空飛ぶクルマ市場が本格化の兆しを見せている。量産化を見据えた資金調達や販売契約も相次いでおり、機体認証取得に向けた取り組みも加速しているようだ。
数年以内に世界各地でサービス化が見込まれる空飛ぶクルマ。この記事では、完全電動タイプや垂直離着陸タイプにこだわらず、「人」の移動を担う次世代エアモビリティ開発企業30社をピックアップし、最新動向を紹介する。
記事の目次
- ■SkyDrive(日本)
- ■teTra aviation(日本)
- ■ホンダ(日本)
- ■スカイリンクテクノロジーズ(日本)
- ■ASKA(米国)
- ■Joby Aviation(米国)
- ■Archer Aviation(米国)
- ■BETA Technologies(米国)
- ■Wisk Aero(米国)
- ■Opener(米国)
- ■LIFT AIRCRAFT(米国)
- ■Alef Aeronautics(米国)
- ■Supernal(米国)
- ■Doroni Aerospace(米国)
- ■Samson Sky(米国)
- ■Horizon Aircraft(カナダ)
- ■Uniqopter(カナダ)
- ■EHang(中国)
- ■XPENG AEROHT(中国)
- ■Autoflight(中国)
- ■Volkswagen Group China(中国)
- ■Lilium(独)
- ■Volocopter(独)
- ■Vertical Aerospace(英国)
- ■VRCO(英国)
- ■Jetson(スウェーデン)
- ■PAL-V(オランダ)
- ■AeroMobil(スロバキア)
- ■Pentaxi(イスラエル)
- ■Eve(ブラジル)
- ■【まとめ】空飛ぶクルマは千差万別、さまざまな需要を喚起
■SkyDrive(日本)
運航開始は日本で2025年、米国で2026年を計画
SkyDriveは、商用向けeVTOL(電動垂直離着陸機)「SD-05」を2025年の大阪・関西万博でローンチするほか、米国市場参入も表明しており、2026年に米国内でも運航開始する計画を掲げている。
飛行試験用の有人試験機「SD-03」を経て開発が進められているSD-05は、2人乗りで最大時速100キロ、5~10キロを航行可能という。充電時間は明かされていないが、恐らく10分程度と思われる。
型式証明申請はすでに受理されており、安全性や環境適合性の証明に向け開発を加速させている。
▼SkyDrive公式サイト
https://skydrive2020.com/
【参考】SkyDriveについては「空飛ぶクルマ企業SkyDrive、米国参入!2026年運航開始へ」も参照。
■teTra aviation(日本)
「Mk-5」予約販売済み、開発・量産化加速
東大発スタートアップスタートアップとして2018年に設立されたteTra aviationは、ボーイング主催のeVTOL国際開発コンペティション「GoFly」に参加し、世界824チーム中唯一の受賞チームとなって世界的な注目を集めた。
現在は市販向けのパーソナルeVTOL「Mk-5」の開発を進めている。シングルシート仕様で、時速160キロで160キロの運航が可能という。すでに予約を受け付けている。
2022年までにシードラウンドを終了し、累計調達額6.7億円、企業評価額38億円に達した。シリーズAに向けて調整中で、さらなる開発と量産化に向け事業を加速していきそうだ。
▼teTra aviation公式サイト
https://www.tetra-aviation.com/
【参考】teTra aviationについては「空飛ぶクルマ開発のテトラ、4.5億円新規調達!人材強化へ」も参照。
■ホンダ(日本)
ハイブリッドモデル「Honda eVTOL」開発
ホンダもeVTOLの開発を本格化させている。ガスタービン・ハイブリッド・パワーユニットによるハイブリッドを採用し、航続距離400キロの長距離飛行を実現するという。
垂直離着陸用に8つのローター、推進用に2つのローターを備え、機能分散により高い冗長性を確保し、旅客機と同等の安全性を実現するとしている。
▼ホンダeVTOLの公式サイト
https://www.honda.co.jp/future/EngineerTalk_eVTOL1/
【参考】ホンダのeVTOLについては「ホンダの空飛ぶクルマ戦略とは?」も参照。
■スカイリンクテクノロジーズ(日本)
長距離VTOLを開発
スカイリンクテクノロジーズは、1,400キロの航行を可能にする長距離モデルの開発を進めている。
世界で開発が進められている大半のモデルは短~中距離向けだが、市場調査を実施したところ400~1,200キロのレンジで市場ニーズがあったという。そこで同社は完全電動にこだわらず、高速・長距離飛行を実現できるチルトウイングを採用したVTOLの開発を加速させているようだ。
