自動運転、未来のトップ企業は「テスラ」!業界幹部の回答で最多

KPMGが発表、商業利用実現時期についても聞く



KPMGジャパンはこのほど、自動車業界を対象とした調査レポート「グローバル・オートモーティブ・エグゼクティブ・サーベイ2021」を発表した。







「パワートレインの未来」「消費行動のデジタル化」「新たなテクノロジー」「サプライチェーンの課題」の4領域の動向について、世界各国の自動車業界におけるエグゼクティブを対象に調査した内容で、業界幹部が現状どのように考えているかがまとめられた非常に興味深い内容となっている。

この記事では、このうち自動運転関連の設問を抜粋し、調査結果に触れていく。

■調査の概要

調査は世界31カ国の自動車業界および周辺業界のエグゼクティブ1,118人を対象としており、このうち24%が自動車メーカー、13%がティア1サプライヤー、11%がトラックメーカー所属となっている。2021年8月に実施された。

エリア別では、中国が26%、米国が25%、ヨーロッパが25%と多く、その他日本4%、韓国、インド、カナダ、中南米、サウジアラビア、南アフリカとなっている。

なお、本レポートはこちらから閲覧できる。

▼グローバル・オートモーティブ・エグゼクティブ・サーベイ2021
https://assets.kpmg/content/dam/kpmg/jp/pdf/2022/jp-global-automotive-executive-survey-2021.pdf

■自動運転関連の設問
Q:以下の市場の大都市圏内では、いつ頃自動運転車による配車サービスやデリバリーが商業利用可能になると思いますか?
出典:KPMGジャパン(クリックorタップすると拡大できます)

米国、中国、日本、西欧、インドの各大都市圏における自動運転サービスの実用化時期に関する問いで、「2025年以前」と回答された数が最も多かった地域は米国と中国でともに26%、次いで日本20%、西欧15%、インド9%という結果となった。

また、インド以外の4地域は「2025~2030年」との回答が最も多く、それぞれ全体の4割ほどを占めている。

米国、中国を中心に自動運転タクシーなどのサービス実証が増加しているが、これらがすべて商業利用かと言えば、そうはならない。商業利用ということは、一般的に継続性のある有料サービスを指すものと思われる。採算性はともかく、こうした条件を満たしているのはWaymoや百度などごく一部に限られるのが現状だ。

本格的な商業利用には法整備が不可欠な場合も多く、こうした環境面も合わせ、2025年までにどこまで進展しているか、要注目だ。

Q:誰が自動運転のMaaSフリートを所有/運用することになると思いますか?
出典:KPMGジャパン(クリックorタップすると拡大できます)

自動運転サービスの所有や運用はどういった事業者が担うことになるのか――といった問いだ。1位に順付けられた回答数は、「自動運転車・テクノロジー企業」が220、「レンタカー会社」が211、「物流・デリバリー会社」が161、「自動車メーカー」が160、「政府・公共交通機関」が153、「タクシー・ハイヤーフリート事業者」が107、「ライドシェアリングプラットフォーマー」が100、「その他」が6の順となった。

自動運転車・テクノロジー企業や自動車メーカーの場合は、自ら開発した車両を所有し、サービス展開する直営のような形式となる。Waymoなどが代表例だ。

一方、レンタカーや物流・デリバリー、タクシー、ライドシェアプラットフォーマーなどの場合は、既存の移動や輸送サービスに自動運転車両を導入していく形式となる。タクシー事業への参入障壁やデータ収集などの観点から、開発事業者とタクシーなどのサービス事業者が合弁を立ち上げ、運営していくパターンも多い。

現状、自動運転車を活用したサービスには運用管理面などで専門知識が不可欠となるため、何らかの形で開発事業者が関わるケースが大半を占めるものと思われる。

公共交通機関では、茨城県境町を例に挙げると、町予算のもと仏NAVYAが開発した自動運転シャトルを導入し、民間のBOLDLYやマクニカが運行管理やメンテナンスを担う形で事業を進めている。

ある程度手放し状態で自動運転技術を利活用できる技術水準に達するまでは、さまざまな運行形態を模索する動きが続きそうだ。

Q:自動運転車ソリューションでどの企業がリーダーになると思いますか?
出典:KPMGジャパン(クリックorタップすると拡大できます)

ずばり、自動運転分野におけるリーダー企業を問う設問だ。回答の結果、1位「Tesla」331票、2位「Huawei」120票、3位「Cruise」106票、4位「Waymo」93票、5位「Motional」82票、6位「Mobileye」68票、7位「Woven Planet」57票、8位「Digi」 54票、9位「Argo AI」49票、10位「AutoX」35票、以下Aurora、Pony.ai、Baidu、WeRideとなった。

