Googleの自動運転車、「トヨタより先」に東京都民に浸透

Waymoのテスト車両の目撃情報が続々



自動運転タクシーで覇権を握るグーグル系Waymo。お膝元の北米でサービス提供エリアの拡大を推進するにとどまらず、ついに海外進出を視野に入れた取り組みに着手した。


その貴重な第一歩目は、日本の首都・東京に向けられ、すでにデータ取得を目的とした公道走行を開始している。都内ではいつのまにか目撃情報も相次ぐようになっており、ローンチに向けた取り組みが着々と進められているようだ。

一方でトヨタの自動運転車の目撃情報はほとんど聞こえてこない。つまり、Googleの自動運転車はまだデータ取得目的だとは言え、イメージであれ、トヨタより先に東京都民に対して浸透が始まったことになる。

近い将来、Waymoの無人自動運転タクシーは当たり前の光景となるのか。同社の最新動向に迫る。

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■Waymoの目撃情報

SNS「X」には、都内におけるWaymo車両の目撃情報が続々と上げられている。


・久しぶりにこの辺来たんだけど…無人タクシーのWaymoが港区にいたあーーーー 日本交通が提携とかニュース見たの思い出した。東京の道はどうなんだろう 安全第一で!!
https://x.com/c_h_g_s/status/1954797301899419886

・東京でwaymo走ってた(運転手はいたので、データ取ってるのかな)楽しみ
https://x.com/onishiki_plus/status/1942740515159781643

・waymo (自動運転タクシー)in 表参道!はじめて発見!さすが東京!人間でも嫌な直角カーブ&工事現場の難関をクリアしていた、すんご。
https://x.com/yukazu0907/status/1958366758622093660

・Waymo 東京タワーまで行った時にスレ違った Google map carだと思ったら… 分社化した会社の自動走行 実証実験車 日本でも既に走っていたとは
https://x.com/Kate21Blanchett/status/1951192979793752301


車両のルーフに取り付けられたLiDARを見て、ストリートビュー撮影車と見間違う可能性も確かにありそうだ。各種センサーでガチガチに身を固めたグーグル系の車両が東京都心部で走行している様を、自動運転タクシー車両を知らない人が見れば「???」となりそうだ。

走行技術を評価する声もあったが、東京での走行は純粋な手動運転なのか、あるいは技術の一部を生かしたハンズオフレベルの運転なのか、こうした点も気になるところだ。

■米国で体験済みの人も一定数

また、米国内でWaymoの自動運転タクシーに乗り、東京での展開に言及する人も増えているように感じる。

・waymoに6回ほど乗ったが自動運転は確実に来ると感じた。東京でも試験運用しているみたいだが、この流れは避けられないなと。一度乗れば便利すぎると気づくし、普通に一時停止はきちんと止まるし、周囲300mほど見えているとのこと。センサーで建物の裏の人まで補足していた。また、今はUberと変わらない金額だが、これが一気に価格が下がった時に市場を席巻するだろう
https://x.com/ai_agent_dev/status/1957340469714735311

・無人の自動運転タクシー Waymoで移動 運転は快適だし、何より運転手がいない事が、車内をより快適な空間にしています。Waymoは前回乗った時よりサンフランシスコで乗れるエリアも広がっていて、東京でテスト走行も始まっています。武蔵野エリアで乗れる日が来るのが楽しみです。2年後くらいかな…?
https://x.com/kichijoji_monde/status/1941789594116137196

・サンフランシスコ中心部で無人自動運転タクシーのwaymoに乗っていると、普通にwaymo同士でよくすれ違う。この動画の中でも4台に遭遇して、降りるときには3台並んでいた。自動運転も最初は驚いたけど何回か乗るとすぐ慣れたし、逆に有人タクシーに不安を感じる逆転現象が起きていた。東京にも欲しい
https://x.com/takejune/status/1806403263526469735

数百台規模のフリートが走行しているサンフランシスコなどでは、Waymoを目にするのはもはや日常的な風景となっているようだ。初めて乗車する際は緊張するが、すぐに慣れる点もポイントだ。技術的に不安を感じさせない水準に達している証左と言える。近い将来、こうした状況が東京でも……と考えると、楽しみが尽きない。

既得権益云々に関しては、今のところ心配する必要はなさそうだ。日本でWaymoの進出を手助けしているのは、タクシー事業者の日本交通と国内配車サービス最大手GOだ。両社の会長を務める川鍋一朗氏は全国ハイヤー・タクシー連合会の会長職も務めており、業界のコンセンサスは得たも同然と言える。

