自動運転ラボ、2019年に読まれた「解説記事」ランキング

業界の未来を象徴する「CASE」などに高い関心

B!

自動運転業界の最新動向をアップしている自動運転ラボでは、さまざまなテーマのもと解説記事やまとめ記事も続々と掲載している。

今回は、数百を数える解説記事の中からページビュー数(閲覧数)が多かった順にランキング化し、トップ10に輝いた各記事を紹介していこう。

記事の目次

■1位:CASEとは? 何の略? 意味は? 自動運転、コネクテッド、シェアサービス、電動化(最終更新日:2019年10月7日)

自動車産業の未来を象徴するキーワード「CASE」について解説した記事が1位に輝いた。自動車関連各社、そして産業の将来に対する関心の高さがうかがえる。

記事では、CASEの概略をはじめ、Connected(コネクテッド)、Autonomous(自動運転)、Shared & Services(シェアリングサービス)、Electric(電気自動車)の各要素について業界の動向などをまとめている。

自動運転を支えるコネクテッド技術は移動にさまざまなサービスを提供し、シェアリングサービスは移動方法の幅を広げる。自動車の動力革命といえるEV化は、電動前提の超小型モビリティやマイクロモビリティなどの普及も後押しして社会受容やインフラの整備が促進されている。

また、こうした各モビリティサービスが自動運転化されることで効率性や収益性が高まる――といったように、4つの要素が綿密に絡み合って次世代のモビリティ社会を形成していくのだ。

■2位:【最新版】自動運転車の実現はいつから?世界・日本の主要メーカーの展望に迫る(最終更新日:2019年10月17日)

着々と進む自動運転開発。法律や規制といった外堀も徐々に埋まり、実証を兼ねた実用化サービスのクオリティも少しずつ高まりを見せている。記事では、世界各国の自動車メーカー・グループ16組の実現目標や、自動運転の導入が期待されるタクシーなどの各種サービス、自動運転の実現で影響を受けるマーケット、市場規模などについてまとめている。

自家用車向けでは、自動運転の第一段階といえるレベル3(条件付き運転自動化)が2020年にも世界各地で実用化される見込みで、各社が市場投入を加速させている。

商用車向けでは、ウェイモがセーフティドライバーなしのレベル4自動運転タクシーを実現させており、中国勢などを中心に追随する動きが活発化している。自動車メーカー各社も2020年代前半をめどにレベル4を実用化する計画で、国内でもトヨタが2020年の東京五輪の時期に体験試乗会などを実施する予定だ。

■3位:【最新版】自動運転レベル3の定義や導入状況は?日本・世界の現状まとめ(最終更新日:2019年10月3日)

自動運転レベル3の実用化がついに2020年に始まる。2017年の独アウディ「Audi A8」発売から約3年越しの実現で、自動車メーカー各社が市場投入に向け開発を加速させている状況だ。

記事では、トヨタや日産ホンダ、アウディ、BMW、テスラ、ボルボ各社の動向をはじめ、日本や海外の政策動向、レベル3が抱える課題などについてまとめている。

トヨタは、自動車専用道路におけるレベル3相当の自動運転「Highway Teammate(ハイウェイチームメイト)」を2020年ごろを目処に実現する目標を掲げ、日産は「プロパイロット3.0」を2020~2021年、ホンダも2020年を目処にハンズフリーが可能な高度なレベル2を実現し、レベル3へと発展させるとしている。

現実的には、国内メーカーはハンズフリーが可能なレベル2の市場投入を進め、その利用状況などを踏まえたうえでレベル3を導入する――といった流れになる可能性が高そうで、アウディをはじめとした海外メーカーのレベル3搭載車種がまず国内で走行するものと思われる。

いずれにしろ、実用化が始まることで賛否含めた世論が高まり、自動運転に対する認知度・理解が飛躍的に高まっていくことになりそうだ。

【参考】自動運転レベル3については「【最新版】自動運転レベル3の定義や導入状況は?日本・世界の現状まとめ」も参照。

■4位:自動運転レベルの基礎知識まとめ(最終更新日:2019年9月24日)

自動運転レベルの基礎知識をまとめた記事が4位にランクインした。自動運転における基礎というべき知識だ。

世界で最も普及している自動運転レベルの定義は、自動車関連の標準規格の開発などを手掛ける米国の非営利団体「SAE(米国自動車技術会)」が策定したもので、日本もこれに準拠している。

レベル0は運転自動化なし、レベル1は運転支援、レベル2は部分運転自動化、レベル3は条件付き運転自動化、レベル4は高度運転自動化、レベル5は完全運転自動化を指す。

ただし、国土交通省と国内自動車メーカーは、自動ブレーキなど安全運転支援システム搭載車を販売する際に「自動運転」という言葉を使用せず、「運転支援」などの表現を用いることで2018年11月までに合意しており、レベル2までの技術は原則ADAS(先進運転支援システム)扱いとなる。

「自動運転」という言葉がドライバーの誤解・過信を招くことがないようにするための措置だ。

【参考】詳しくは「自動運転レベルの基礎知識まとめ」を参照。

■5位:【最新版】LiDARとは? 自動運転車のコアセンサー 機能・役割・技術・価格や、開発企業・会社を総まとめ(最終更新日:2019年8月14日)

自動運転の「目」となるセンサー類のうち、一般社会でなじみが薄いながらも大きな注目を集めている「LiDAR(ライダー)」に関する解説記事が5位にランクインした。記事では、LiDARの仕組みをはじめ開発企業や市場規模などをまとめている。

