米半導体メーカーのオン・セミコンダクター(ON Semiconductor)社は2018年5月10日、自動運転車に使われるレーザーセンサー「LiDAR」(ライダー)製品などを手掛けるアイルランドのSensL Technologies社を買収したと発表した。先進運転システム(ADAS)や自動運転向けの自動車センサーアプリケーションの開発・製造を強化していく方針だ。
SensL Technologies社は自動運転向けのLiDARセンシング製品などの開発のほか、医療などの産業市場向けの「シリコン光電子増倍素子」などの開発を手掛ける会社。オン・セミコンダクター社はこの買収で、イメージングやレーダー、LiDARにおける技術水準を一層高め、自動運転やADAS向けの自動車センサーアプリケーションの市場リーダーとしての立場を強化する。
【参考】LiDARは自動運転車の「目」として注目を浴びている。日本を含む世界各社が開発競争を繰り広げており、将来的に各完成社メーカーが販売する量産車への採用も視野に、価格競争も激化しつつある。詳しくは「自動運転の『目』は800万円!?次世代センサーLiDARの最前線を追う|自動運転ラボ 」を参照。
またオン・セミコンダクター社は、すでに買収したイスラエルやイギリスのレーダー技術やデザイン・センターを組み合わせることにより、次世代の自動運転車向けに包括的なセンサーソリューションを提供したい考えだ。
オン・セミコンダクター社は2017年3月、イスラエルにあるIBMハイファ研究所のチームが開発した車載レーダーアプリケーション用のミリ波技術を取得した。また2018年1月には独アウディ社と、最新の半導体技術を自動運転へ早期に転用することなどを目指した「プログレッシブ・セミコンダクター・プログラム(PSCP)」に基づく戦略的提携を発表するなど、事業展開を加速している。
日本においても、2010年7月に三洋電機から半導体事業の買収を発表し、2017年10月には富士通セミコンダクター株式会社が福島県に所有する製造会社を買収するなど存在感を強めており、日本市場での販売拡大にも注力している。