開発中のモデルは6人乗りで、最大時速650キロで1400キロの航行を目指している。プロトタイプを2024年までに製作し、2029年までにFAAの認証を取得し、2030年にリリースする計画だ。
なお、同社は有志団体による空飛ぶクルマの開発プロジェクト「P.P.K.P」の幹事企業も務めている。
▼スカイリンクテクノロジーズ公式サイト
https://www.skylink-tech.co.jp/
■ASKA(米国)
空陸両用モデル、2026年発売目指す
起業家のカプリンスキー夫妻が2018年に米国で創業。空陸両用モデル「ASKA A5」の開発を進めており、技術見本市「CES 2023」で初めてプロトタイプが公開された。
機体は4シーターでSUV並みのサイズという。バッテリーとガソリンを使用するレンジエクステンダーを搭載するハイブリッドタイプのようだ。自宅や従来のEV(電気自動車)ステーションで充電可能としている。飛行モードでは、最大時速240キロで航続距離400キロを実現する。
2026年の発売を目指しており、78万9,000ドル(約1億500万円)で予約販売を行っている。空の移動革命に向けた官民協議会にも参画しており、日本での導入にも期待したい。
▼ASKA公式サイト
https://www.askafly.com/
■Joby Aviation(米国)
トヨタが出資、ANAと大阪・関西万博へ
2009年設立とeVTOLに早期注目し開発を進めているスタートアップ。2019年に量産化を見据えたプロトタイプを発表し、飛行実証を本格化させている。
機体は時速約320キロで、約240キロ以上の航行を可能とする。FAA生産適合性検査も完了し、量産化に向けた取り組みを加速しているようだ。
トヨタから出資を受けているほか、ANAとの提携のもと大阪・関西万博でのサービス実装を計画している。
▼Joby Aviation公式サイト
https://www.jobyaviation.com/
【参考】Joby Aviationについては「Joby Aviationとは?「空飛ぶクルマ」で世界をリード」も参照。
■Archer Aviation(米国)
短距離特化モデル「Midnight」2025年にも運航開始
Archer Aviationは、4人の乗客とパイロットが搭乗可能なeVTOL「Midnight」の開発を進めている。約32キロの短距離旅行に最適化したモデルで、10分の充電で飛行可能という。2024年後半にFAA認証を得て、2025年にも運航を開始する計画だ。
ユナイテッド航空が同社eVTOL100台を購入する契約を結んでいるほか、2023年にはステランティスが資本提供とともにMidnight製造に関する提携を結んだ。
Archer Aviationは2028年までに年間製造規模を最大2,000機に拡大し、2030年までに 6,000機の航空機を配備する計画を明かしている。
▼Archer Aviation公式サイト
https://www.archer.com/
【参考】Archer Aviationについては「米航空大手、空飛ぶクルマに1,000万ドルの事前支払い」も参照。
■BETA Technologies(米国)
UPSが物流向けに最大150機を購入
BETA Technologiesは、乗客向けの「ALIA-250」と貨物向けの「ALIA-250c」の開発を進めており、乗客向けはパイロット含め6人が乗車可能で、貨物向けは200立方フィート(約5,700リットル)収納可能という。
米物流大手のUPSが10機のeVTOLを購入する契約を交わしており、2024年までに納入される見込みという。最大150機を購入するオプションも設定している。
▼BETA Technologies公式サイト
https://www.beta.team/
■Wisk Aero(米国)
Kittyhawkとボーイングの合弁として事業展開
Wisk Aeroは、空飛ぶクルマ開発企業Kittyhawkとボーイングの合弁として誕生したスタートアップで、Kittyhawkの事業を引き継ぐ形で事業を展開している。
開発中の機体はすでに第6世代に達している。eVTOL「Generation 6」は4人乗りで、時速200キロで約144キロを航行できる。充電時間は15分という。
▼Wisk Aero公式サイト
https://wisk.aero/
【参考】Wisk Aeroについては「Google創業者の空飛ぶクルマ企業、突然の閉鎖宣言!次の展開は?」も参照。
■Opener(米国)
ラリー・ペイジ氏が出資、「BlackFly」まもなく販売?
