コネクテッドカーの登場により自動車業界で飛躍的に注目度が高まっている「OTA(Over the Air)」。聞きなれない言葉かもしれないが、スマートフォンなどで当たり前に使用されている技術で、自動車への普及も今後加速度的に進んでいくことが予想される技術だ。テスラやトヨタの車両に導入されている。
今回はこのOTAについて最新情報をもとに、その正体とともに自動車業界でどのように利用されるのかを解説していこう。
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記事の目次
■OTA(Over The Air)とは?
OTAは、無線通信を経由してデータを送受信することを指し、ソフトウェアの更新などを行う際にこのOTA技術が広く利用されている。スマートフォンのOSやアプリの更新をイメージするとわかりやすいだろう。「SOTA(Software Updates Over The Air)」や「FOTA(Firmware update Over The Air)」といった略称が使用されることもある。
近年の自動車はコンピューター制御によるシステムが多様化しており、その各部にさまざまなソフトウェアが組み込まれている。さらに、ADAS(先進運転支援システム)やコネクテッド機能に代表されるように最新のソフトウェアを要するシステムが複雑化しており、このソフトウェアに起因するリコールなども発生している。
【参考】関連記事としては「ADASとは?(2023年最新版)」も参照。
従来、車載ソフトウェアの更新や修正なども一般の故障と同様にディーラー対応などによって行ってきたが、DCM(車載通信機)などの活用によりOTA対応が可能となれば、手間や時間、労力などをカットすることができ、迅速な対応が可能となる。
■自動運転車やコネクテッドカーとOTA
車載プログラムのアップデートで活躍
ICT端末としての機能を有するコネクテッドカーは、マップの更新やエンターテインメント機能はもとより、車両の状態や周囲の道路状況などさまざまなデータをセンサーから取得し、ネットワークを介して送受信することで安全性や利便性を高める。
また、ADASをはじめとした自動運転技術は、LiDAR(ライダー)やカメラなど物理的なセンサー類をもとに、そこから得られた情報を解析し、判断するソフトウェアがあって初めて機能するものであり、搭載されるソフトウェアは年々高度化・複雑化しながら進化を遂げている。高度な自動運転においては、最新のダイナミックマップと常に協調しながら自動運転機能が働く仕組みとなる。
一昔前の自動車は機械的な部品のかたまりだったが、現代の自動車の中身はその多くがコンピューター制御されており、今後、自動運転やEV(電気自動車)化の進行とともにそのウェイトはいっそう高まっていく。
ソフトウェアの高度化や複雑化は、その性質上大なり小なり不具合を生み出しやすく、また最新のプログラムへのアップデートを要する場面も多くなり、品質の維持や向上が課題となっている。そこで活躍するのがOTAだ。
▼自動運転が活用されうるコネクテッド技術・商用モビリティサービスに関する国内外動向調査|経済産業省
https://www.meti.go.jp/meti_lib/report/2019FY/000328.pdf
不具合があってもディーラーに行かずに
不具合などが見つかるたびにディーラーに持ち込むのではなく、無線通信によってプログラムの修正やアップデートが図られることで、ドライバー側の利便性が増すとともに、メーカー側の負担も大きく減らすことが可能となる。また、外国に向けた輸入車なども、その国々の規格に対応したソフトウェアに更新しやすくなるメリットがある。
こういった通信環境を可能にするのがコネクテッド技術だ。通信機器が標準搭載されているコネクテッド技術の登場により、カーナビなどの更新のみならずさまざまな制御装置のソフトウェア更新も可能とする土台が出来上がることになる。
■テスラは既にOTA導入、トヨタや日産も
米EV大手のテスラはすでにOTAを導入しており、同社の安全運転支援機能「オートパイロット」の更新は、無線によるソフトウェアのアップデートによって行われている。
