コネクテッドカー、観ておきたいYouTube動画10選

未来のモビリティはどう変わる?



すでに実用化が始まっているコネクテッドサービス。車載通信機器の標準搭載化も進んでおり、すでにサービスの先端に触れている方も多いのではないだろうか。

現在のコネクテッドサービスの主流はどのようなものか。また、未来のコネクテッドサービスはどのようなものになっていくのか。


コネクテッドサービスの現在と未来について、開発各社がYouTubeに公式アップしている動画を通して触れていこう。

■TOYOTA Connected:【T-Connect for CROWN】T-Connectが実現する“ヒューマン・コネクティッド・サービス(2018年7月4日/6分57秒)

トヨタコネクティッドは、実用化が進むトヨタのコネクテッドサービス「T-Connect」を紹介する動画をアップしている。

緊急通報サービスをはじめ、セキュリティ通知機能やリモート操作が可能な盗難抑止サービスなど各サービスを紹介しており、AIによる音声エージェントオペレーターサービスでは、運転中のドライバーによる「この辺にある蕎麦屋を探して。駐車場のあるところがいい」といった発話を認識し、モニターに候補地を表示。「2番目」「目的地セット」などの指示に従ってナビゲートする様子が収められているほか、有人オペレーターサービスも紹介されている。


eケア(走行アドバイスヘルスチェックレポート)では、リアルタイム収集される車両データと連携することでオペレーターが的確な処置をアドバイスしたり、販売店へ連絡したりする様子などが収められている。

つながる保険プラン・ドライブ診断では、走行データから診断した走行スコアなどをスマートフォンで見ることができる機能をはじめ、安全運転スコアや走行距離を基にしたテレマティクス保険を紹介している。

実用化と進化が続くコネクテッドサービスの「現在」が、非常にわかりやすくまとめられた内容だ。

【参考】T-Connectについては「トヨタのコネクテッドサービス「T-Connect」と「e-Palette」を完全解説」も参照。


日産自動車:【技術】森美術館に未来の #コネクテッド 技術 #I2V 出展(2019年12月5日/1分47秒)

日産は、森美術館で2020年3月29日まで開催されている「未来と芸術展:AI、ロボット、都市、生命ー人は明日どう生きるのか」に出展中の「Invisible to Visible ~未来の自動運転~」をアップしている。コネクテッド技術を応用し、未来の自動運転を体験できる来場者参加型のインスタレーション作品だ。

Invisible to Visibleは、リアル(現実)とバーチャル(仮想)の世界を融合することでドライバーに「見えないものを可視化」し、究極のコネクテッドカー体験を生み出す将来技術。展示では、雨天時に快晴の景色を重ねて映し出すことで快適なドライブを実現する機能や、見通しの悪い山道などで前方に現れたゴーストカーがガイドしてくれる機能、駐車場の空きスペースを教えてくれる機能の3つのドライビングシーンを楽しむことができる。

現在実用化されているコネクテッド機能は車両管理やドライバー向けのサービスが主流となっているが、Invisible to Visibleは将来の運転支援システムや自動運転に通じるコネクテッド技術で、今後の研究開発の進展に期待したい。

■デンソー:DENSO URBAN MOVES 日本語 – CES2019 -(2019年3月27日/5分23秒)

デンソーからは、CES2019に出展したMaaS向けのARミニモックカー「DENSO URBAN MOVES」を紹介する動画をおすすめする。コネクテッド機能を有効活用した利便性の高いモビリティサービスを提案する内容だ。

登録された人をフェイスキーで認証する乗員認証システムやPlug-in ECUをアドオンすることで各種コンテンツや機能をモビリティに持ち込むことが可能なシステムなどを紹介するほか、さまざまなサービスとつながることで旅行時間に新たな価値を生み出すトラベルモード、Wi-Fiの使用や車載カメラを活用したテレビ会議など、オフィス環境を持ち込むことができるビジネスモードなどを提示している。

また、デイリーモードでは、乗員の購買履歴をもとに周辺店舗の広告を提供し、車内において通信販売のような形で買い物をすると、映画を見ている間など停車時間中にトランクにデリバリーされるサービスや、バレットパーキング中に洗車や給油を行ってくれるサービスなどを提案している。

なお、DENSO URBAN MOVESは東京モーターショー2019でも展示されている。

■SmartDrive:SmartDrive Overview 2018(2018年8月20日/2分10秒)