・10年後には、東京23区・横浜・大阪・名古屋・福岡あたりの都心部ではWaymoやその他の自動運転タクシーが走るようになり、より都市部の価値は高まると思います。人々は遠距離旅行時にのみレンタカーをし、普段はロボタクシー利用になり、車の保有がいよいよ趣味の領域になる。
https://x.com/turtle_auto/status/1941997597235024067

自動運転タクシーが普及した未来を見据えた内容だ。需要の高い都心部を中心に自動運転タクシーが普及するなど、日常的な近距離移動は無人化される。自家用車は中長距離移動向けとなり、その利用頻度を踏まえ自家用車を手放す人が増えるのでは――とする見方だ。

・Waymoは東京でデータ収集のため手動運転をする必要があり、今年4月からテストを続けてる。しかしこのやり方では世界のどこでも機能しない。一方、FSDはすでに東京で完璧に動作しており、あとは規制当局の承認待ち
https://x.com/tesla_machan/status/1958041468658196899

テスラも、日本国内でFSDの走行テストを開始した。現状、他国におけるハンズオフ運転実現に向けたレベル2+実証に過ぎず、レベル4実装を目指すWaymoと比較するのは妥当ではないが、テスラのハンズオフは市街地など広範囲で実用域に達しており、その技術水準は特筆すべきものだ。

レベル2+と自動運転の間にある壁は高いが、その壁を乗り越えたとき、テスラの技術はエリアを選ばず一気に普及させることができる爆発力を有するのも事実だろう。

■Waymoの日本進出の概要

日本交通・GOとパートナーシップ

出典:Waymo公式サイト

Waymoと日本交通、GOは2024年12月、Waymoの自動運転技術「Waymo Driver」のテストを東京都内で実施するため戦略的パートナーシップを締結したと発表した。Waymo初の海外進出案件だ。

サービス実装時期は未定だが、初期フェーズとしてWaymo Driverを搭載したジャガー製BEV「I-PACE」を輸送し、日本交通の乗務員がWaymoの車両を運転する形でテスト走行を開始する計画だ。

2025年4月、3社はWaymo車両を公開するイベントを開催し、公道走行を開始した。報道によると車両は25台で、港区、新宿区、渋谷区、千代田区、中央区、品川区、江東区の7区において、Waymoのトレーニングを受けた日本交通の乗務員が手動運転し、データを収集する。

右側通行と左側通行など米国と異なる日本の道路交通環境下で自動運転システムを学習させ、日本仕様に適応させていく。日本交通は、運転のほか維持管理や必要となるインフラを提供する。GOは、配車アプリのプラットフォーム企業として、進化する日本のモビリティ環境について視座を提供し、プロジェクトの推進と社会受容性の向上をサポートする。

進捗状況に関する公式リリースがないため最新状況はわからないが、Waymoの車両を目にする機会が増え、認知度が高まるだけでも効果は大きい。また、自動運転タクシー実用化に向けた機運や期待感が高まることも業界として望ましいことだ。

■Waymoの動向

北米ではエリア拡大を加速中

Waymoは、2018年にアリゾナ州フェニックスで自動運転タクシーサービスを開始して以来、カリフォルニア州サンフランシスコ、ロサンゼルス、テキサス州オースティン、ジョージア州アトランタ――とサービス提供エリアを拡大してきた。

今後、2026年にはワシントンD.C.やフロリダ州マイアミ、ネバダ州ラスベガス、カリフォルニア州サンディエゴ、テキサス州ダラスでもサービスを開始する予定としている。

水面下で準備を進めていたこともあるだろうが、以前に比べエリア拡大・サービス実装のスピードが速まっている印象が強い。

Waymo Driverの安全性が一定水準に達し、新規エリアにも迅速に対応可能となっている可能性が考えられる。日本での展開には、日本の交通ルールを適応し直さなければならないため時間を要することになりそうだが、思いのほか早くローンチすることも考えられそうだ。

出典:Waymoプレスリリース

フリート拡大へ新工場建設

Waymo は、フェニックス、サンフランシスコ、ロサンゼルス、オースティンの4都市で計1,500台以上の自動運転車両を保有し、毎週25万回以上の有料乗車を提供している。

Waymoは供給された自家用車を自動運転化する自社工場を有しているが、サービス拡大に生産台数が追いつかなくなり始めたようだ。

そこでカナダのティア1サプライヤーマグナと協力し、数百万ドル投資してアリゾナ州フェニックス東に位置するメサに新たな製造拠点を建設した。

新工場では、自動運転化したI-PACE数千台を生産するという。2025年初めにジャガーから最後の納車を受けており、来年にかけさらに2,000台以上をフリートに加える計画としている。施設の柔軟な設計により、Zeekr RTをはじめとする新しい車両プラットフォームに第6世代Waymo Driverを統合することもできるとしている。

