自動運転を実現するためのプロセスとキーテクノロジーは?(特集:マクニカのスマートモビリティへの挑戦 第2回)

ワンストップサービスが求められる時代へ



国内各地で自動運転の社会実装に向けた取り組みが増加している。まもなく実用化段階に移行し、導入を検討する動きは加速することが想定されている。

未知の領域であった自動運転が現実のものになろうとしているが、実現に向けたプロセスなどはまだまだ不明な部分が多く、足踏みを余儀なくされているケースもありそうだ。

そこで今回は、自動運転を実現するためのプロセスやキーテクノロジーを解説していく。

■自動運転を導入するためのプロセス
実現可能性も綿密に調査

自動運転の導入においては、「初期段階におけるFeasibility Study(実現可能性調査)⇒マップ作製⇒センサー構成やアルゴリズムの選定⇒実証実験⇒サービスイン⇒オペレーション」といったプロセスをたどるのが一般的だ。

まず、事業として継続していくことが可能かどうか、初期段階におけるFeasibility Studyを行う。地域の課題や企業の成長に対し自動運転の導入がどのような効果を発揮するか、イニシャル・ランニングコストをはじめ、国の助成や公的投資を含めた事業採算性をどのように想定・試算しているか、導入予定エリアにおける走行上の課題としてどのようなものがあるか、その課題に対しどのような自動運転技術を必要としているか――といったことを総合的に勘案し、事業の実現可能性を明確にしていくことが第一歩となる。そしてこうした点のほか、事業協力者や賛同者、需要や社会受容性を明確化するために、実証実験の実施へと進んでいくわけだ。

ルートのマッピングや自動運転車両の選定

導入に向けた実施段階では、バスやタクシー、オンデマンド方式など自動運転車を走行させる形態に合わせ、走行エリア・ルートをマッピングしていく作業が必要になる。

マッピングはMMS(モービルマッピングシステム)を使用するのが一般的で、マップ作製とともに要注意個所などをピックアップし、シミュレーションを重ねていく。

同時に必要となるのが自動運転車の仕様だ。走行する道路が公道なのか閉鎖空間なのか、歩車分離された自動車専用道路か、低速走行限定か、混在道路であれば実勢速度や交通量はどれくらいのものかといった諸要件をもとに、搭載すべきセンサーやアルゴリズムを選定する。

例えば、歩行者のいない閉鎖空間を低速で走行する場合は、比較的低スペックの自動運転車で済む可能性がある。一方、歩行者や行き交う公道で一般車両と同様に走行する場合、高スペックの自動運転車が必須となる。

現在、開発各社らが実証・実用実証向けのさまざまなタイプの自動運転車両を用意しており、カスタムにも応じている。こうした車両・システムを活用し、導入エリアに適した形で改良していく手法がスタンダードとなっているようだ。

実証を重ね実用化へ

自動運転車両が決定すれば、次は本格的な実証段階に移行する。まずはセーフティドライバーやエンジニアのみで走行を繰り返し、システムの作動状況をはじめ、リスクとなり得る場所やシチュエーションなどを細かく抽出していく。リスクマネジメントとして、想定し得る全てのリスクを克服可能な状態に持っていくのだ。

その後、関係者など乗客を限定する形や期間を区切ってサービス実証を行い、サービス提供における経験値を積み重ねてサービスインへとつなげていく。正式なサービス開始後も、当面は実用実証の形でオペレーションとともに検証を重ね続ける必要もありそうだ。

ODDの設定や保険についても

また導入に向けては、「運行設計領域」を意味するODDの設定も求められる。ODDは、エリアやルート、速度、天候条件、インフラ協調システムの有無など、さまざまな要件をもとに自動運転車が走行可能な条件を設定したもので、自動運転システムのレベル・性能を直に表す指標とも言える。

また、自動運転を実用化していく上で「保険」は必須の要素であり、作業状態記録装置(EDR)の搭載はもとより、自動運転車向けのテレマティクス保険などを損害保険会社と開発したり、既存の保険を活用したりすることも求められる。

■自動運転に必須のキーテクノロジー

自動運転導入におけるキーテクノロジーとして、データ収集技術やセンサー技術、位置を特定するLocalization・SLAM技術、by-wire system技術、ODD、保険などが挙げられる。

データ収集技術

通信技術を含むデータ収集技術は、将来的に完全無人で運行する自動運転車にとって核となる技術だ。無人運行が可能となっても、自動運転車は放ったらかしで走行させることができない。万が一に備え、遠隔監視・制御を行う技術が必要となる。