Google共同創業者のラリー・ペイジ氏が出資しているOpenerは、個人向けのeVTOL「BlackFly」の開発を進めている。
BlackFlyは1人乗りで、巡航速度約96キロで32キロ以上飛行可能という。パシフィックエアショー2022などでデモ飛行を行っており、近くアーリーアクセスプログラムの参加者向けの販売を開始する予定という。
▼Opener公式サイト
https://opener.aero/
■LIFT AIRCRAFT(米国)
すでに生産段階、万博向け実証にも採用
2017年設立のLIFT AIRCRAFTは、eVTOL「HEXA」の開発を進めている。設立翌年に有人飛行を成功させ、2019年には生産を開始したという。
18個の独立した電気モーターとプロペラで構成されており、重量は200キロを切る。詳細スペックは不明だが、巡航速度約100キロでの航行が可能なようだ。
日本でも、大阪・関西万博に向けた実証で丸紅エアロスペースがHEXAを使用した有人飛行実証が2023年3月に四国で行われた。
▼LIFT AIRCRAFT公式サイト
https://www.liftaircraft.com/
■Alef Aeronautics(米国)
空陸両用モデル、廉価版は500万円?
Alef Aeronauticsは空陸兼用のeVTOLを開発している。同社のモデルAは、陸上では低速車両(LSV)扱いで法定速度、あるいはそれ以下の速度で走行する車両となるが、垂直離陸し飛行することでより速い移動を実現することができるとしている。
モデルAは予約販売中で、30万ドル(約4,000万円)に設定されている。2025年中に納入予定だ。また、廉価版となるモデルZも発売する見込みで、3万5,000ドル(約470万円)を予定しているという。
▼Alef Aeronautics公式サイト
https://alef.aero/
【参考】Alef Aeronauticsについては「空飛ぶクルマ、米Alefが「廉価版」を約500万円で発売予定」も参照。
■Supernal(米国)
現代自動車グループもエアモビリティ開発へ
韓国の現代(ヒョンデ)自動車グループがアーバンエアモビリティ部門として設立したのがSupernalだ。スマートモビリティソリューションプロバイダーへと進化を遂げるため、アーバンエアモビリティを既存の輸送ネットワークに統合していく戦略だ。
初号機となるコンセプト車「S-A1」を「CES 2020」で披露するなど意欲的で、2024年をめどに米国の規制当局による認証取得を目指す。サービス開始時期は2028年を予定している。
機体の詳細などは明かされていないが、今後の動向に要注目だ。
▼Supernal公式サイト
https://supernal.aero/
【参考】Supernalについては「韓国ヒョンデ、2028年に「空飛ぶクルマ」を商用展開か」も参照。
■Doroni Aerospace(米国)
「H1」2024年発売へ
Doroni Aerospaceは2019年に商用モデルとなる「H1」の設計を完了し、2023年に量産準備、そして2024年までにFAA認証取得と発売を計画している。
H1は2人乗りで、巡航速度160キロで航続距離100キロを実現する。充電時間(20〜80%)は15~20分としている。
2023年3月までに、クラウドファンディングサイトで計1,956人から350万ドル(約4億6,000万円)を集めたという。
▼Doroni Aerospace公式サイト
https://www.doroni.io/
■Samson Sky(米国)
空陸両用モデル「Switchblade」開発
Samson Skyは空陸両用モデル「Switchblade」の開発を進めている。2シーターで、地上走行時は時速約200キロ、飛行時は標準巡航速度約260キロで移動でき、最大航続距離は約720キロという。垂直離着陸はできず、離陸時は335メートル、着陸時は213メートルの滑走路が必要なようだ。
限定版は17万ドル(約2,300万円)、特別版は29万ドル(約3,900万円)からの販売を予定しているほか、冬用バージョン「スノーバードモデル」や起伏の多い地形をこなす「トレックモデル」などの開発も計画しているようだ。
