空飛ぶクルマ開発のテトラ、4.5億円新規調達!人材強化へ

東大発スタートアップ、評価額は38億円に



出典:テトラ・アビエーション社プレスリリース

日本における空飛ぶクルマの注目ベンチャーの1社であるテトラ・アビエーション株式会社(本社:東京都文京区/代表取締役社長:中井佑)は2022年6月24日までに、新たに計4億5,000万円の資金調達を完了したことを発表した。

三井住友海上キャピタル、テイ・エステック、協和テクニカ、東鋼、三菱ガス化学などから第三者割当増資により資金調達を行った。シードラウンド終了時点の評価額は約38億円、累計調達額は6億7,000万円に上り、現在は次のシリーズAにおける資金調達に向けて調整を行っているという。


■資金は人材採用で活用、国際市場に挑む

米Joby Aviationや独Lilium、中国のEHangなどを筆頭に、空飛ぶクルマの開発は世界中で加速し、数百億円規模の資金調達が行われることも珍しくない状況だ。すでに販売契約を獲得し、自動車メーカーなどと提携を進める企業もある。

こうした状況の中で行なわれた今回のテトラ・アビエーションの資金調達。主な目的は、技術者の採用費用を確保することだ。今後、航空エンジニアリング集団として高い技術力を企業として備え、国際市場に挑戦していくという。

専門知識を持つ技術者を国内外から集め、構造、制御、パワーエレクトロニクス 、組み込み、HMI(ヒューマン・マシン・インターフェース)などに精通した人材の採用を進めていくという。

ちなみに同社はこれまでも積極的に外国人人材の獲得を進めてきた経緯がある。


■2018年に設立した東大発スタートアップ

テトラ・アビエーションは、東京大学発のスタートアップとして2018年に設立された。2020年2月に米国で開催された1人乗り航空機開発コンペ「GoFly」決勝で、唯一の受賞を果たした実績を持つ。

2021年7月には、個人向けeVTOL(電動垂直離着陸機)の新機種「Mk-5」を一般に初公開し、予約販売を開始した。米国でプライベートパイロットライセンスを持つ富裕層向けに販売し、2022年度中に引き渡しを開始する予定だとされている。

今後は、個人向けeVTOL販売で得られた利用者のフィードバックを基に量産型eVTOLの開発を行い、2025年の大阪・関西万博で2拠点間移動サービスの提供を目指す。

テトラ・アビエーションの代表取締役である中井佑氏=出典:テトラ・アビエーション社プレスリリース
■SkyDriveとともに業界をリード

ちなみに空飛ぶクルマといえば、日本でもう1社有名なのがSkyDrive。テトラ・アビエーションにとって最大のライバルとも言えよう。


2020年8月に日本初の有人飛行に成功したSkyDriveは、国内で初めて型式証明申請が受理されたほか、大手ゼネコンなどと離発着場モデル作成の推進を発表するなど、国内で存在感を高めている。

テトラ・アビエーションとSkyDrive。日本の空飛ぶクルマの領域をリードする両社の動きを引き続きウオッチしていきたい。

【参考】関連記事としては「空飛ぶクルマとは?」も参照。

記事監修:下山 哲平
(株式会社ストロボ代表取締役社長/自動運転ラボ発行人)

大手デジタルマーケティングエージェンシーのアイレップにて取締役CSO(Chief Solutions Officer)として、SEO・コンテンツマーケティング等の事業開発に従事。JV設立やM&Aによる新規事業開発をリードし、在任時、年商100億から700億規模への急拡大を果たす。2016年、大手企業におけるデジタルトランスフォーメーション支援すべく、株式会社ストロボを設立し、設立5年でグループ6社へと拡大。2018年5月、自動車産業×デジタルトランスフォーメーションの一手として、自動運転領域メディア「自動運転ラボ」を立ち上げ、業界最大級のメディアに成長させる。講演実績も多く、早くもあらゆる自動運転系の技術や企業の最新情報が最も集まる存在に。(登壇情報
【著書】
自動運転&MaaSビジネス参入ガイド
“未来予測”による研究開発テーマ創出の仕方(共著)




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