
トヨタ・日産・ホンダの自動運転車をめぐる方針が、この夏から秋にかけて相次いで明らかになった。この記事では3社の最新動向をまとめていく。
トヨタは2028年の市販車に自動運転レベル2++の導入を発表、日産は英Wayve(ウェイブ)のAIを核とした次世代ProPILOTを2028年3月までに市販化する計画だ。一方でホンダはAI自動運転の投入を1年延期とした。
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■トヨタ・日産・ホンダの自動運転2026年動向
国内の自動車大手が、自動運転車の実用化に向けた方針を相次いで示している。2026年に入り、トヨタ・日産・ホンダの3社がそれぞれ異なる形で自動運転技術の投入時期を明らかにした背景には、世界的に拡大する自動運転タクシー市場、いわゆるロボタクシー市場をめぐる競争の激化がある。
米国では米Google系の自動運転開発企業ウェイモ(Waymo)がロボタクシー事業を拡大しており、東京進出も視野に入れていると伝えられる。日本勢もこの流れに対応する形で、乗用車向けの運転支援強化と、商用車向けの自動運転レベル4開発を同時並行で進める姿勢を強めている。以下、トヨタ・日産・ホンダそれぞれの発表内容を順に見ていく。
3社の足並みがそろわない点が興味深い。トヨタは乗用車、日産は運転支援の高度化、ホンダはEV戦略見直しの影響で延期と、対照的な展開を見せている。この差が今後のロボタクシー市場の競争地図を左右していくだろう。
■トヨタは2028年に自動運転レベル2++、2030年にレベル4導入を正式表明
トヨタ自動車は2026年8月27日、自動運転技術の展開方針を包括的に示す発表を行った。柱となるのは、2028年から市販車に導入する自動運転レベル2++である。これはトヨタが独自に呼ぶ運転支援水準で、米自動車技術会SAEが定める正式な自動運転レベルではなく、高度に発展させたレベル2の拡張版という位置づけだ。運転支援の対象を高速道路だけでなく市街地にも広げ、目的地までドライバーの操作をほぼ必要としない水準を目指すとしている。ただし運転責任は引き続きドライバーが負う。
技術の中核には、カメラなどのセンサー情報から認知や判断や操作までを一つのAIが一貫して処理するエンドツーエンド方式を採用する。人工知能単独の判断による想定外の挙動を防ぐため、事前の交通ルールに基づいて車両の動きを制御する安全機構であるガードレールを併用するハイブリッド方式だ。
商用シャトル領域では2030年までに完全自律の自動運転レベル4の技術開発を進める。加えて、2025年4月に基本合意していた米Google系の自動運転開発企業ウェイモ(Waymo)との戦略的パートナーシップを土台に、ロボタクシー事業参入も検討していることを明らかにした。このほか、日本のティアフォーとの自動運転レベル4の共同開発や、NVIDIAとの提携拡大による車載半導体とOSの採用も進めており、複数の外部パートナーと連携しながら開発競争をリードする構えだ。
【参考】関連記事としては「トヨタ ついに2028年に自動運転車を発売へ」も参照。
【参考】関連記事としては「トヨタの運転支援システム解説!自動運転レベル1〜2の車種は?」も参照。
■日産の次世代ProPILOTは2028年3月市販へ
日産は次世代運転支援技術である次世代ProPILOTを、2028年3月までに国内市場へ投入する計画だ。核となるAIを提供するのは、ソフトバンクグループ会長兼社長の孫正義が投資する英新興AI企業Wayve(ウェイブ)である。
次世代ProPILOTは、Wayve(ウェイブ)が開発した「Wayve AI Driver」と、次世代LiDARを用いた「Ground Truth Perception」技術を組み合わせたシステムだ。従来の自動運転技術が認識と予測と計画という段階的な処理を経るのに対し、センサー情報を入力として生成AIが運転操作を直接出力するエンドツーエンド方式を採る。東京・銀座で実施された試乗デモでは、電気自動車「日産アリア」をベースにした試作車が複雑な交通環境の中をハンズオフで走行する様子が披露された。