▼Samson Sky公式サイト
https://www.samsonsky.com/
【参考】Samson Skyについては「3分で「空飛ぶクルマ」に変身!米Samsonが耐空証明取得」も参照。
■Horizon Aircraft(カナダ)
ハイブリッドモデル「X5 Cavorite」を開発中
カナダに本拠を構えるHorizon Aircraftは、パイロット含め定員5人のHSVTOL(高速垂直離発着機)「X5 Cavorite」の開発を進めている。
特許取得済みのファンインウィングデザインが特徴で、ガスエンジンと電気のハイブリッド仕様にすることで時速450キロ、航続距離500キロを実現する。
▼Horizon Aircraft公式サイト
https://www.horizonaircraft.com/
■Uniqopter(カナダ)
救急や消防用途見据えたモデルを開発
Uniqopterは、ハイブリッドタイプのeVTOLを開発している。航空救急車や警察、消防用途などをメインに据えつつ、エアタクシー事業などにも流用可能としている。
パイロット1~2人、衛生員2人、患者1~2人が搭乗可能で、時速232キロで90分の飛行を可能にしている。タンデムローター構成で、空飛ぶクルマの中ではヘリコプターに近いモデルだ。
▼Uniqopter公式サイト
https://uniqopter.com/
■EHang(中国)
多くの納入実績誇る第一人者
中国EHangはすでに多くのeVTOL販売・納入実績を誇る先行企業だ。市販モデル「EH216」は時速130キロで30キロの航行が可能という。
日本では、エアモビリティ事業を手掛けるAirXが販売パートナー契約を結び、航空宇宙の産業クラスターを目指す一般社団法人MASCに納入している。
▼EHang公式サイト
https://www.ehang.com/index.html
【参考】EHangについては「中国製の空飛ぶクルマ、日本で仕入れ・納入!AirXが発表」も参照。
■XPENG AEROHT(中国)
空陸両用モデルの開発にも着手
中国EVメーカーXpeng Motors傘下のXPENG AEROHTは、2人乗りのeVTOLの開発を進めている。
モデル「XPENG X2」は、XpengのEV「P7」と設計の一部を共有しており、時速130キロで25分航行することができるという。
2022年に公開した最新モデルは空陸両用モデルで、自動車のルーフ部に折りたたみ式のマルチローターをそのまま取り付けたようなデザインだが、初飛行を成功させたようだ。
▼XPENG AEROHT公式サイト
https://www.aeroht.com/
【参考】XPENG AEROHTについては「「車のハンドル」で操縦する空飛ぶクルマ、中国で話題に」も参照。
■Autoflight(中国)
2025年までに欧州で認証所得目指す
Autoflightはパイロットと最大3人の乗客が搭乗可能なモデル「Prosperity I」の開発を進めている。巡航速度は約200キロで、航続距離は250キロとなっている。
ドイツに飛行制御システムの研究センターを置く世界展開を見据えており、欧州航空安全機関(EASA)の認証を取得し2025年までにエアタクシーを実現する構えだ。
▼Autoflight公式サイト
https://www.autoflight.com/en/
■Volkswagen Group China(中国)
フォルクスワーゲン中国もプロトタイプ「V.MO」発表
フォルクスワーゲングループの中国法人も空飛ぶクルマの開発を進めている。2022年に発表されたプロトタイプ「V.MO」は、4人乗りで最大200キロを航行可能という。
2023年夏までに最新の改良プロトタイプをリリースし、さらに高度な試験飛行を実施していく方針としている。
▼Volkswagen Group China公式サイト
https://volkswagengroupchina.com.cn/en/volkswagengroupchina
