Joby Aviationとは?「空飛ぶクルマ」で世界をリード(2022年最新版)

トヨタやANAと協業、2024年にも商用化へ



出典:Joby Aviationプレスキット

空飛ぶクルマの実用化に向け、開発や市場化に向けた取り組みが加速するeVTOL(電動垂直離着陸機)業界。国内ではSkyDriveやテトラ・アビエーション、海外勢では中国のEhangや独Volocopterなど、名前が売れ始めた企業も続々と登場している。

とりわけ、ぐんぐんと知名度を向上させているのが米Joby Aviationだ。株式公開やトヨタとのパートナーシップなど、世界を股に掛けた取り組みに注目が集まっている印象だ。







この記事では、同社の概要に迫っていく。

■Joby Aviationの概要
起業家JoeBen Bevirt氏が2009年に創業

Joby AviationはエンジニアのJoeBen Bevirt(ジョーベン・ビバート)氏が2009年に設立した。ビバート氏はこれまで、サイエンステクノロジー開発を手掛けるVelocity11や、三脚「ゴリラポッド」の開発などで知られるJOBYなどを創業しており、航空機やモビリティ関連技術を専門としているわけではなさそうだ。

創業当初はエンジニア7人でカリフォルニア州サンタクルーズ郊外の工房で、電気モーターやソフトウェア、リチウムイオンバッテリーなどほぼ全ての部品を一から設計し、技術の最前線を探っていたという。

事業はステルスモードで進めていたが、2012年からはNASAとパートナーシップを結び、X-57やLEAPTechなどの電動飛行プロジェクトに参加していた。

2015年にサブスケールのデモ機を設計し、初飛行を実現すると、2017年には実物大のデモ機を設計し、こちらも飛行実験を行っている。2019年には量産化を見据えたプロトタイプを完成させ、本格的な飛行実証に着手した。

現在、Jobyには約1,000人のエンジニアが集まり、サンタクルーズをはじめサンカルロス、ワシントンDC、ドイツのミュンヘンにオフィスなどを構える規模にまで成長を遂げている。

■Joby Aviationの資金調達
トヨタやインテル、Uberが出資

2016年の資金調達Aラウンドでは、輸送関連に着目したTrucks Venture Capitalのリードのもと3,000万ドル( 約34億円)を調達し、2018年のBラウンドでは、Intel Capital主導のもとToyota AI Ventures (現Toyota Ventures)や未来創生ファンド、JetBlue Technology Ventures、AME Cloud Venturesなどから総額1億ドル(約114億円)を調達した。

2020年1月に発表されたCラウンドでは、トヨタがリードインベスターを務め、過去最大の5億9,000万ドル(約680億円)を調達している。これまでの投資家のほか、Uberなどが新たに参加している。なお、トヨタはこのうち3億9,400万ドル(約450億円)を出資している。

2021年8月には、ニューヨーク証券取引所にSPAC上場を果たした。2022年2月18日時点の時価総額は28億7,450万ドル(約3,300億円)となっている。

■Joby Aviationとトヨタの協業

Toyota Venturesを通じて2018年から関係を築いているJobyとトヨタだが、Cラウンドの際に本格的な協業を開始している。

eVTOLの開発・製造技術は、電動化、新素材、コネクテッドなどの分野で次世代環境車の技術と共通点が多く、自動車事業との相乗効果を生かした新たなモビリティ事業に発展する可能性があるとし、トヨタは生産技術の見地から設計、素材、電動化の技術開発に関わるとともに、トヨタ生産方式(TPS)のノウハウを共有する。最終的には、高品質で信頼性、安全性、コスト基準を満たすeVTOLの量産化を実現する方針だ。

また、出資に伴い、トヨタ副社長の友山茂樹氏がJobyの取締役に就任したことも発表されている。

45万平方フィートに及ぶ大規模製造施設の建設もトヨタと共同で進められているようだ。

【参考】トヨタとの取り組みについては「トヨタとホンダ、新たな戦い!空飛ぶクルマ、勝つのはどっち?」も参照。

■Joby AviationとUberの協業

Jobyは2020年12月、Uber TechnologiesのeVTOL開発部門Uber Elevateの買収とパートナーシップの拡大を発表した。取引の一環として、UberがJobyに7,500万ドル(約86億円)を追加出資することも発表されている。

両社は、それぞれのサービスを互いのアプリに統合し、地上と空の移動をシームレスに統合できるようにすることに合意したほか、Uber Elevateの開発責任者で、Zee.Aero(現Wisk)CEOを務めた経歴を持つEricAllison氏らがJobyに合流し、技術開発力をいっそう高めている。

Uber Elevateは、機体の開発をはじめ、スカイポートネットワークの構築など空中ライドシェアリングサービスの実現に向け広範に渡る開発を進めてきた。エアモビリティの市場化・サービス化を見据えた知見は高く、Jobyが開発したeVTOLをスムーズにサービス展開するのに最も適したパートナーと言えそうだ。

【参考】Uberとの取り組みについては「Uberの「選択と集中」加速!?空飛ぶタクシー開発部門も売却か」も参照。

■Joby AviationのeVTOL

Jobyが開発を進める機体はエアタクシー用途を想定しており、パイロット含め5人乗りを実現している。6つの傾斜可能なデュアル冗長電気モーターユニットを備え、時速200マイル(約320キロメートル)の飛行と、1回の充電で150マイル(約240キロメートル)以上の航行を可能にしている。従来のヘリコプターと比べ、離着陸時の静音性なども大きく改善が図られているという。

過去10年間で1,000回を超えるテストフライトを行っており、2020年12月には連邦航空局(FAA)がeVTOL商業化を加速することを目的としたAgility Primeプログラムの一環として、JobyのeVTOLに耐空性基準などを規定したG-1認証を発行した。Jobyによると、eVTOL航空機としては初という。

