片山さつき氏「Google不要の自動運転」を絶賛

E2Eに勝機見出した模様



出典:財務省

片山さつき財務大臣が茨城県常総市を訪れ、本田技術研究所が取り組む自動運転実証を視察した。グーグルのような既存技術と異なるホンダのAI自動運転技術を目の当たりにした片山氏は「商用化すれば欧州、アジアに勝機!」と絶賛したようだ。

財務大臣として、ホンダの技術にどのような勝機を見出したのか。片山氏の発言とともに、ホンダの最新動向に迫る。


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■片山財務大臣の動向

常総市でホンダの実証視察、技術を絶賛

片山氏は2026年8月10日、SNS「X」に以下のように投稿した。

先日のトヨタウーブンシティ見学に続き、今日はホンダが日本の公道向けに実証実験行っている茨城県常総市の現場を、地元永岡元文科相、常総市長、議長他有志議員とご一緒に視察➕後部座席に試乗。Googleのような既存道理情報をベースにするのではなく、車に目がある、道が狭く、車線変更複雑な日本向き、商用化すれば欧州、アジアには勝機!(原文ママ)

片山氏は、CR-Vベースの試験車両に乗車したようだ。本田技術研究所は同市内でレベル2状態の自動運転実証を行っており、おそらくその車両に乗ったものと思われる。

どのような自動運転システムを搭載しているのかも不明だが、おそらく単純なルールベース系ではなく、AIを駆使したE2E系の技術が用いられているものと推測される。それゆえ、片山氏はルールベースの代表格であるグーグルの名を挙げ、これをベースとしないホンダの技術は日本向きで、商用化すれば勝機を見出せる……としたのだろう。


ルールベースであれば、高精度3次元地図をはじめとした道路情報などを完備することで初めて自律走行が可能になるが、E2Eであればこうした下準備を省くことが可能になる。道が狭く、車線変更複雑な日本向きかどうかはさておき、次世代技術として勝機を見出せるのは間違いない。


Woven Cityも見学「ぜひお手伝いしたい」

なお、静岡県裾野市のWoven Cityも同月に見学したようだ。静岡朝日テレビの取材に対し、片山氏は「日本の生活をもっと便利に、日本をもっと良い国にというコンセプトで最新のテクノロジーを使ってAIもすべて駆使してまちをつくるという理想のやり方」「いろんなスーパーシティ、スマートシティを見てきた中で、抜群に進んでいるしいろんな学びがあった。ぜひお手伝いしたい」と絶賛している。

国交省や経産省ではなく、財務大臣としてこうした実証地を訪問した片山氏。個別具体的な自動運転施策ではなく、予算面や官民投資の観点から自動運転分野を強力にフォローしてくれるのかもしれない。

■ホンダの動向

常総市で2022年から自動運転実証

本田技術研究所は2022年、AIや知能化マイクロモビリティを活用した「AIまちづくりへ向けた技術実証実験に関する協定」を常総市と締結した。

地域活性化やまちづくりに関する課題分析、AIや自動運転などの先端技術を活用したアイデア創出などに向け、その技術実証の場として常総市と手を組んだのだ。

同市では、搭乗型マイクロモビリティ「CiKoMa(サイコマ)」やマイクロモビリティロボット「WaPOCHI(ワポチ)」などの「Honda CIマイクロモビリティ」の実証が行われている。

「Honda CI」は独自の協調人工知能として開発を進めているもので、周囲の環境を認識しながら人とコミュニケーションを取り、意図や状況を理解して自ら判断する先進的なAI技術とされている。このHonda CIを活用したものが「Honda CIマイクロモビリティ」だ。

地図レス協調運転技術やコミュニケーション技術を搭載

CiKoMaとWaPOCHIは、高精度地図に頼らず環境を認識しながら自律走行できる「地図レス協調運転技術」と、人間のように対話やジェスチャーでコミュニケーションが可能な「意図理解・コミュニケーション技術」の二つのコア技術を搭載しているという。

高精度3次元地図に依存せず、カメラからの画像情報だけで交差点やカーブなどの環境や歩行者・車両などの他者を認識し、リアルタイムで走行可能領域を素早く理解・決定する機能や、車道のように区画線や縁石などがないオープンスペースにおいて、障害物の距離や物体構造を瞬時に立体化し、人間の目と同じように走行可能な領域を素早く認識してマップとして生成する機能、さまざまな走行環境を考慮したリアルタイムのルート最適化アルゴリズムを用い、目的地まで熟練ドライバーのように安心・スムーズに移動できるルートを決める機能――を備えている。

また、ユーザーとモビリティが互いに見えているものを言葉で伝え合い、人間同士のように自然なやり取りで移動する位置を理解し合える機能や、複数のユーザー候補から特徴的な違いを判断し、人間のように対話でユーザーを特定する機能、人間の経験を 「事前知識」 として登録することで、ルール・マナー・危険度などのネガティブ要素を避けるように交渉・提案するなど、人間のように周囲の状態を考慮して提案できる機能――も備えているようだ。