【参考】Volkswagen Group Chinaについては「VW、中国の富裕層狙った「空飛ぶクルマ」の試作機発表」も参照。
■Lilium(独)
パートナーシップ続々、販売契約機数640機に
Liliumは、オープンプロペラではなくダクテッドファンを採用したeVTOL「Lilium Jet」の開発を進めている。パイロット含め7人乗りで、時速280キロで250キロを航行できる。
2021年にブラジルの航空会社Azulと契約を交わし、2025年までに220機を最大10億ドル(契約時レート約1,100億円)で販売するという。
このほか、eVolareやNetJets、Bristow、AAP Aviation、ASL Groupなど購入契約が相次いでおり、2022年末までに計640機の契約が結ばれたという。
▼Lilium公式サイト
https://lilium.com/
■Volocopter(独)
住友商事、日本航空とともに大阪・関西万博へ
世界初と言われるeVTOLによる有人飛行を2011年に公開し注目を集めたVolocopterは、独ブルッフザールに生産施設を開設し、2023年4月から稼働させる予定だ。年間50機以上の生産能力を有し、2024年に商用サービスを開始する計画だ。
日本では、住友商事から出資を受け、日本航空とのパートナーシップのもと大阪・関西万博での運航を目指している。
量産段階を迎えつつあるeVTOL「VoloCity」は2人乗りで、時速110キロ、航続距離35キロを実現する。
▼Volocopter公式サイト
https://www.volocopter.com/
【参考】Volocopterについては「ドイツ企業VolocopterのEVエアタクシー、万博で日本の空を飛ぶ!?」も参照。
■Vertical Aerospace(英国)
大阪・関西万博に向け丸紅が25台契約
Vertical Aerospaceは、アメリカン航空やヴァージンアトランティック航空など複数社と最大1,000機規模の契約をすでに交わしており、日本においても丸紅が最大200機に及ぶ契約を結んでいる。丸紅は大阪・関西万博に向け、25台を先行して導入する予定だ。
同社のeVTOL「VX4」は、パイロット1人と乗客4人の5人乗りで、最大時速320キロで160キロ以上の航行が可能という。
▼Vertical Aerospace公式サイト
https://vertical-aerospace.com/
【参考】Vertical Aerospaceについては「空飛ぶタクシー、2022年にサービス提供開始 イギリスのバーティカル・エアロスペース社」も参照。
■VRCO(英国)
「VRCO XP4」開発、エアモビリティ社が独占販売権
VRCOは4人乗りのeVTOL「VRCO XP4」の開発を進めている。フルサイズのビルドは完了し、2023年に運用テストを実施して2024~2025年に認証を取得する計画だ。
日本では、空飛ぶクルマ関連のインフラプラットフォーム開発や海外企業の日本進出を支援するエアモビリティ社がVRCOと独占販売契約を結んでいる。
▼VRCO公式サイト
https://vrco.co.uk/
【参考】VRCOについては「夢の「空飛ぶクルマ」の販売会社、日本で誕生!エアモビリティ社、英VRCOの販売権取得」も参照。
■Jetson(スウェーデン)
Jetson ONEは約1,060万円で販売
Jetsonは小型軽量タイプの個人向けeVTOLの開発を進めており、「Jetson ONE」は重量100キロを切るという。時速102キロメートルで20分の飛行を可能としており、単純計算で最大36キロ航行できることになる。
2021年10月に受注を開始しており、デポジット(保証金)2万2,000ドル+7万ドルの計9万2,000ドル(約1,200万円)で販売している。開発メーカーの中で最安値のレベルだ。
▼Jetson公式サイト
https://www.jetsonaero.com/
【参考】Jetsonについては「空飛ぶクルマ、「販売競争」に火蓋 個人向けの予約販売など続々」も参照。
■PAL-V(オランダ)
空陸両用モデル「Liberty」開発
