東大の初年次ゼミで「自動運転講座」!ティアフォーなど開発

大手自動車メーカーや官公庁でも導入



オンライン教材画面サンプル=出典:zero to oneプレスリリース

東京大学教養学部の「初年次ゼミ」で、「自動運転システム構築完全講座」が2022年6月22日から開始された。受講学生の自動運転への理解や関心を高め、専門課程や大学院を通じて学びを深めた上で自動運転システム構築に携わる人材を増やすことが目的のようだ。

講座は、自動運転スタートアップであるティアフォーと電子教育サービスを手掛けるzero to one、名古屋大学未来社会創造機構が共同で開発したものだ。


■体系的に自動運転技術を学ぶ

「自動運転システム構築完全講座」は2021年10月にリリースされたオンライン教材で、自動運転システム構築についての概要と実践を学べる。これまで大手自動車メーカーや大手通信会社、官公庁など、20の企業や団体、300人以上が受講済みだという。

同講座を監修したのは。ティアフォーの創業者かつCTO(最高技術責任者)で東京大学の准教授である加藤真平氏と、名古屋大学未来社会創造機構の教授でティアフォーの社外取締役でもある河口信夫氏だ。

オンライン学習講座を提供する教育プラットフォームの米Udacityには「Become a Self-Driving Car Engineer」という体系的に自動運転技術を学べる学習教材がある。一方、報道発表によれば、日本ではこれまで特にオンラインの領域では自動運転の技術を体系的に学べるオンライン領域での学習教材がなかったという。

オンライン教材画面サンプル=出典:zero to oneプレスリリース
■自動運転の実践も体験

講座は、ビデオ教材と確認テスト、クラウド演習で構成される。受講学生は自分のパソコンを用い、オンデマンド型教材で自動運転システム構築の基礎を学ぶ。さらに、zero to one独自開発のクラウド型GPU演習システムで、オープンソースの自動運転システム「Autoware」を用いた自己位置推定や外界認識など自動運転の実践も体験する。


カリキュラムは以下の通りだ。

  • 1. 自動運転と社会:CASEMaaSによる社会変革
  • 2. 自動運転システム概論
  • 3. ROS/ROS2入門
  • 4. 自動運転における深層学習の活用
  • 5. 自動運転システムAutowareのアーキテクチャ
  • 6. Autowareにおける可視化システム
  • 7. Autowareにおけるセンシングと自己位置推定
  • 8. Autowareにおける外界認識
  • 9. Autowareによる自動運転シミュレーション
  • 10. Autowareによる経路プランニング
  • 11. Autowareによる運転制御
■人材育成の観点で注目の取り組み

ただでさえ人口減で人手不足が懸念される日本。そんな中、成長市場として有望な自動運転についての知識を有する人材の育成につながる今回の取り組み。今後、ほかの大学の授業でも講座が導入されていくのかなど、注目していきたい。

【参考】関連記事としては「自動運転やAIを学べる講座&教材」も参照。

記事監修:下山 哲平
(株式会社ストロボ代表取締役社長/自動運転ラボ発行人)

大手デジタルマーケティングエージェンシーのアイレップにて取締役CSO(Chief Solutions Officer)として、SEO・コンテンツマーケティング等の事業開発に従事。JV設立やM&Aによる新規事業開発をリードし、在任時、年商100億から700億規模への急拡大を果たす。2016年、大手企業におけるデジタルトランスフォーメーション支援すべく、株式会社ストロボを設立し、設立5年でグループ6社へと拡大。2018年5月、自動車産業×デジタルトランスフォーメーションの一手として、自動運転領域メディア「自動運転ラボ」を立ち上げ、業界最大級のメディアに成長させる。講演実績も多く、早くもあらゆる自動運転系の技術や企業の最新情報が最も集まる存在に。(登壇情報
【著書】
自動運転&MaaSビジネス参入ガイド
“未来予測”による研究開発テーマ創出の仕方(共著)





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