レベル4開発で実績のあるCruiseやWaymoなどを抑え、Teslaが1位、Huaweiが2位となったのは意外かもしれない。回答者の地域別では、米国1位がTesla、中国1位がHuawei、ヨーロッパ1位がTesla、日本1位がWaymoとなっている。

純粋な自動運転システムの開発のみならず、サービス面まで及ぶ広範な意味での自動運転ソリューションとして考えると、こうした結果になるのかもしれない。

Q:電動垂直離着陸機(eVTOL)として知られる空飛ぶ車には、多くの自動車メーカーが積極的に投資しています。eVTOLが大半の大都市で利用可能になるとしたら、それはいつだと思いますか?
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質問は空飛ぶクルマにも及んでいる。本格的な実現時期を問う設問に対し、「2030年以前」が18%、「2030~2035年」が40%、「2035 ~2040年」が25%、「2040年以降」が13%、「利用可能にならない」が2%という結果となっている。

半数以上の回答者が2035年までに多くの大都市で利用可能になると予測しているようだ。

Q:次の大手テクノロジー企業は、自社ブランドの車を開発して自動車市場に参入すると思いますか?
出典:KPMGジャパン(クリックorタップすると拡大できます)

自動運転に限らず、テクノロジー企業が自社ブランドのもと本格的に自動車市場に参入するかを問う設問だ。

「はい」と回答された企業は、多い順に「Google」62%、「Apple」60%、「Amazon」58%、「Huawei」56%、「Samsung」48%、「Tencent」34%、「ByteDance」29%となっている。

今後シェアを伸ばすと思われるBEV(純電気自動車 )は、自動車の製造工程に変革をもたらすと言われている。純電動化と自動運転化を果たしたスマートカーの開発が本格化する将来、こうしたテクノロジー企業が自社ブランドを打ち立てる可能性は決して低いものではなさそうだ。

■日本における消費者調査結果

上記調査と並行し、KPMGが日本の消費者向けに調査した結果も公表されている。調査は日本在住の18歳から64歳までの自動車保有者5,260人に対し、2022年1月にアンケート形式で行われた。

Q:我が国では2025年にむけて自動運転を実用化する動きが進められていますが、そのような取組みが進められていることを知っていますか。
出典:KPMGジャパン(クリックorタップすると拡大できます)

2025年を1つの目標に自動運転の実用化が進められている状況について、「知っている」が29%、「具体的には知らないが聞いたことがある」が54%、「全く知らない」が17%という結果となった。

また、「知っている」「具体的には知らないが聞いたことがある」回答者を対象にした設問「2025年には自動運転技術を活用した自律走行車の配車サービスや配送がビジネスとして利用されていると思いますか」という問いに対しては、「非常にそう思う」6%、「そう思う」33%、「あまりそう思わない」53%、「全くそう思わない」7%となった。

約40%が2025年までのビジネス化を予測している状況だ。こうした数字は、サービス実証など目に見える取り組みが増加すればするほど伸びる傾向がある。社会受容性向上に向け、さらなる取り組みの加速に期待したい。

■【まとめ】業界の動向を把握し、次代の変化にしっかりと対応を

設問はこのほか、業界の収益性やパワートレーン、新車販売のオンライン化、自動車のサブスクリプション、新技術への投資意欲など多岐に渡っている。どれも興味深い内容となっているので、ぜひ一読してもらいたい。

これからの時代は、自動運転や電動化といった技術的なイノベーションとともに、MaaSをはじめとしたビジネスモデルのイノベーションが同時に押し寄せることとなる。

時代の波に乗り遅れることがないよう、業界各社の考え方や動向をしっかりと把握しておきたいところだ。

記事監修:下山 哲平
(株式会社ストロボ代表取締役社長/自動運転ラボ発行人)

大手デジタルマーケティングエージェンシーのアイレップにて取締役CSO(Chief Solutions Officer)として、SEO・コンテンツマーケティング等の事業開発に従事。JV設立やM&Aによる新規事業開発をリードし、在任時、年商100億から700億規模への急拡大を果たす。2016年、大手企業におけるデジタルトランスフォーメーション支援すべく、株式会社ストロボを設立し、設立5年でグループ6社へと拡大。2018年5月、自動車産業×デジタルトランスフォーメーションの一手として、自動運転領域メディア「自動運転ラボ」を立ち上げ、業界最大級のメディアに成長させる。講演実績も多く、早くもあらゆる自動運転系の技術や企業の最新情報が最も集まる存在に。(登壇情報
【著書】
自動運転&MaaSビジネス参入ガイド
“未来予測”による研究開発テーマ創出の仕方(共著)









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