーション支援すべく、株式会社ストロボを設立し、設立5年でグループ6社へと拡大。2018年5月、自動車産業×デジタルトランスフォーメーションの一手として、自動運転領域メディア「自動運転ラボ」を立ち上げ、業界最大級のメディアに成長させる。講演実績も多く、早くもあらゆる自動運転系の技術や企業の最新情報が最も集まる存在に。(登壇情報
【著書】
自動運転&MaaSビジネス参入ガイド
“未来予測”による研究開発テーマ創出の仕方(共著)




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