韓国のサムスン電子は2021年3月23日までに、Google系Waymo(ウェイモ)の自動運転車向けの半導体設計を受注したことを発表した。米メディアなどが報じた。
サムスン電子が手掛けるのは、自動運転車のセンサーから収集したデータを計算する半導体や、Googleのデータセンターとリアルタイムで情報交換して機能を制御する半導体だという。
ちなみにサムスン電子は、米EV(電気自動車)大手のテスラとパートナーシップを結んでいることでも知られ、自動運転向けチップの製造やIVI(車載インフォテインメント)用半導体の製造で連携していると、2021年1月に報じられている。
■半導体各社、各メーカーへの採用に向けアピール強化
自動運転車の開発では半導体が欠かせない。そんな中、半導体設計・開発各社は、各自動車メーカーが開発する車両に自社の半導体や半導体の技術を採用してもらおうと、自社製品や自社技術のアピールに余念がない。
2021年に入ってからは、米半導体大手NVIDIA(エヌビディア)が中国の新興EVメーカーNIOに対してシステム・オン・チップ(SoC)を供給することが発表され、話題になった。そのほか最近では、米AppleがApple Car向けの半導体を外注する場合、どの企業に委託するのかも注目のトピックスだ。
【参考】関連記事としては「米半導体大手NVIDIA、中国NIOに自動運転向けプロセッサを提供」も参照。
また、少し古い話になるが、2017年10月には日本のルネサスエレクトロニクスが、トヨタ自動車が開発する自動運転車向けに高性能半導体を供給することを発表している。
こうした状況の中で、世界で初めて自動運転タクシーの商用サービスを展開しているWaymoの半導体設計をサムスン電子が受注したわけだが、Waymoは自動運転業界の中でも一際目立つ企業であることもあり、サムスン電子の自動運転業界での存在感も飛躍的に高まりそうだ。
■サムスン電子、自動運転関連でさまざまな取り組み
サムスン電子は近年、自動運転技術やコネクテッド技術の領域で、すでにさまざまな取り組みや動きをみせている。
Waymoとつながりを持つフィアット・クライスラー・オートモービルズ(FCA)は、コネクテッド技術の開発を米グーグルとサムスン電子に外部委託することを2019年4月に発表している。
自動運転技術を有する企業への出資や買収にも積極的だ。2017年にはイスラエルのLiDAR開発企業InnovizTechnologiesに出資を行っているほか、2021年2月にはV2V(車車間通信)技術などを手掛ける米Savariを子会社を通じて買収すると発表した。
半導体関連にとどまらないサムスン電子の多角的なアプローチに、今後も注目だ。
【参考】関連記事としては「FCA、コネクテッド技術の開発をグーグルとサムスンに外部委託」も参照。