常総市では、アグリサイエンスバレー常総内に「Honda ASV-Lab.」と呼ばれるホンダのブースがあり、同所内の道の駅から観光農園までCiKoMaによる自動走行体験機会を提供するなど、継続的に開発を進めている。

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Helm.aiとの協業でE2E開発を推進中

このHonda CI技術が厳密な意味でE2Eかどうかは不明だが、E2E同様カメラからの情報をもとにAIが直接認知・判断などを行っているものと思われる。

ホンダは、AIの教師なし学習に強みを持つ米Helm.aiと2019年から協業しており、2022年、2025年に追加出資を行うなど、その関係性を深めている。教師なし学習は、機械に正解を与えずに学習させ、自力でデータの規則性や特徴を導き出す学習方法だ。

2025年には、環境認識から意思決定、車両制御までを担うE2EのAIアーキテクチャーによる次世代AD・ADASの開発強化を目的に複数年にわたる共同開発契約を締結している。Helm.ai独自のDeep Teaching技術や生成AIを活用することで、一般道・高速道路を問わず、目的地までのすべてのルートにおいてアクセルやハンドルなどの運転操作を高度に支援する次世代ADASの開発をいっそう加速させ、2027年ごろに北米や日本で予定している主力ラインアップへ幅広く適用することを目指している。

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オールド自動車メーカーの中で先陣を切れるか

つまり、自家用車におけるレベル2++の実用化を、早ければ2027年にも開始するということだ。レベル2++を実用化しているのは、米テスラやテック企業と提携する一部の中国系メーカーに留まり、オールド自動車メーカーは後れを取っている。

その意味で、2027年の実用化を目指すホンダに勝機が訪れる可能性は十分考えられる。自動車メーカーとして高い実績と信頼を誇る上位組の中でいち早くレベル2++を取り入れることで、新たな層を獲得できる可能性が高まる。

自家用車市場は販売台数が膨大なため、企業業績に直結するのは言うまでもないが、搭載車両が増えればより多くの走行データを収集可能になり、技術開発をさらに加速することができる。レベル4~5の自動運転に結びついていくのだ。

英Wayveと手を結ぶ日産も2027年の実装を計画している。もちろん、欧米系メーカーも水面下で開発・実用化に向けた取り組みを加速していることはほぼ間違いない。日本ならではの安全に対する高い意識をブランドに変え、ぜひともシェア拡大を図ってもらいたいところだ。

【参考】関連記事「自動運転レベル2+、レベル2++とは?」も参照。

E2E自動運転はレベル5を見据えた競争へ

一方、レベル4以降の自動運転サービス領域では、ルールベースで先行していたWaymoらは軒並みE2E開発に着手しており、ルールベースとのハイブリッド型自動運転の実装を開始している。

E2E特化型のテスラも一部で無人レベル4相当のロボタクシーを実用化しており、この領域でアドバンテージを握るための猶予はそれほど多く残されていない。

まずはレベル2++で世界をリードし、並行してレベル4開発・実用化を加速するのは必要最低条件となる。いち早く完成度を高め、レベル5を見据えた新たな競争に身を置かなければならないだろう。

その意味では、財務面からのサポートは非常に心強いものとなる。積極財政派の高市政権を支える片山氏の手腕に期待したい。

自動運転開発における「ルールベース」「E2Eモデル」を解説!開発事業者の動向やトレンドも

■【まとめ】国はどのように関与すべきか

米国・欧州系の有力自動車メーカーもE2E開発を急いでいるが、その進捗をつかみきれないため現時点で優劣をつけにくいが、ホンダや日産が計画通り2027年中にE2Eを活用したレベル2++を実装することができれば、間違いなく先頭集団として業界をリードすることができる。

各社の取り組みに対し、国はどのように関与すべきか。規制・制度整備など含め、2030年代に向けどのように国策や戦略が動いていくのか要注目だ。

記事監修:下山 哲平
(株式会社ストロボ代表取締役社長/自動運転ラボ発行人)

大手デジタルマーケティングエージェンシーのアイレップにて取締役CSO(Chief Solutions Officer)として、SEO・コンテンツマーケティング等の事業開発に従事。JV設立やM&Aによる新規事業開発をリードし、在任時、年商100億から700億規模への急拡大を果たす。2016年、大手企業におけるデジタルトランスフォーメーション支援すべく、株式会社ストロボを設立し、設立5年でグループ6社へと拡大。2018年5月、自動車産業×デジタルトランスフォーメーションの一手として、自動運転領域メディア「自動運転ラボ」を立ち上げ、業界最大級のメディアに成長させる。講演実績も多く、早くもあらゆる自動運転系の技術や企業の最新情報が最も集まる存在に。(登壇情報
【著書】
自動運転&MaaSビジネス参入ガイド
“未来予測”による研究開発テーマ創出の仕方(共著)




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