PAL-Vは、空陸両用モデル「Liberty」の開発を進めている。滑走が必要なエンジン搭載モデルで、3輪ながら地上走行・空の巡航速度ともに時速160キロを実現する。飛行時の最大航続距離は500キロという。
90台限定の最初の生産バージョン「PAL-V Liberty Pioneer Edition」は、日本市場向けの場合75万ドル(約1億円)となっている。また、その後に続くスポーツエディション「Liberty Sport」は低価格化が図られ、49万9,000ドル(約7,000万円)を予定している。
▼PAL-V公式サイト
https://www.pal-v.com/
■AeroMobil(スロバキア)
空陸両用モデル「AM4.0」などを開発
AeroMobilは、空陸両用モデル「AM4.0」や「AM NEXT」の開発を進めている。AM4.0は2人乗りで地上で最高速度160キロ、航続距離1,000キロを実現し、飛行時は巡航速度260キロで740キロ航行できるという。飛行には滑走が必要なタイプだ。2025年にも市販予定という。
AM NEXTはパイロット含む4人乗りで、2027年の販売を目指しているようだ。
▼AeroMobil公式サイト
https://www.aeromobil.com/
【参考】AeroMobilについては「世界初の4人乗り!「空の送迎」向けの空飛ぶクルマ発表」も参照。
■Pentaxi(イスラエル)
東京にも拠点、世界展開へ
Pentaxiは世界展開を見据えており、2022年に2番目の拠点を日本に設立している。
モデル「PentaxiPas」は4人の乗客を乗せ、巡航速度時速240キロで最大航続距離320キロを実現するという。2024年に有人・無人の運航旅客証明を取得し、2025年に商業サービス開始を予定している。
▼Pentaxi公式サイト
https://pentaxi.aero/
■Eve(ブラジル)
英国やブラジル企業と販売契約、2026年にも納入
ブラジルの航空機メーカーEmbraer内の開発プロジェクトからスピンアウトしたEveは、パイロットと乗客4人が搭乗可能なeVTOLの開発を進めている。自律飛行確立後は最大6人搭乗できるという。航続距離は100キロとしている。
英Haloと米国と英国の都市でサービス展開していくパートナーシップを交わし、この中で200機の注文を受けているほか、ブラジルのHelisul Aviationとも最大50機の注文含むパートナーシップを結んでいる。
それぞれ2026年に機体を受け渡す予定としている。
▼Eve公式サイト
https://eveairmobility.com/
■【まとめ】空飛ぶクルマは千差万別、さまざまな需要を喚起
自動運転車に負けず劣らず世界各地に空飛ぶクルマの開発プレイヤーが存在するようだ。主流の完全電動タイプのeVTOLは航続距離が短めだが、充電時間も短く手軽な移動サービスに向いているように思われる。
一方、航続距離を伸ばすためハイブリッド化を図ったモデル開発や、空陸両用を実現する文字通りの「空飛ぶクルマ」を開発する企業も少なくない。
さまざまな需要を見越したモデルの開発が世界各地で進められているようだ。
【参考】関連記事としては「空飛ぶクルマとは(2023年最新版)」も参照。
大手デジタルマーケティングエージェンシーのアイレップにて取締役CSO(Chief Solutions Officer)として、SEO・コンテンツマーケティング等の事業開発に従事。JV設立やM&Aによる新規事業開発をリードし、在任時、年商100億から700億規模への急拡大を果たす。2016年、大手企業におけるデジタルトランスフォーメーション支援すべく、株式会社ストロボを設立し、設立5年でグループ6社へと拡大。2018年5月、自動車産業×デジタルトランスフォーメーションの一手として、自動運転領域メディア「自動運転ラボ」を立ち上げ、業界最大級のメディアに成長させる。講演実績も多く、早くもあらゆる自動運転系の技術や企業の最新情報が最も集まる存在に。(登壇情報)
【著書】
・自動運転&MaaSビジネス参入ガイド
・“未来予測”による研究開発テーマ創出の仕方(共著)