トヨタ、「営業力」に課題か。Googleが「自動運転ベース車両」に採用せず

e-Paletteをあまり目にしない謎



出典:Flickr / DennisM2 (CC0 1.0 : Public Domain)

世界で実用化が進む自動運転タクシー。専用車を開発する場合もあれば、市販の車両に自動運転機能を搭載するという場合もある。

市販車の車両をベース車両に使うケースでは、日本を代表する自動車メーカーであるトヨタの車両は採用されつつあるのか。結論から言うと、採用は低調のようだ。トヨタの「うちの車を使ってください」という営業力が足りない可能性もある。もしくは、この分野でトヨタが積極的に車両を他社に提供しない方針の可能性もある。


例えば、自動運転移動サービスで世界トップをいくGoogleは、最新型の自動運転タクシーに中国製Zeekrの車両を採用した。世界の販売台数で2023年まで4年連続首位を誇るトヨタ。このような状況となってしまって、大丈夫なのか。

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■Googleに採用されている車両は?

出典:Waymo公式ブログ

米Google系の自動運転開発企業であるWaymoは、2018年に世界で初めて自動運転タクシーサービスを商用化した。

Googleの自動運転開発部門を2016年に分社化して誕生したWaymoは、自動運転システム開発を行っている。まずはフィアット・クライスラー(FCA)とパートナーシップを結び、「Pacifica」ミニバンを最初の量産型自動運転タクシーに採用した。その後2018年にジャガー・ランドローバーとも提携し、2番目の車両としてBEV「Jaguar I-PACE」を採用している。

そして2024年8月に最新の第6世代となる自動運転システム「Waymo Driver」の概要を発表した。サービス車両への正式導入時期は公表されていないが、中国の自動車メーカー・吉利汽車(Geely)のプレミアムEV(電気自動車)ブランド「Zeekr」の新車両が採用されるという。自動運転タクシー最大手のWaymoは、日本の自動車メーカーではなく中国メーカーを採用したことになる。


■海外で採用実績がないわけではないが

出典:May Mobility公式サイト

もちろん、トヨタ車が自動運転タクシーとして採用されたケースがないわけではない。

自動運転ベンチャーの米May Mobilityは、米アリゾナ州フェニックス近郊で2023年12月に開始したドライバーレスの自動運転サービスのアーリーライダープログラムにおいて、トヨタのAutono-MaaS車両「シエナ」が使用された。

また、自動運転開発を手掛ける米Aurora Innovationは、2021年2月にトヨタとデンソーと戦略的パートナーシップを締結。翌2022年3月には、トヨタの自動運転MaaS専用車両「シエナAutono-MaaS」にAurora Driverを統合した試験車両を公開した。その時点では、2024年後半を目標に掲げる自動運転配車サービス「Aurora Connect」実用化に向け、開発を進めるとしていた。

ただし、Google系Waymoなど大規模に自動運転タクシーサービスを展開している企業からの採用はない。展開台数を考えると、Google系Waymoに採用されなければ、自動運転車のベース車両としてのシェアは「ほぼない」と言っても過言ではない。


ちなみに、アメリカでWaymoに次ぐ自動運転タクシー事業を展開している(※現在はほぼ停止中)GMは自社ブランドのシボレー「ボルト」を使っている。

■国内ではティアフォーなどが採用

一方、日本でも採用実績がある。

日本の自動運転開発ベンチャーであるティアフォーは、特定条件下で完全自動運転を実現する「レベル4」水準の自動運転タクシーによるサービス実証を開始することを2024年5月に発表した。公開されているYouTube動画では、トヨタ製車両が公道を走行する様子が紹介されている。

東京・お台場の複数拠点間でサービス実証を行い、同年11月から交通事業者と共同で事業化を目指すという。2025年に東京の3カ所、2027年までには都内全域でサービスを展開する計画だという。

■e-Paletteもほとんど目にしない状況

出典:トヨタプレスリリース

トヨタが開発している自動運転シャトルe-Palette」が、日本国内の実証実験であまり使われていないのも気になる。

日本国内の自動運転バスの実証・実用化では、仏Navya(現GAUSSIN MACNICA MOBILITY)の「ARMA」や仏EasyMileの「EZ10」、エストニア企業Auve Techの「MiCa」などがスター選手化している。

e-Paletteは、電動化、コネクテッド化、そして自動運転技術の活用により人々の暮らしを支える新たなモビリティで、将来的に複数のサービス事業者による1台の車両の相互利用や、複数のサイズバリエーションをもつ車両による効率的で一貫した輸送システムといったサービスの最適化を目指している。

e-Paletteはまだ実証実験や商用サービスで使えない技術水準なのか。はたまた、実証実験で使ってもらおうと営業をかけても、コスト面などで海外勢に負けてしまっているのか。気になるところだ。

記事監修:下山 哲平
(株式会社ストロボ代表取締役社長/自動運転ラボ発行人)

大手デジタルマーケティングエージェンシーのアイレップにて取締役CSO(Chief Solutions Officer)として、SEO・コンテンツマーケティング等の事業開発に従事。JV設立やM&Aによる新規事業開発をリードし、在任時、年商100億から700億規模への急拡大を果たす。2016年、大手企業におけるデジタルトランスフォーメーション支援すべく、株式会社ストロボを設立し、設立5年でグループ6社へと拡大。2018年5月、自動車産業×デジタルトランスフォーメーションの一手として、自動運転領域メディア「自動運転ラボ」を立ち上げ、業界最大級のメディアに成長させる。講演実績も多く、早くもあらゆる自動運転系の技術や企業の最新情報が最も集まる存在に。(登壇情報
【著書】
自動運転&MaaSビジネス参入ガイド
“未来予測”による研究開発テーマ創出の仕方(共著)




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