その後実証は加速し、2021年には延べ5,300マイル(約8,500キロメートル)以上を飛行したようだ。2機目となる試作機もFAA生産適合性検査を完了し、量産化への道が開けたようだ。

2021年8月には、型式証明と生産証明書とともにエアタクシーサービスに必須となるパート135と呼ばれる証明書の取得に向けた取り組みにも着手したことを発表している。

今後の展望としては、2024年の商業運転スタートに向け、航空機の認証取得、製造オペレーションの拡大など準備を進めていくこととしている。商業化は、大都市圏で5〜150マイル(約8~240キロメートル)の距離を手頃な価格で移動することを目標に掲げている。

■その他の動向
スカイポート開設に向けREEF Technologyと提携

Jobyは2021年6月、駐車場オペレーターのREEF Technologyと提携したと発表した。パートナーシップを通じて、米国主要大都市圏にまたがる屋上ロケーションへのアクセスや、新しいスカイポートサイトの取得と開発に資金を提供するメカニズムを獲得するとしている。

人気のある目的地近郊で、飛行操作や充電するために十分なスペース、エアタクシーサービスをサポートするため構造的な補強を必要としない場所、周囲のコミュニティへの騒音を最小限に抑え、かつ障害物のない離着陸・航行経路、マイクロモビリティや公共交通、駐車場、ライドシェアリングへのシームレスな接続を可能にするモビリティハブとして機能する立地をベースに、当面はロサンゼルス、マイアミ、ニューヨークとサンフランシスコのベイエリアの大都市圏に焦点を当て、事業を展開していく構えだ。

レーダー開発Inrasを買収

Jobyは2021年12月、レーダー開発を手掛けるオーストリアのInrasの買収を発表した。総勢5人の小さなチームながら、無線周波数(RF)システムや処理ボード、リアルタイム信号処理、高度なレーダーセンサーの設計などを手掛けており、センシング面において、航空機の機内検出やナビゲーション機能を改善していくとしている。

韓国ではSKとパートナーシップ締結

Jobyは2022年2月、韓国全土の都市やコミュニティへのエアタクシーサービス導入に向け、通信大手のSK Telecomと提携したと発表した。

SKの「T Mapモビリティプラットフォーム」と「UTライドヘイリングサービス」を活用し、地上と空をシームレスに統合するマルチモーダルな移動を利用者に提供していく方針としている。

日本ではANAやトヨタと提携

日本では、ANAホールディングスがJobyとパートナーシップを交わし、新たな運航事業の共同検討を開始した。

国内大都市圏を中心とした移動サービスの実現に向け、事業性調査や旅客輸送サービス実現に向けた運航/パイロット訓練、航空交通管理、離着陸ポートなどの地上インフラ整備、関係各社および国・自治体と新たな制度・法規への対応など、さまざまな側面で共同検討を進めていく。

また、トヨタ参加のもと、地上交通との連携なども検討していく方針だ。

Joby、ANA、トヨタとも「空の移動革命に向けた官民協議会」の構成員に名を連ねており、空飛ぶクルマ実現に向け連携した取り組みにも期待が寄せられるところだ。

【参考】空の移動革命に向けた官民協議会については「トヨタが空も制す!?空飛ぶクルマの官民協議会に新たに参画」も参照。

日機装がサプライヤーに

航空機部品の製造などを手掛ける日機装は2021年7月、Jobyが開発を進めるeVTOLの構成部品を供給するサプライヤーに選出されたと発表した。

複合材部品設計の初期段階から協力し、量産化に向け製造しやすさを考慮した最適な設計、競争力のあるコストを実現することを目指すとしている。

【参考】日機装の取り組みについては「日機装、Joby Aviationのサプライヤーに!空飛ぶクルマへ部品供給」も参照。

■【まとめ】量産化とサービス化を見据えた戦略で世界をリード

トヨタやANA、Uber、SKなどパートナーシップを拡大し、量産化とサービス化を見据えたロードマップをしっかりと描いている印象だ。

飛行実証は大詰めを迎えており、機体の安全性などについて2022年中に許認可を得て量産化を本格化し、2024年にサービスインする計画だ。

ただし、2022年2月にカリフォルニア州で同社の実験機が墜落事故を起こしており、負傷者は出なかったが、この事故が同社の今後のロードマップに何らかの影響を与える可能性もある。

自動運転技術の搭載については今のところ触れられておらず、ヘリコプターなどに代わる新たなエアモビリティとして位置付けられているが、その分、社会実装を確実に進めることができる。1つの現実解だ。

日本国内への導入もほぼ間違いなく進められるものと思われ、今後の動向に要注目だ。

▼Joby Aviation公式サイト
https://www.jobyaviation.com/

記事監修:下山 哲平
(株式会社ストロボ代表取締役社長/自動運転ラボ発行人)

大手デジタルマーケティングエージェンシーのアイレップにて取締役CSO(Chief Solutions Officer)として、SEO・コンテンツマーケティング等の事業開発に従事。JV設立やM&Aによる新規事業開発をリードし、在任時、年商100億から700億規模への急拡大を果たす。2016年、大手企業におけるデジタルトランスフォーメーション支援すべく、株式会社ストロボを設立し、設立5年でグループ6社へと拡大。2018年5月、自動車産業×デジタルトランスフォーメーションの一手として、自動運転領域メディア「自動運転ラボ」を立ち上げ、業界最大級のメディアに成長させる。講演実績も多く、早くもあらゆる自動運転系の技術や企業の最新情報が最も集まる存在に。(登壇情報
【著書】
自動運転&MaaSビジネス参入ガイド
“未来予測”による研究開発テーマ創出の仕方(共著)









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