その際、車両に搭載されたセンサーが取得したデータや自動運転システムの挙動データ、車両データなど、膨大な情報を収集し、解析する必要が生じる。センサーデータなどは自動運転技術のさらなる向上やマッピングなどにも使用されるため、データ収集は非常に重要な要素となるのだ。

センサー技術

一方、自動運転車の「目」となるセンサーには、LiDAR(ライダー)やカメラを中心にミリ波レーダーや超音波センサーなどが用いられ、それぞれの長所を生かす形で複数設置されるのが一般的だ。

各センサーの高機能化はもちろん、種類の異なる複数のセンサーデータを統合するフュージョン技術なども重要となる。

自車位置特定技術・SLAM技術

自車位置特定では、GPSやQZSS(準天頂衛星システム)といった衛星測位システムを軸に、IMU(慣性計測装置)などのセンサーによる補正や、高精度マップとの照合などによって正確な位置を導き出すのが一般的だ。自動運転システムによっては、道路に敷設した電磁マーカーを読み取るタイプなどもある。

また、SLAM技術にも要注目だ。位置の特定と地図作成を同時に行う技術で、走行距離やカメラなどのセンサー画像から移動量を推定して自車位置を特定するとともに、センサーが収集したデータをもとに地図を作っていくことが可能だ。

by-wire(バイワイヤ)技術

by-wire(バイワイヤ)は、アクセル・ブレーキペダルやステアリングといった自動車を制御する各装置を電気制御化する技術だ。従来の機械式制御は、ブレーキペダルとブレーキシステムがケーブルで直接つながり、ドライバーによる各操作がケーブルを介して自動車の各部位に伝わっていたが、by-wireはケーブルを電線に置き換え、電気信号によってドライバーの操作を自動車に伝える。

電気制御を導入することで、ペダルなどの物理的な機械とは別にコンピュータが独自判断で自動車を制御できるようになる。ペダルなどを備えていない自動運転限定車両はそもそも電気制御されているが、手動運転・自動運転の両方を可能とする車両では、こうしたシステムの導入が必然となりそうだ。

■マクニカの取り組み:最適な解決策を提案

自動運転を中心としたスマートモビリティに注力するマクニカは、既存事業で培ってきた多方面のノウハウを生かし、自動運転実証車両の開発支援をはじめ、技術的な特徴を有したハードウェアやソフトウェアの提案、幅広いニーズに答えるデータ収集からAI構築・組込み、データクラウドプラットフォーム、セキュリティなど、車両開発メーカーが抱える技術課題や、自動運転サービス導入を検討している事業者・自治体の経営課題に対し、最適な解決策を提案している。

出典:マクニカ

自動運転車両の構築からAI開発者向けのアノテーションサービス、SLAM活用サービス、規格認証管理サービスなど、導入プロセスの上流から下流までをトータルでサポートする体制で、自動運転技術・サービスの導入を強力にバックアップする。

自治体として国内で初めて公道を走る定路線に自動運転バスを導入した茨城県境町の取り組みでも、ソフトバンク子会社のBOLDLYとマクニカが協力している。

自動運転バス開発を手掛ける仏Navya社と販売代理店契約を結ぶマクニカが車両を調達したほか、運行に向けたソフトウェアのサポートや各種センサーのメンテナンスなど、自動運転バスの運行を全面的に支援している。

■【まとめ】自動運転商社が台頭する時代へ

今後、自動運転サービスの導入を検討する動きは加速していくことが想定されるが、多分野の最新技術を結集させなければならない未知の領域であり、現状、単独一社・一自治体が容易に導入できるものではない。

こうした状況下、高い技術力と知見、商品開拓力を武器にワンストップで導入をサポートするモビリティソリューションは大きな力となる。マクニカの代名詞に「自動運転商社」が加わる日はまもなく訪れそうだ。

>>特集目次

>>第1回:自動運転の「頼りになる相談役」!開発から実装まで

>>第2回:自動運転を実現するためのプロセスとキーテクノロジーは?

>>第3回:実証実験用の自動運転車の構築からビジネス設計支援まで!

>>第4回:自動運転、センサー選定のポイントは?

>>第5回:自動運転、認識技術とSLAMを用いた自己位置推定方法とは?

>>第6回:自動運転の安全確保のための技術とは?

関連記事