自動運転レベルは運転手責任にあたるレベル2にとどまり、一般的な運転支援機能と同程度の位置づけだ。運転主体はあくまでドライバーに残しつつ、高度な自動運転技術の速やかな社会実装を狙う姿勢がうかがえる。
【参考】関連記事としては「トヨタに日産が宣戦布告、SBG孫会長が惚れ込んだ自動運転技術を使って90%自動運転化」も参照。
【参考】関連記事としては「トヨタの運転支援機能と日産ProPILOT、どちらがいい?【自動運転レベル1〜2】」も参照。
■ホンダはAI自動運転を2028年以降に延期
ホンダはAIを活用した自動運転技術の搭載時期を、従来計画の2027年から2028年に延期する方針を明らかにした。搭載を延期するのは、一般道でも高速道路でも手放し運転が可能になる自動運転AI技術「ナビゲート・オン・オートパイロット(NOA)」である。当初は北米向けに投入する次世代電気自動車「0シリーズ」のセダン型に搭載する計画だった。
延期の主な要因は、2026年3月に発表した電気自動車戦略の抜本的な見直しにある。ホンダは最大2兆5,000億円規模の損失計上を見込みつつ、北米向け電気自動車3車種の開発と発売を中止した。この結果、NOAを搭載する受け皿となる車両そのものが白紙になった。ソニーグループと共同出資していたソニー・ホンダモビリティの自動運転電気自動車の展開も中止している。
新たな計画では、需要が堅調なハイブリッド車への搭載を優先する。国内では主力スポーツ用多目的車の「ヴェゼル」のハイブリッドモデルへの採用を予定しているという。電気自動車を軸に自動運転技術を展開してきたテスラや中国勢に対し、戦略転換を余儀なくされた形で、自動運転技術の実用化競争では後れを取る格好となった。
【参考】関連記事としては「ホンダの自動運転・運転支援技術(ADAS)は?機能・性能を解説」も参照。
【参考】関連記事としては「ホンダがEV戦略を大転換、ASIMO OS搭載の自動運転計画はどうなるのか」も参照。
■豊田市の新実証が映す、3社「自動運転車」動向の行方
トヨタ・日産・ホンダがそれぞれの自動運転戦略を示す中、トヨタの本拠地である愛知県豊田市では2026年9月14日、新たな自動運転の実証実験が始まった。実証期間は2027年2月26日までで、市街地、山村、郊外という交通環境の異なる3ルートで走行検証を行う。将来の自動運転レベル4運行を見据えた運用モデルの有効性を確かめる狙いだ。
実証で使われるのは、米自動運転開発企業May Mobility(メイモビリティ)の自動運転システムを搭載した車両である。市街地と山村では、トヨタが北米市場向けに投入するミニバン「シエナ」を改造した車両を走らせる。郊外では、移動サービスに特化した次世代モビリティ「e-Palette(イーパレット)」をベースにした車両を用いる。
実証は豊田市が実施主体を担い、トヨタとソフトバンクグループの合弁会社であるMONET Technologies(モネ・テクノロジーズ)が予約アプリの提供や運行管理を担当する。加えて、NTTグループの自動運転事業を担うNTTモビリティがe-Paletteの提供や運行アシストを担い、名鉄バスや豊栄交通が現地の運行支援に携わる。「市街地」ルートについては、9月7日からMONETアプリでの乗車予約が始まっている。
こうした地域単位での積み重ねは、トヨタが掲げる2030年の自動運転レベル4実現に向けた実地データの蓄積という意味を持つ。トヨタは乗用車向けにレベル2++、商用シャトル向けにレベル4という二正面の戦略を描いており、豊田市の実証はその後者を支える取り組みの一つといえる。日産が運転支援の高度化で先手を打ち、ホンダが戦略転換に伴い足踏みを続ける中、トヨタは市街地実証という足元の積み重ねによって独自の存在感を示しつつある。トヨタ・日産・ホンダ3社の自動運転車をめぐる2026年の動向は、各社が異なる路線で自動運転タクシー市場、ロボタクシー市場の主導権を狙う構図を映し出している。