クラウド車両管理サービスやデータ分析などを手掛けるスマートドライブからは、同社の事業や理念を紹介する動画をおすすめする。

同社はクラウド車両管理サービス「SmartDrive Fleet」やシガーソケットに差し込むだけのデバイス「SmartDriveデバイス」、法人向けの通信型ドライブレコーダー、車両運行データ分析サービスなどを手掛けている。安全な交通社会の形成をベースに営業の効率化や労働環境の改善などを図っていくビジネスモデルだ。

動画では、冒頭、世界の車両台数を示しながら「もし、これらが全部インターネットで繋がったら?」と提起し、クルマ×ビッグデータで「クルマの持ち方」が変わると提案。クルマにまつわるあらゆる情報をスマートフォンで閲覧可能にすることで、クルマの走行経路や運転のクセを知ることができるほか、安全運転ドライバーにはポイントという形でフィードバックされる仕組みを紹介している。

後半では、「車検などいろいろなことがスマホ1台でできて便利」「安全運転すればするほどポイントが貯まる」「運転が点数で出るため、クルマから運転を教えてもらってる感じ」といったユーザーの声を紹介するほか、同社の北川烈社長が「10万台をマイルストーンとし、それくらいの規模のデータを集めることで新しいサービスの提案や還元サービスなど、社会に役立つ世界観を実現したい」と意気込みを語って締めくくっている。

■GMOクラウド:LINKDrive(リンクドライブ) | New Driving Style(2019年3月14日/2分53秒)

各種IT事業を手掛けるGMOクラウドは、ドライバー向けサービス「LINKDrive」のイメージ動画をアップしている。後付け可能なコネクテッドサービスで、手軽にさまざまなサービスを受けられる魅力を紹介している。

LINKDriveコネクタをクルマのOBD差込口に差し込み、スマートフォンと同期させるだけで利用可能で、オイルの汚れやバッテリーの劣化、タイヤの消耗状態などを確認できるほか、燃費などの走行データも自動で解析し、カーストレスチェックや遠隔診断などを行うことができる。

動画では、スマートフォンを使ってクルマの状態をスキャンすると、車両情報が整備会社にもリアルタイムで届き、アドバイスやメンテナンスを受けられるサービス事例を紹介している。クルマのあらゆる情報をクラウドに蓄積・解析し、スマートフォンを介して可視化するコネクテッドサービスだ。

■ルネサスエレクトロニクス:つながるクルマ(2018年5月23日/7分59秒)

半導体大手のルネサスからは、同社の展示会「Renesas DevCon Japan」で公開されたコネクテッド技術関連の発表を収録した動画をおすすめする。

クラウドに接続することによって、ホーム空間とクルマ空間がシームレスにつながるようになり、個人の嗜好をドライブ特性と連携させられる時代をイメージし、コネクテッドカー時代をリードしていく多くのテクノロジーの開発を進めているとし、デモでは「個人認証」「安心・安全」「快適」の3つのシーンを紹介している。

個人認証では、ホログラム・コンシェルジュが健康状態や運転行動特性を反映し、クルマをパーソナライズしている。安心・安全では、運転の自動制御や注意喚起を音声とHMIを使って表示するなど、ドライバーを見守る運転支援を行っている。

快適では、高速道路で自動運転レーンに入るシーンを紹介しており、自動運転中のコネクテッドサービスを提案している。

【参考】ルネサスの取り組みについては「半導体大手ルネサス、AWSと連携可能なSDKの提供開始 コネクテッドカー向け」も参照。

■ACCESS:ACCESS Twine for Car(2020年2月4日/3分)

ソフトウェア開発を手掛けるACCESSからは、車載向けサービスソリューション「ACCESS Twine for Car」のデモムービーを紹介する。CES2020で同社の子会社ACCESS Europeが中国のEVメーカー・BYTONと共同して先進の車載インフォテインメントのデモを行っており、その様子が収められている。

動画では、BYTONのコクピットにおいて、ステアリングの中央に搭載された小型ディスプレイと正面の大型ディスプレイを活用し、タップやジェスチャーによって音楽や映像を操作する様子をはじめ、テレビ会議の映像や資料などが表示されるオフィスモード、メディテーションモード、ヘルスケア、ゲームモードなどが紹介されている。

コネクテッド技術を活用したリアリティ満載の車載インフォテインメントシステムだ。

■Airbiquity:OTAmatic テクノロジー インテグレーション(2019年7月2日/2分9秒)

コネクテッドカー向けのソリューション開発などを手掛ける米Airbiquityは、最新のOTAソリューション 「OTAmatic」と各企業の技術を組み合わせることで得られる効果を具体的な事例を交えながら紹介する動画をアップしている。

