グーグル系ウェイモに転職!自動運転エンジニアの求人・採用・年収情報などまとめ

エントリーレベルで年収1160万円から



出典:ウェイモ社メディア向け資料

米カリフォルニア州マウンテンビューに本社を構えるGoogle(グーグル)系の自動運転開発企業Waymo(ウェイモ)。2016年12月の創業と日は浅いが、グーグル時代からの優秀なエンジニアや、他社から転職し中途採用されたエンジニアらが数多く集結する自動運転業界をけん引する企業の一つだ。

「そんな企業に転職したらどうなるの?」「そもそも転職できるの?」といった疑問が浮かんできそうなので、世界トップクラスの自動運転関連企業のエンジニアの職種の中身や待遇について調べてみよう。


■ウェイモの基本情報
本社所在地:カリフォルニア州マウンテンビュー

ウェイモの本社はアメリカのカリフォルニア州マウンテンビュー市にある。マウンテンビューはシリコンバレーに位置し、総人口は約7万人。

会社設立:2016年12月(開発は2009年から)

ウェイモはGoogleの自動運転車の開発部門が分社化して誕生した。会社設立日は2016年12月13日とされているが、グーグルの自動運転プロジェクトが立ち上がった2009年から研究開発が進んでいる。

最高経営責任者:ジョン・クラフチック氏

ウェイモの最高経営責任者(CEO)はジョン・クラフチック氏。アメリカ合衆国コネチカット州ハートフォード郡南西隅に位置するサジントンで1961年に生まれたアメリカ人だ。韓国ヒュンダイモーター(現代自動車)のアメリカ法人のトップを務めたあと、アメリカの自動車ネット販売大手「TrueCar」の社長に就任し、その後、グーグルに引き抜かれた。

ウェイモ社のジョン・クラフチックCEO=出典:ウェイモ社メディア向け資料
■ウェイモの自動運転関連求人・転職情報
年収:エントリーレベルは1160万円、シニアレベルは1770万円

ウェイモの公式サイトや求人情報専門の検索エンジン「Indeed」の海外版などでも調べることができる。例えばIndeedで「Waymo Autonomous」と検索すると、法務担当者などエンジニア以外のものも含め12件がヒットする。(※2018年8月現在)


エントリーレベルの経験者の年収目安は10万5000ドル(約1160万円)から14万ドル(約1550万円)、ミドルレベルは11万5000ドル(約1270万円)、シニアレベルの経験者になると14万5000ドル(約1600万円)から16万5000ドル(約1770万円)となっている。あくまで目安であり、活躍次第で飛躍的に伸びる可能性がある。

勤務地:シリコンバレーのマウンテンビューやワシントンなど

勤務地は本社があるマウンテンビューやサンフランシスコ、ワシントンD.C.、ミシガン州アナーバーなど。ウェイモはマウンテンビューで自動運転の実証実験などを進めている。

職種:ビジネス支援からエンジニアまで幅広く

ウェイモの公式サイトの求人募集・採用ページをのぞいてみると、ビジネス支援、財務・会計、ハードウェア工学、法律系、マーケティングオペレーション、製品管理・設計、ソフトウェア工学、システムエンジニアなど幅広い職種で募集を行っていることがわかる。転職による中途採用が前提で、経験に裏付けられた実力次第で採用を勝ち取れる能力主義だ。

ウェイモの求人に挑戦するには、Indeedなどの採用・転職サイトやWaymoの公式サイトから応募を行う形で進めることになるが、検索してヒットする求人の勤務地はほぼ全てがアメリカ国内で、採用試験を勝ち抜くには一定の英語力も必要とされることは覚えておこう。


次の項からWaymoの公式サイトに掲載されている職種や業務内容、募集要件などをいくつか紹介する。

■職種詳細①:ハードウェア系

ハードウェア工学にはICTエンジニアなど13種が掲載されている。以下5種を抜粋し、職務内容や必要とされる経験を紹介する。

Digital Verification Engineer(デジタル検証エンジニア)

コンピューティングインフラストラクチャの中心であるシステムの設計と構築を行う。自動運転車用集積回路のデジタルロジック(RTL)の検証など。UVMを使用してASIC、SystemVerilog、デジタルアーキテクチャ、ロジックを検証した経験、C/C++の経験などが問われる。

LiDAR Engineer(LiDARエンジニア)