【参考】テスラのオートパイロットについては「テスラのオートパイロットに新機能 運転支援「Navigate on Autopilot」公開へ」も参照。
テスラの運転支援機能、Navigate on Autopilot搭載で一層進化 米電気自動車大手 https://t.co/8aYahWrAS8 @jidountenlab #テスラ #イーロンマスク #ツイート
— 自動運転ラボ (@jidountenlab) November 1, 2018
日本の自動車メーカーもOTAをすでに新型車に導入し始めている。例えばトヨタは2021年1月にフルモデルチェンジした新型ノア/ヴォクシーにもOTA機能が搭載されているし、自動運転レベル3を搭載したホンダの新型LEGENDにもOTAソリューションが搭載されている。
■OTA需要を見越したサービスも続々登場
こういったOTA需要を見越したサービスを展開する企業もすでに現れている。コネクテッドカー向け技術開発を手掛ける米Airbiquity社は、ソフトウェアのアップデートやデータ管理作業の組織化を自動化するサービス「OTAmatic」を行っている。
カナダのBlackBerry(ブラックベリー)社の車載ソフトウェア「BlackBerry QNX」のプラットフォームも、ADASやデジタルコックピット、インフォテイメント、テレマティックスのほか、セキュアなIoTインフラや車載ソフトを遠隔更新するOTAを含む管理サービスを備えているという。
また、日立製作所、日立オートモティブシステムズ、クラリオンの3社も、OTAソフトウェア更新技術の開発を発表している。スマートフォンなどと異なり、自動車の場合はより確実にソフトウェア更新を完了する必要があり、更新時におけるバッテリー上がりなども考慮しなければならない。セキュリティの強化も絶対条件となる。そういった点を踏まえた更新技術を開発し、自動車メーカーなどへの採用を働きかけているようだ。
【参考】Airbiquityについては「コネクテッドカー搭載ソフト等の更新・管理を自動化 米Airbiquity社」も参照。ルネサスとブラックベリーの取り組みについては「ブラックベリー社と半導体大手ルネサス、R-Car向けのソフトウェア開発環境の提供を開始」も参照。
増すブラックベリーの存在感!半導体大手ルネサスとR-Car向けの車載ソフトウェア開発環境の提供開始 自動運転などの次世代自動車の進化サポート https://t.co/M4i7Wvcuez @jidountenlab #ブラックベリー #ルネサス #RCar
— 自動運転ラボ (@jidountenlab) October 29, 2018
■車載ソフトウェア更新に特化したOTA技術に注目
OTA技術がコネクテッドカーや自動運転車に必須であることがわかった。また、単に無線で通信できればよいといったわけではなく、確実性やセキュリティ面などを考慮したソフトウェア更新技術が必要とされていることもつかめた。
第5世代となる移動通信システム「5G」も実用化されつつある中、通信の高速化・大容量化とともにますますOTA需要が高まることが予想される。
■関連FAQ
無線通信を経由してデータを送受信することを指す。一般的には「OTA 」と略される。
無線で自動車に搭載しているソフトウェアをアップデートする際に活用される。
自動車をディーラーや修理工場になどに持っていかなくても、ソフトウェアを最新のものにアップデートすることができる。ハッキングなどを防止する観点からも、ソフトウェアを常に最新のものにしておくことは非常に重要だ。
自動運転レベル3の機能を搭載していることで知られる新型LEGENDには、OTAによるソフトウェア更新ソリューションが採用されている。日立Astemoの製品で、ネットワーク経由でのソフトウェアのリアルタイム更新を実現している。
自動車に搭載されているソフトウェアであれば全てが対象になり得る。例えば自動運転車の場合、自動運転ソフトウェアやセキュリティソフト、インフォテインメント用の基本OS、通信用ソフトウェアなどだ。
(初稿公開日:2018年11月4日/最終更新日:2024年3月15日)
【参考】コネクテッドカーについては「コネクテッドカー・つながるクルマとは? 意味や仕組みや定義は?」も参照。