コネクテッドカー向けのOTA(Over The Air)サービスの提供には、ハードウェア、ソフトウェア、セキュリティフレームワーク、データ分析を提供するさまざまな企業が一体となったコミュニティが必要とし、連携するパートナー企業との具体例をスライド形式で提示している。

例えば、OTAmaticと、データ分析を手掛ける米arityの運転行動分析モジュールを組み合わせることで、拡張性に優れた車載エッジデータ分析が可能になることや、ルネサスの高性能かつ低消費電力の車載コンピューティングプラットフォーム「R-Car H3」と組み合わせることで、安全かつ拡張性に優れた車載OTA更新ソリューションが実現する――といった具合だ。

このほか、サイバーセキュリティ開発を手掛けるイスラエルのSAFERIDEやNXP、STMicroelectronicsなどの事例も紹介している。

■トレンドマイクロ:コネクテッドカーのセキュリティリスク(2017年6月2日/3分49秒)

セキュリティ関連技術の開発を手掛けるトレンドマイクロは、独自の視点でコネクテッドカーに潜むセキュリティリスクに警告を発し、セキュリティソリューションの重要性を指摘する動画をアップしている。

冒頭、すべてのコネクテッドカーはITSの一部となって他のデバイスと情報を共有するようになり、スマート化されたクルマは自動運転ができるようになり、同時に危険予知などのインテリジェントシステムによって運転はより安全なものになっていくとしながらも、重要な各機器のセキュリティに疑問を提起し、ハッカーに侵入された際のさまざまなリスクを提示している。

■AGC:コネクテッドカーの実現にむけた挑戦 -オンガラスアンテナで5G通信に成功-(2018年7月24日/2分16秒)

世界最大手のガラスメーカーAGCは、コネクテッドカーに必要不可欠となる次世代移動通信システム「5G」に関する実証の様子をアップしている。

茨城県国土技術政策総合研究所のテストコースで、自動車ガラスと一体化した見えないアンテナによって、クルマのシルエットを損うことなく高速通信を可能にする技術で、時速30~100キロの走行実験でそのパフォーマンスを実験した内容で、「ガラスアンテナと高性能ビームのテクノロジーが5Gの未来を切り開く」と結んでいる。

【参考】AGCの取り組みについては「アンテナ埋込型の車の窓、「つながる」時代にハイパー特需到来」も参照。

■【まとめ】未来のコネクテッド技術は自動運転をスマート化する

コネクテッドカーの開発においては、自動車メーカーをはじめ半導体・ソフトウェアや通信、セキュリティ、ガラスに至るまで、さまざまな業種の企業が関わっていることがわかった。

現在のコネクテッド機能は、トヨタの「T-Connect」に代表されるように、車両メンテナンスや走行データをもとにした各種サービス、簡易的なリモート制御サービスが主流であり、王道のようだ。今後は、これらの機能のアップデートやサーバーに蓄積された店舗情報などを基にしたナビゲート機能が強化されていくのと同時に、車両から収集されたデータをビッグデータとして有効活用する取り組みも本格化していくものと思われる。

また、日産の「Invisible to Visible」のように、コネクテッド技術の枠に収まりきらないような最先端技術も続々と発表され、自動運転と一体化した新技術として業界に大きな影響を及ぼすことなども想定される。

コネクテッド技術は自家用車のスマート化に留まらず、将来的には交通社会全体のスマート化や自動運転システムのスマート化につながっていくのだ。今後の技術の進展に要注目だ。

記事監修:下山 哲平
(株式会社ストロボ代表取締役社長/自動運転ラボ発行人)

大手デジタルマーケティングエージェンシーのアイレップにて取締役CSO(Chief Solutions Officer)として、SEO・コンテンツマーケティング等の事業開発に従事。JV設立やM&Aによる新規事業開発をリードし、在任時、年商100億から700億規模への急拡大を果たす。2016年、大手企業におけるデジタルトランスフォーメーション支援すべく、株式会社ストロボを設立し、設立5年でグループ6社へと拡大。2018年5月、自動車産業×デジタルトランスフォーメーションの一手として、自動運転領域メディア「自動運転ラボ」を立ち上げ、業界最大級のメディアに成長させる。講演実績も多く、早くもあらゆる自動運転系の技術や企業の最新情報が最も集まる存在に。(登壇情報
【著書】
自動運転&MaaSビジネス参入ガイド
“未来予測”による研究開発テーマ創出の仕方(共著)




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