LiDARは赤外線レーザースキャナーとも言われ、光を使ったリモートセンシング技術を用いて物体検知や対象物までの距離を計測する。遠方までの測位が可能なため、カメラなど他のセンサーと併用し、それぞれの弱点を補い合いながら活用されることが多い。

レベル3以降の自動運転に必須とする向きが強く、開発には部品メーカーなどをはじめスタートアップの参入も非常に多い。10年程前までは1台数百万円とも言われていたが、高性能化や小型化、低価格化が著しく進んでおり、量産車への採用を目指し1台数万円レベルの製品も数多く登場している。

■6位:【最新版】MaaSとは? 読み方や意味・仕組み、サービス・導入事例まとめ(最終更新日:2019年10月17日)

従来の自動車、そして移動サービスの在り方を変えていくMaaS(Mobility as a Service)の解説記事が6位となった。記事では、MaaSの定義をはじめMaaSレベル、サービス事例などをまとめている。

フィンランドの企業に端を発するMaaSは、自動車や自転車、バス、電車など、あらゆる交通手段を一つのサービスとして捉え、プラットフォーム上でシームレスにつなぐもの。MaaSレベルが高度になれば、複数の交通手段を利用する場合などでも、予約や決済手続きが1度で済む。

国内でも、国土交通省主導の新モビリティサービス推進事業などによって各地で実証が進められており、観光や飲食、宿泊、医療など、さまざまな分野を連携させたサービス開発が盛んに行われている。

■7位:【最新版】自動運転の最重要コアセンサーまとめ LiDAR、ミリ波レーダ、カメラ(2018年8月17日付)

自動運転の主力となるLiDAR、ミリ波レーダー、カメラの3つのセンサーについてまとめた記事が7位となった。それぞれのセンサーの仕組みや用途などから開発企業に至るまでをまとめている。

物体検出に優れたカメラは、複眼化することで距離計測も可能とする一方、夜間や逆光、濃霧、豪雨、豪雪などの悪天候の場合に検出能力が低下するデメリットがある。空間分解能が高いLiDARは、遠方まで測位できる一方、検出した物体を細分類することは苦手――といった具合に得手不得手があり、高度な自動運転においては併用することが多い。

最新技術のLiDARを筆頭にカメラやミリ波レーダーの開発も盛んで、画像解析技術の高度化なども進められている。

■8位:【最新版】ミリ波レーダーとは? 自動運転車で果たす役割は? 開発企業は?(最終更新日:2018年12月25日)

センサーのうち、ミリ波レーダーを特集した記事が8位となった。記事では、仕組みや役割、技術的な進化などについて網羅的にまとめられている。

ミリ波は、周波数で30GHz(ギガヘルツ)から300GHz、波長にして1ミリメートルから1センチメートルまでの電波を指し、この電波によって離れた対象物との距離や速度、角度を測定することができるセンサーがミリ波レーダーだ。クルーズ・コントロール(ACC)や前方監視追突軽減ブレーキシステムなどのADASで早くから採用されている。

従来使用されているのは76GHz帯レーダーだが、より優れたセンシング能力を発揮できる79GHz帯の標準化が国際的に進められており、より高性能化したミリ波レーダーの標準搭載が近い将来始まる可能性がある。

LiDARなどの陰に隠れがちなミリ波レーダーだが、再び存在感を示す日は近いかもしれない。

■9位:【最新版】トヨタのe-Palette(イーパレット)とは? MaaS向けの多目的EV自動運転車(最終更新日:2019年10月14日)

トヨタの未来のモビリティさービス事業の在り方を象徴するコンセプトモデル「e-Palette(イーパレット)」について解説した記事が9位となった。

イーパレットは、移動や物流、物販など多目的に活用できるモビリティサービスを目指したMaaS専用次世代EVで、自動運転機能も搭載している。

2020年の東京五輪でもイーパレットの五輪仕様車を導入する予定で、選手や大会関係者の移動をサポートする。今後、体験試乗や実証などの機会も増加するものと思われ、未来のモビリティを目にする機会が増えそうだ。

■10位:自動運転業界マップ「2019年春 最新版」をリリース 全182企業・機関・ファンドを掲載(最終更新日:2019年5月16日)

自動運転ラボがまとめた、自動運転業界をカテゴリー別に可視化したカオスマップの最新バージョン「自動運転業界マップ『2019年春 最新版』」が10位にランクインした。各分野の開発企業が一目瞭然となる業界地図だ。

前バージョンから掲載数が44増え、全182企業・機関・ファンドが掲載されている。カテゴリーは「自動運転開発を進める自動車メーカー」「ソフトウェア・プラットフォーム系」など7分類に大別している。

スタートアップの参入が留まることを知らず、各社の提携・協業も進む自動運転業界。地図は常に更新され続けており、次期バージョンの登場が今から楽しみだ。

■【まとめ】CASEやMaaSが徐々に浸透 2020年の関心事は?

CASEやMaaSといった自動運転業界ならではの造語を解説する記事がランクインしたほか、自動運転の実現時期やセンサーに関する記事などがよく読まれたようだ。一般ではなじみが薄い言葉が、徐々に浸透していく過程にあるようだ。

各社の実現目標・ロードマップの類は不定期的に変更されているため、記事の更新が追い付いていない場合もあるが、それだけ業界がスピーディに動いている証拠ともいえる。

来年の業界の動向はどうなるのか。そして読者の関心はどこに向けられるのか。引き続き探求心や興味をそそる1年になることは間違いなさそうだ。

【参考】関連記事としては「自動運転ラボが選ぶ「流行語トップ10」!大賞は…」も参照。

B!
関連記事