Googleの自動運転車、人身事故率が「人間より73%減少」

「Waymo Driver」と手動運転を比較



Google系の自動運転開発企業である米Waymoは、世界で初めて自動運転タクシーサービスを商用化した企業だ。同社は、自動運転システム「Waymo Driver」による自動運転走行と、人間による運転の事故率を比較したデータをこのほど公開した。


それによると、Waymo Driverは人間のドライバーよりエアバッグが出た重大衝突事故が84%少なくなるという。また人身事故を引き起こす衝突事故も73%少なかったという。自動運転システムのほうが、手動運転より安全性が高いと証明されたことになる。

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■Waymoの自動運転システムと衝突率を比較

Waymoは同社の安全性への理解度を深めるために、Waymo Driverの事故率を人間と比較し、公開している。この分析は2023年に導入されたもので、衝突率分析の最先端技術を進歩させ、自動運転と人間の運転性能を正確に比較することが可能になっている。

最新のデータは、2024年6月末までの2,200万マイル(約3,540万キロ)以上のWaymoによる自動運転タクシーの走行距離において、Waymo Driverと人間による運転を比較したものになる。

Waymo Driverは人間の運転より、エアバッグを展開した衝突事故が84%少なかった。エアバッグ展開の指標がWaymoの衝突分析に導入されたのは今回が初めてだという。


出典:Waymoプレスリリース

また人身事故を引き起こした衝突事故は73%少なく、警察から報告された衝突事故は48%少なかった。なおこの分析は、Waymo車両の責任の有無などに関係なく、Waymoが関係する全ての事故が含まれたものになる。

Waymoが自動運転タクシーサービスを展開しているサンフランシスコとフェニックスにおいては、乗客を乗せてドライバーレス走行した数百万マイルものデータを記録してきた。そのため人間による運転との比較が可能になっており、Waymo Driverがどのように安全性を向上させているのかが示されているようだ。

■Googleから分社化して誕生したWaymo

Waymoは、2009年に始動したGoogleの自動運転開発部門を2016年に分社化して誕生した企業だ。2018年に世界初となる自動運転車を活用した有料の商用タクシーサービス「Waymo One」を、アリゾナ州フェニックスで一部ユーザーを対象に開始した。当初はセーフティドライバー同乗のもと運行していたが、その後ドライバーレス走行を実現した。


現在はフェニックスのほかカリフォルニア州サンフランシスコ、ロサンゼルスの特定エリア内でサービスを提供している。自動運転レベルは「4」となる。

■自動運転システム「Waymo Driver」とは?

Waymoの自動運転システムであるWaymo Driverはバージョンアップを続け、2024年8月に第6世代を発表した。

13台のカメラや4台のLiDAR、6台のレーダー、一連の外部オーディオレシーバー(EAR)を備えた新しいセンサースイートで、安全性を損なうことなく大幅なコスト削減を実現し、パフォーマンスを向上させるよう最適化されている。その認識技術は、車両全周囲、最大500メートル離れた場所に及び、昼夜を問わずさまざまな気象条件下で物体を検知可能だという。

サービス車両への正式導入時期は公表されていないが、中国の自動車メーカー・吉利汽車(Geely)系列のZeekrの新車両が新たに採用され、Waymoの自動運転タクシーフリートに加わる予定となっている。

■安全性をアピールする反面、トラブルも

Waymoは、今回の事故率データにおいてWaymo Driverが人間の運転よりも衝突事故率が低い理由について説明している。

Waymo Driverは一時停止標識や制限速度などの交通ルールを遵守するようプログラムされている。また人間による運転と違い、飲酒運転や居眠り運転、脇見運転を決してしないため、一般的な衝突事故の多くを未然に防ぐことが可能になる。

さらに、高度な検知機能と衝突回避機能により、赤信号を無視しようとする周囲のクルマなどの潜在的な危険に迅速に対応できるよう、常に注意を払っているという。

同社の自動運転タクシーサービス提供エリアでは、急停止による交通遮断やあおり運転、騒音などといったトラブルも起こっており、サービス拡大に反対する声もある。しかしWaymoが世界の自動運転開発で頭ひとつ抜けており、常に技術を進化させていることは事実だ。

今後は予期せぬ状況への迅速な対応などがより求められている段階にある。Waymoに並ぶ自動運転開発企業は出てくるのか。同社の今後の展開とともに注目したい。

記事監修:下山 哲平
(株式会社ストロボ代表取締役社長/自動運転ラボ発行人)

大手デジタルマーケティングエージェンシーのアイレップにて取締役CSO(Chief Solutions Officer)として、SEO・コンテンツマーケティング等の事業開発に従事。JV設立やM&Aによる新規事業開発をリードし、在任時、年商100億から700億規模への急拡大を果たす。2016年、大手企業におけるデジタルトランスフォーメーション支援すべく、株式会社ストロボを設立し、設立5年でグループ6社へと拡大。2018年5月、自動車産業×デジタルトランスフォーメーションの一手として、自動運転領域メディア「自動運転ラボ」を立ち上げ、業界最大級のメディアに成長させる。講演実績も多く、早くもあらゆる自動運転系の技術や企業の最新情報が最も集まる存在に。(登壇情報
【著書】
自動運転&MaaSビジネス参入ガイド
“未来予測”による研究開発テーマ創出の仕方(共著)




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