複雑な電気回路のテストや起動、トラブルシューティング、将来のテクノロジーとアーキテクチャ調査など。電気工学の学位または修士号、関連技術分野、または同等の実務経験が問われる。

EMC Engineer(EMCエンジニア)

回路図、PCBレイアウト設計及びシミュレーションを含むEMC設計原則を備えた指導チームの役割を担う。家電、医療機器、自動車または航空宇宙産業で最低5年間の関連経験を持つ電気工学の修士号を要する。

ICT Engineer(ICTエンジニア)

DFTを実行し、電気設計者やレイアウト担当と緊密に連携してテストカバレッジを最大限に向上させる。ICTテストプログラムの設計と実装経験10年以上を要する。

Mechanical Simulation Engineer(機械シミュレーションエンジニア)

機械部品やアセンブリの構造解析、パラメトリック最適化による新しい設計を提案など。機械工学の理学士10年の実務経験などが問われる。

■職種詳細②:ソフトウェア系

ソフトウェア工学は19職種が掲載されている。以下5種を抜粋。

Data Engineer(データエンジニア)

グーグルの大規模な本番データインフラストラクチャを使用して、革新的なデータソリューションを作成し困難な問題を解決する。コンピュータサイエンスの学士号、または関連分野における経験、Java、C++の経験などが問われる。

LiDAR Hardware(LiDARハードウェア)

LiDAR(ライダー)のハードウェア・ソフトウェアの開発や実証など。コンピュータサイエンス、電気工学、関連技術分野、または同等の実務経験の学位または修士号が問われる。

Performance Optimization(パフォーマンスの最適化)

自動運転車の計算効率の良い意思決定システムを開発し、他の道路利用者にとって安全で予測可能な行動を取るよう制御する。コンピュータサイエンス、ECE、類似の技術分野、または同等の実務経験を持つ修士号・博士号などが問われる。

Positioning Localization(位置特定)

自走車に配置するための姿勢推定と慣性航法アルゴリズムに取り組む。センサー融合アルゴリズムに統合するためのセンサーの調査など。姿勢推定、慣性航行、慣性センサ、車両モデリング、ダイナミクス、制御などの分野における同等の経験を有する修士号または博士号の学位が問われる。

Researcher/Robotics(研究者/ロボット工学)

自動運転車両分野の世界的な専門家と協力し、コンピュータービジョン、センサー融合、機械学習、オブジェクトトラッキング、モーションプランニングなどの分野で最先端技術を進歩させる。ロボティクス、コンピュータサイエンス、またはこれと同等の実務経験を有する修士号または博士号が問われる。

■職種詳細③:システムエンジニアリング

システムエンジニアリングには6職種が掲載されている。以下2種を抜粋。

Sensor Systems Engineer(センサシステムエンジニア)

自動運転車のセンシング技術(LiDAR、カメラ、レーダーなど)の物理的研究、テストの設計、デバッグ、実行など。物理学、工学、またはその他の技術分野での修士号・博士号または相当の経験が問われる。

Motion Control(モーションコントロール)

目的を達成するためのステアリング、ブレーキ、および推進システムの要件を定義する。機械工学または電気工学の学士号が問われる。

■自動運転エンジニア獲得戦争の中心にいるウェイモ

世界トップクラスのエンジニアの獲得競争が行われる本丸の一つがウェイモだ。2018年5月に米テスラで安全性能のエンジニアリング部門を担当していた有力幹部マシュー・シュワル氏がウェイモに移籍。また、2018年6月にはウェイモの元上級エンジニアの女性であるJaime Waydo氏が米アップルに移籍したことが報じられている。

グーグルから米ライドシェア大手のウーバーに移籍したレバンドウスキー氏に至っては、自動運転関連の企業秘密を不正に持ち出したとして訴訟沙汰にまで発展している。一方、Dave Ferguson氏とJiajun Zhu氏のようにウェイモを退職してスタートアップ「Nuro」を立ち上げ、100億円の資金調達を達成した独立系エンジニアも多い。

上級クラスのエンジニアが移籍しただけでニュースになる世界が今の自動運転業界には広がっている。それだけエンジニアに価値が見出されている証拠であり、転職による中途採用であっても実力次第で自分自身に付加価値を付け、さらなるステップアップや独立することも決して夢ではない。

自動運転の未来とともに自分自身の未来も創造できる可能性に富んだ世界だ。


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