米大手電気自動車(EV)メーカーであるTesla(テスラ)社が、大規模な組織再編を行う可能性が出てきた。米CNBCなどが2018年5月14日に報じたところによると、同社の最高経営責任者(CEO)であるイーロン・マスク氏がメールで従業員に明らかにしたようだ。
テスラ社においては、同社が量産タイプとして販売するEVセダン「テスラ・モデル3」の生産が遅れていることが明らかになっている。同社は生産拡大に向け、生産部門の重要ポストの採用を急ぎたい考えだ。
【参考】テスラ社は2008年にEVスポーツカー仕様のEV「ロードスター」、2009年3月にセダンタイプのEV「テスラ・モデルS」、2012年にSUVタイプのEV「テスラ・モデルX」、2016年4月に低価格セダンタイプの「テスト・モデル3」をそれぞれ発売開始している。各製品の詳しい情報は「公式サイト(日本版)」を参照。
テスラ社においては2018年5月に入り、安全性能のエンジニアリング部門を担当していた有力幹部マシュー・シュワル氏が、米グーグル系の自動運転車開発企業Waymo(ウェイモ)社に移籍したことも判明したばかりだ。
開発競争激化で人材流出も加速
自動運転の開発競争の激化にともない、エンジニアの移籍・流出にも注目が集まっている。
エンジニアの移籍をめぐっては、2017年8月に米Apple(アップル)社の自動車エンジニアら17人が自動運転車を開発する新興企業Zoox(ズークス)社に一斉移籍したことが大々的に報じられた。2018年4月にはテスラ社副社長が米半導体メーカーIntel(インテル)社に移籍している。
移籍をめぐっては、法廷闘争に発展したケースもある。グーグル社の元エンジニアで、米ライドシェア大手のUber(ウーバー)社へ移籍したアンソニー・レバンドウスキ氏のケースでは、自動運転技術を盗んだとして闘争の舞台は法廷に移された。
ニュースとして取り上げられるケースは、有名な開発者や大規模な移籍など話題性の高いものばかりだが、水面下では引き抜きなども含め、相当なエンジニア獲得合戦が繰り広げられていると推測される。
背景には、エンジニア自身の自己実現意欲はもちろん、自動運転業界には自動車メーカーや半導体メーカー、機器メーカー、テクノロジー会社など幅広い分野が関わり、それぞれの垣根を越えた技術融合が競争を勝ち抜く肝になっている点などがあるとも言える。
急成長を続ける業界の売り手市場はまだまだ続きそうだ。