タクシーやバスなどの商用分野では自動運転サービスの普及が少しずつ進展している。自動運転社会の到来だ。一方、自家用車においては、一部で自動運転の初歩となるレベル3の実装が始まっているが、まだまだ全体の動きとしては限定的だ。
しかし、自動運転の一歩手前にあたるレベル2+は着実に拡大傾向にあるようだ。この記事では、自動車メーカー各社において、「自動運転に最も近いモデル」とその機能について解説していく。
【参考】関連記事としては「自動運転とは?分かりやすく言うと?業界をリードする企業は?」も参照。
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■日本勢
トヨタ/レクサス:MIRAIとLS搭載の「Advanced Drive」が全車速域でハンズオフを実現
トヨタ・レクサスの市販車の中では、ハンズオフ運転を可能にする「Advanced Drive」を搭載したMIRAIとレクサスLSが最も自動運転に近い。
Advanced Driveは、高速道路や自動車専用道路において、交通状況に応じて車載システムが適切に認知・判断・操作を支援し、車線・車間維持、分岐、車線変更、追い越しなどを行いながら目的地の分岐まで運転を支援する。
システム作動中、ドライバーは常時周囲の状況を監視する必要があるが、ハンドルから手を離すことができる。最高速度は時速125キロまで対応しており、日本国内の高速道路であれば問題なく使用できそうだ。
トヨタはこのほか、時速40キロを上限とした自動車専用道路渋滞時におけるハンズオフ機能「アドバンスト ドライブ(渋滞時支援)」も用意している。アルファードやクラウン、ヴォクシー、ランドクルーザー250などに搭載可能だ。
【参考】Advanced Driveについては「トヨタの新型LS、「人とクルマが仲間」な自動運転レベル2搭載」も参照。
ちなみにトヨタの運転支援技術に関しては、テスラが展開している「Autopilot」や「FSD(Full Self-Driving)」よりもハイクオリティという声があり、トヨタは自動運転というワードを使用していないものの「ほぼ自動運転」「実はレベルが高い」といった賞賛系の評価がSNSなどで散見される。
【参考】関連記事としては「トヨタの自動運転技術、すでに「テスラ超え」か ”実はレベル高い”との声多数」も参照。
日産:ハンズオフ可能な「Pro PILOT2.0」をアリアとセレナに設定
日産は、国内メーカーとしてはいち早く2019年にハンズオフを導入した。高精度地図データと360度センシングで同一車線内ハンズオフ運転を可能にする「Pro PILOT(プロパイロット)2.0」をアリアとセレナに設定している(2024年11月時点)。現状、この2車種が日産において自動運転に最も近いモデルと言える。
設定車速は制限速度プラス10キロまで可能となっている。同一車線内ハンズオフだが、前方に遅めの車両が走行している場合、システムが追い越し可能と判断するとドライバーに追い越しが提案され、スイッチ操作で承認すると右側の車線へ車線変更し、追い抜きが完了すると車線変更可能なタイミングをシステムが判断して同様の操作で元の車線へと戻る。
もともとはスカイラインに設定されていたが、こちらはラインアップから外されている。
【参考】Pro PILOT2.0については「日産の自動運転戦略 プロパイロット2.0の搭載車種は?」も参照。
ホンダ:レベル3機能「Traffic Jam Pilot」をレジェンドに搭載
ホンダは2021年、ハンズオフを可能にする最新ADAS「Honda SENSING Elite(ホンダ センシングエリート)」を搭載した新型レジェンドを発売した。レジェンドには、量産車で世界初となるレベル3技術「Traffic Jam Pilot(トラフィックジャムパイロット)」も備えられ、アイズオフ運転も実現している。
レベル3は、ハンズオフ機能付車線内運転支援機能が作動中、渋滞などで車速が時速30キロ以下になり、かつ前後に車両がいる際に作動・試用できる。渋滞が解消するなどし、車速が時速50キロ以上になると作動を終了し、運転者に操作要求を行う。
ハンズオフは高速道路における制限速度をしっかり満たし、追い越し作業もハンズオフで行うことを可能にしている。
なお、Honda SENSING Elite搭載のレジェンドはリース限定販売だったため、現在は市販されていない。
【参考】Traffic Jam Pilotについては「ホンダの自動運転戦略 レベル3車両発売、無人タクシー計画も」も参照。
スバル:「アイサイトX」で渋滞時ハンズオフを実現
