中国の自動運転ベンチャーWeRide(文遠知行)が、米国市場に上場予定だ。2023年9月にIPOの認可を取得し、米ニューヨーク市場もしくはナスダック市場への上場準備に入っている段階だという。
同社は、米民間調査会社のCBインサイツによると、評価額が2023年10月時点で44億ドル(約6,400億円)となっており、中国を代表するユニコーン(企業価値が10億ドル以上の未上場企業)と言われている。今回の米国上場により、5億ドル(約730億円)を調達予定のようだ。
■自動運転レベル4特化のWeRide
2017年設立のWeRideは広東省広州市を本社とし、自動運転レベル4(高度運転自動化)に特化して技術開発を行っている。レベル4は、特定エリア内での完全自動運転が可能となる水準を指す。
2018年11月に広州でロボタクシーの走行を開始、2019年11月には商業化している。海外では、2021年4月に米カリフォルニア州でセーフティドライバーなしの自動運転車の公道試験許可、2023年7月にアラブ首長国連邦(UAE)で自動運転車の国家ライセンスを取得済みだ。
WeRideは2022年3月に4億ドルの資金調達を完了したことを発表している。出資したのは、中国の自動車メーカー大手である広州汽車集団(GAC Motor)や独自動車部品大手のボッシュなどだ。ボッシュとは戦略的協力協定を締結し、自動運転ソフトウェアの共同開発を行うことも発表している。
■日産陣営が2018年と2021年に戦略的投資
またルノー・日産自動車・三菱自動車が設立した戦略的ベンチャーキャピタルファンド「アライアンス・ベンチャーズ」が、2018年10月と2021年6月に戦略的投資を行っている。2022年11月には、日産の現地子会社がモビリティサービス事業を手掛ける新会社を設立し、ロボタクシーサービスに進出することが明らかになっており、WeRideは蘇州市でのプロジェクトに技術的サポートを提供する予定のようだ。
2023年12月には、北京で完全無人の自動運転タクシー(ロボタクシー)の有料サービスの提供準備が整ったことを発表した。車内に安全要因を乗車させない自動運転レベル4の水準でサービスをスタートするという。
【参考】関連記事としては「中国WeRide、北京で「有料×完全無人」の自動運転タクシー展開へ」も参照。
中国WeRide、北京で「有料×完全無人」の自動運転タクシー展開へ | 自動運転ラボ https://t.co/jtF3O02ZfC
— 自動運転ラボ (@jidountenlab) December 6, 2023
■自動運転企業の上場が今後相次ぐ?
2020年にLiDAR開発の米Velodyne Lidarや米Luminar Technologiesが米ナスダック市場に上場した。ただしその後Velodyne Lidarは、同じくLiDAR開発企業の米Ousterと対等合併し、社名としてはOusterが残った。
2021年11月には、トヨタと提携している自動運転開発企業の米Aurora Innovationが米ナスダックに上場した。米インテル傘下で自動運転の技術開発を行っているイスラエル企業Mobileyeは、2022年6月に米ナスダック市場に上場した。同社の上場は、2022年の米国上場案件で最大規模となった。
2023年の上場案件としては、中国の自動運転システム開発スタートアップのMomentaが米国または香港市場での上場を検討しているとされている。LiDAR開発を手掛る中国RoboSenseは、香港株式市場へ上場申請書を提出済みだ。
WeRideの上場の行方とともに、2024年はどんな自動運転関連銘柄が登場するかにも注目したい。
【参考】関連記事としては「自動運転、米国株・日本株の銘柄一覧(2023年最新版)」も参照。