「ジャガーから最後の納車」という点もポイントで、2026年には新モデルの採用が始まる見込みのようだ。

将来トヨタの新モデルが導入される可能性も

Waymoが採用したモデルは、I-PACEが2代目となる。初代は、クライスラーの「Pacifica(パシフィカ)」で、Waymoをグーグルから分社化し、公道実証を本格化した2016年から採用してきた。BEV戦略のもと、現在はすべてI-PACEに置き換えられている。

3代目は、吉利汽車(Geely)系列のZeekrと共同開発したBEV「Zeekr RT」が予定されている。大きめのミニバンタイプで、よりゆったりとした乗車体験が可能になりそうだ。

【参考】Waymo×Zeekrについては「Googleの新ロボタクシー、「ワイパーが10本」の目撃情報」も参照。

出典:Waymo公式ブログ

Waymoはまた、韓国ヒョンデとも複数年に渡る戦略的パートナーシップを結び、第一段階としてBEV「IONIQ 5」に第6世代のWaymo Driverを統合し、フリートに加えていくとしている。路上テストを2025年後半までに開始し、その後数年のうちに実用化する計画だ。

Zeekr RTとIONIQ 5の自動運転化が同時に進められていくのか、市場で分けるような形で導入を図っていくのかなど気になるところだ。Zeekrは中国系のため、経済摩擦の影響も懸念される。

近々では、Waymoは2025年4月、トヨタと自動運転技術の開発と実用化の加速に重点を置いた協業を検討することで予備合意に達したと発表した。

それぞれの強みを融合させ、新たな自動運転車プラットフォームの開発を目指すほか、Waymoの自動運転技術とトヨタの自動車に関する専門知識を次世代の個人所有車両(POV)の強化に活用できるかについても検討していく。

トヨタは現在、北米仕様のシエナをベースとした自動運転サービス向け車両「Sienna Autono-Maas」を展開しており、米May Mobilityや中国Pony.aiなどが採用している。ただ、Sienna Autono-MaasはBEVではないため、Waymoが採用することはない。

この協業により、自動運転サービスに向けたトヨタ製新BEVが誕生することになるのか、今後の動向に注目だ。また、トヨタの自家用車にWaymoの自動運転技術が導入される可能性もある。

グーグルCEOのスンダー・ピチャイ氏も、2025年第1四半期決算発表会でWaymoが個人向けの自動運転車を販売する可能性に言及している。

Waymoとトヨタの協業がどのように具体化していくかはまだ不透明な状況だが、先行き次第で自動車業界、自動運転業界双方にとてつもないインパクトをもたらすことになりそうだ。

【参考】Waymoの動向については「Google、自動運転車の「個人向け販売」を検討」も参照。

■【まとめ】Waymoが日本の自動運転シーンを一変

日本の交通ルールへの対応にどれだけ時間を要するかは定かではないものの、技術水準を踏まえれば1~2年以内にサービスインしてもおかしくない。日本の政府は自動運転サービス実用化を推進しており、許認可も特段問題なく進みそうだ。

Waymo×トヨタの動向も気になるところだ。将来、トヨタの新モデルを採用した自動運転タクシーに乗車できるかもしれない。日本の自動運転シーンを一変させるポテンシャルに要注目だ。

記事監修:下山 哲平
(株式会社ストロボ代表取締役社長/自動運転ラボ発行人)

大手デジタルマーケティングエージェンシーのアイレップにて取締役CSO(Chief Solutions Officer)として、SEO・コンテンツマーケティング等の事業開発に従事。JV設立やM&Aによる新規事業開発をリードし、在任時、年商100億から700億規模への急拡大を果たす。2016年、大手企業におけるデジタルトランスフォーメーション支援すべく、株式会社ストロボを設立し、設立5年でグループ6社へと拡大。2018年5月、自動車産業×デジタルトランスフォーメーションの一手として、自動運転領域メディア「自動運転ラボ」を立ち上げ、業界最大級のメディアに成長させる。講演実績も多く、早くもあらゆる自動運転系の技術や企業の最新情報が最も集まる存在に。(登壇情報
【著書】
自動運転&MaaSビジネス参入ガイド
“未来予測”による研究開発テーマ創出の仕方(共著)




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