スバルは2020年、自動車専用道路上での渋滞時(時速0~50キロ)で使用可能な渋滞時ハンズオフアシスト機能を備えたADAS「アイサイトX」をレヴォーグに設定した。
レガシィ アウトバック、レイバック、WRX S4のほか、先行予約受付中のクロストレックストロングハイブリッドにも搭載予定だ。
渋滞時限定のため他社に見劣りするが、スバルは2020年代後半を目標に一般道における高度レベル2の実現を目指しているという。今後の動向に注目したい。
【参考】アイサイトXについては「「スバルが一般道で自動運転」の違和感 メディアの表現は適切?」も参照。
■米国勢
GM:北米120万キロの道路で利用可能なハンズオフ「Super Cruise」を展開
GMは、ハンズオフ機能「Super Cruise」を2017年に市場化し、キャデラック「エスカレード」やシボレー「ブレイザーEV」など各ブランド含め20車種に搭載している(2024年11月時点)。
対象道路は徐々に拡大しており、2024年2月には米国とカナダで総距離約40万マイル(64万キロメートル)から約75万マイル(120万キロメートル)に拡張した。小さな都市や町を結ぶマイナー高速道路を追加したという。
ハンズオフ状態でのレーンチェンジや、トレーラーをけん引した状態でのハンズオフ運転なども可能にしている。
【参考】Super Cruiseについては「GMのセミ自動運転機能「Super Cruise」、アップグレード&搭載拡大」も参照。
フォード:ハンズオフ機能「BlueCruise」を5車種で展開
フォードは、北米の高速道路13万マイル(約21万キロ)を網羅したハンズオフ機能「BlueCruise」を展開している。ハンズオフによる車線変更も可能だ。
搭載車種は、マスタングマッハ-EやF-150、F-150ライトニング、エクスペディション、エクスプローラーとなっている。
テスラ:FSDバージョンアップで実質ハンズオフが可能に
テスラは将来的な自動運転化を見据えたADAS「FSD」を展開している。現行はあくまでADASのためドライバーは常時監視が必要だが、2024年のFSD.Ver.12.4のアップデートで実質ハンズオフを可能にした。
テスラオーナーの中には常時監視などドライバーの義務を果たさない者が多く、対策としてテスラはハンドルにセンサーを内蔵し、ドライバーがちゃんと運転席に座って手動制御の構えができているかを監視していた。
このシステムを、バージョンアップによって車内のドライバーモニタリングシステムで代替できるようにした。つまり、ドライバーはハンドルから手を離した状態でもちゃんと運転席で前方などを注視していればOKとなったのだ。
FSDは、他のメーカーのように特段利用可能なエリアを制限しておらず、住宅街などでも使用できる。利用可能エリアの点では他社を圧倒していると言える。
【参考】FSDについては「テスラの自動運転技術・Autopilot/FSDを徹底分析」も参照。
■欧州勢
メルセデス・ベンツ:レベル3機能「DRIVE PILOT」をS クラスと EQS セダンに設定
メルセデス・ベンツは2022年、SクラスとEQSセダン向けの有料オプションとしてレベル3システム「DRIVE PILOT」の展開を開始した。対象エリアはドイツのほか、米カリフォルニア州とネバダ州の一部主要高速道路に拡大している。
ホンダ同様時速40マイル(約64キロ)以下の渋滞時に作動するが、2024年9月の発表では、次期バージョンでドイツ国内で最高時速95キロで追従可能にアップデートするとしている。ドイツ連邦自動車交通局の再認証を2024年末までに完了し、2025年初頭に販売開始する予定だ。
【参考】DRIVE PILOTについては「米国勢、「初の自動運転レベル3」をメルセデスに奪われる展開」も参照。
BMW:レベル3「Personal Pilot L3」を7シリーズに追加
BMWは、渋滞時ハンズオフ機能を各モデルに搭載するほか、最高時速130キロに対応したハンズオフ機能「ハイウェイ・アシスタント」の搭載も進めている。5シリーズや7シリーズ、iX、X5など欧州仕様の7車種に対応しているようだ。
2024年には、7シリーズにオプションとしてレベル3システム「Personal Pilot L3」を追加した。ドイツ国内において、高速道路の渋滞時など時速60キロを上限に利用できるようだ。
【参考】Personal Pilot L3については「自動運転レベル3機能、「世界3番目」はBMW濃厚 来年3月から提供」も参照。
■レベル3とレベル2+の動向
レベル3は制限速度引き上げで市場が伸びる?
