自動運転ランキング、まとめて紹介!「国別」や「メーカー別」の調査結果は?

特許出願などのランキングも

B!

世界各国で開発と実用化に向けた取り組みが進められている自動運転。自動車メーカーやテクノロジー企業、スタートアップらが入り混じり、次世代モビリティ分野の覇権をめぐり激しい開発競争を繰り広げている。

業界地図は毎月のように更新され続けているが、各社の開発に対する外部評価はどのようになっているのか。この記事では、開発各社や国などをさまざまな観点から分析・ランキング化したデータを集め、紹介していく。

■自動運転システムのトップ10ベンダー

自動運転の本丸である「自動運転システム」。自動車メーカーやテクノロジー企業、スタートアップらがしのぎを削る「花形」とも言える開発領域だ。

米調査会社Navigant Researchは2020年、こうした自動運転システム企業のトップ10ベンダーを発表した。同社によるランク付けは以下の通りとなっている。

日本勢がランクインしていないことに異議を申し立てたいところだが、日本勢は総じて開発競争に乗じることなくしっかりと足元を固めているため、客観的には妥当なのかもしれない。また、1~10位のそうそうたる顔ぶれには納得せざるを得ない開発力と魅力を感じるのも事実だ。

1位のWaymoをはじめ、Cruiseや百度、Intel・Mobileye、Aptiv・現代自動車、Yandexなどは、すでに自動運転タクシー実用化に向けた取り組みを具体化している。2位のFord、7位のVWグループは、ともにArgo AIと共同戦線を張り、順調に開発を進めている印象だ。

なお、Navigant Researchが2019年に発表した同種のランキング「2019自動運転車リーダーボード」では、トヨタが9位、ルノー・日産・三菱アライアンスが10位にランクインしている。

わずか1年間で大きく情勢が変わる自動運転業界を象徴する調査結果と言える。Cruiseと手を結ぶホンダを含め、今後の日本勢の躍進に期待したいところだ。

【参考】Navigant Researchの調査結果については「1位はあの企業…自動運転システム企業、トップ10ベンダーは!?」も参照。

■国別自動運転対応指数ランキング

コンサルティング世界大手のKPMGは、自動運転実現に向けた各要素を国別に指数化した「自動運転車対応指数」を2018年から毎年発表している。自動運転に対する各国の法規制やインフラ整備、テクノロジー開発の具合をスコア化し、総合評価したものだ。

ここでは、最新の2020年版のランキングを紹介していこう。

1位のシンガポールは、OEMをはじめとした自動産業が乏しいものの、政策と法律、受容性でトップに立ち、総合1位の座に輝いた。2位のオランダはインフラが1位となっている。

日本は、前年の10位から11位に後退した。要素別では、政策と法律18位、テクノロジー3位、インフラ6位、受容性18位という結果だ。関連特許数などテクノロジー関連の評価が高い一方、法規制や受容性などの課題が指摘されている。

【参考】国別自動運転対応指数ランキングについては「自動運転指数、なぜ車産業がないシンガポールが1位なのか」も参照。

■自動運転関連の特許出願ランキング

最先端技術を争う自動運転分野。各社の開発力を示す指標の一つに特許取得数が挙げられる。データ上「特許出願件数」となるが、特許庁が2021年2月に発表した「特許出願技術動向調査 結果概要 MaaS ~自動運転関連技術からの分析~」の中で、2014~2018 年における日米欧独中韓への特許出願件数がランキング化されている。

自動運転関連技術に関する特許出願件数は以上の結果となっている。トヨタが頭一つ抜きんでているほか、日本企業の健闘が目立つ内容となっている。

■米カリフォルニア州での公道実証走行距離ランキング

おそらく世界で最も多くの企業が公道実証を行っている米カリフォルニア州。自動運転実証のメッカとして最先端テクノロジーが集結しており、ここでの走行実績は世界の開発各社を比較する上で大きな参考となる。

以下、同州車両管理局(DMV)が公表しているデータを基に、2019年12月から2020年11月までの期間における走行許可取得企業の走行実績をランキング化した。

前年まで首位をキープしていたWaymoに代わり、Cruiseがトップに躍り出た。Cruiseはドライバーレスでの走行許可のほか、2021年に旅客運送に関する規制権限を持つCPUC(カリフォルニア州公益事業委員会)から自動運転車による移動サービスの許可も取得しており、同州における自動運転タクシーの急先鋒となっている。このため、2020年12月からの1年間の走行距離はさらに数字を伸ばしている可能性が高い。

なお、日本勢はトヨタ(Toyota Research Institute)が約4600キロ、日産(Nissan North America)が約630キロとなっている。

【参考】Cruiseの取り組みについては「「無人」自動運転タクシー、カリフォルニアでCruiseが一番乗りへ」も参照。

■米カリフォルニア州での公道実証手動介入率

DMVは、同州における公道実証中に各社がどれほど手動介入を行ったかを示す離脱レポートも公表している。そこで、2019年12月から2020年11月までの期間に1万マイル以上を走行した企業を対象に、手動介入1回あたりの走行距離を算出し、ランキング化した。

1位のWaymoは、2万9945マイル(約4万8200キロ)に1回手動介入するという完成度だ。10位のAurora Innovationでも330マイル(約530キロ)に1回と考えると、全体のレベルの高さがうかがえる。

もちろん、手動介入する条件や走行エリアなどにばらつきがあるため単純比較はできないが、同州における公道実証がどういったレベルで行われているのか、参考にはなりそうだ。

■【まとめ】Waymoを猛追する2番手集団、各社の動向に要注目

開発企業別では、大方の予想通り大半のランキングでWaymoが高評価を得ていた。いち早く自動運転開発に本格着手し、サービス実装に力を入れ続けるその姿勢は、依然として業界リーダーの地位を保ち続けている。

ただ、Cruiseや百度といった2番手集団の追い上げも激しく、その差は年々縮まっているようにも感じる。著しい進化を遂げ続けている自動運転分野は、わずか一年で情勢が一変する。この記事で紹介したランキングは2019~2020年ごろのものが中心であるため、最新の発表では新たなサプライズが生まれているかもしれない。

目まぐるしく変わり続ける自動運転業界。引き続き目を離すことなく動向を注視していきたい。

【参考】関連記事としては「自動運転、「商用展開」を実現済みの企業・事例まとめ」も参照。

記事監修:下山 哲平
(株式会社ストロボ代表取締役社長/自動運転ラボ発行人)

大手デジタルマーケティングエージェンシーのアイレップにて取締役CSO(Chief Solutions Officer)として、SEO・コンテンツマーケティング等の事業開発に従事。JV設立やM&Aによる新規事業開発をリードし、在任時、年商100億から700億規模への急拡大を果たす。2016年、大手企業におけるデジタルトランスフォーメーション支援すべく、株式会社ストロボを設立し、設立5年でグループ6社へと拡大。2018年5月、自動車産業×デジタルトランスフォーメーションの一手として、自動運転領域メディア「自動運転ラボ」を立ち上げ、業界最大級のメディアに成長させる。講演実績も多く、早くもあらゆる自動運転系の技術や企業の最新情報が最も集まる存在に。(登壇情報
【著書】
自動運転&MaaSビジネス参入ガイド
“未来予測”による研究開発テーマ創出の仕方(共著)



B!
関連記事