レベル3市場は、ホンダに続きメルセデス、BMWが正式参入したものの、なかなか広がりを見せない。スウェーデンのボルボ・カーズや韓国ヒョンデ、中国Zeekrなどレベル3の市場投入計画が報じられているが、実現時期に遅れが生じているようだ。
ただ、メルセデスのように制限速度を引き上げる動きも出ており、実用性が一気に増してきた。これまでの渋滞時限定は実用性に欠けていたため需要は乏しく、純粋に先進技術を社会実装する先行投資に近かった。
しかし、最高速度標識をほぼ満たす走行が可能になれば利便性は大きく増し、オーナーの意識も変わる。今後市場がどのように動いていくのか、要注目だ。
レベル2+進展、レベル2はモラルハザード対策が必須に
ハンズオフが可能なレベル2+は着実に広がっている。常時監視は必須ではあるものの、高速道路の全速域に対応したモデルも多く、ある意味渋滞時限定のレベル3よりも利便性が高いと言える。
一方、アダプティブ・クルーズ・コントロール(ACC)とレーン・キープ・アシスト(LKA)で構成される通常のレベル2も高度化が進んでおり、「Navigation on Autopilot(NOA)」などの名称でスタンダード化が世界的に進んでいる。
ハンズオフ未導入のフォルクスワーゲンや中国メーカーなどがその代表例で、特に中国は高速道路以外の都市部におけるNOA実装などが盛んに行われているようだ。
しかし、その高度化とスタンダード化に伴い、新たな問題も表面化している。ハンズオフ機能が備わっていないにもかかわらず、ドライバーがハンドルから手を放して緩慢な運転を行う――というものだ。ひどいものでは運転席から離れたり眠ってしまったり――といった事例もあり、実際に死亡事故も複数発生している。
それゆえ各社は、ドライバーモニタリング機能やハンドルセンサーなどで対応を強化している。システム・機能の誤認やモラルハザード対策が今後重要性を増すことになりそうだ。
【参考】レベル2のモラルハザードについては「ハンドルに「手を添えてます」詐欺、海外で横行!日本人ならしない?」も参照。
■【まとめ】レベル3、レベル2+ともに市場は拡大
レベル3においては、メルセデスが先行し、BMWとホンダが追うような形となった。他社の新規参入とともに、速度引き上げの動向に注目したい。
レベル2+(ハンズオフ)に関しては、対応エリアや車種数で単純比較するとGMがリードしている印象が強い。移動距離が長めの北米では、こうした機能の需要が特に高いものと思われ、標準化が進んでいるのかもしれない。
今後は、実質ハンズオフを可能にしたテスラの動向にも注目だ。FSDの世界展開を推し進める同社が、どのタイミングで自動運転化を図っていくのか。各国の規制とどのように整合し、どのような内容で自動運転機能の実装を開始するのか。
2020年代後半は、自家用車の自動運転化が大きく進み始めるフェーズとなりそうだ。
【参考】関連記事としては「自動運転レベル一覧【1・2・3・4・5の表付き】 定義や日本・海外の現在状況」も参照。
大手デジタルマーケティングエージェンシーのアイレップにて取締役CSO(Chief Solutions Officer)として、SEO・コンテンツマーケティング等の事業開発に従事。JV設立やM&Aによる新規事業開発をリードし、在任時、年商100億から700億規模への急拡大を果たす。2016年、大手企業におけるデジタルトランスフォーメーション支援すべく、株式会社ストロボを設立し、設立5年でグループ6社へと拡大。2018年5月、自動車産業×デジタルトランスフォーメーションの一手として、自動運転領域メディア「自動運転ラボ」を立ち上げ、業界最大級のメディアに成長させる。講演実績も多く、早くもあらゆる自動運転系の技術や企業の最新情報が最も集まる存在に。(登壇情報)
【著書】
・自動運転&MaaSビジネス参入ガイド
・“未来予測”による研究開発テーマ創出の仕方(共著)