
トヨタが2028年から、自動運転レベル2++を搭載した市販車を発売する。市街地を含む手放し運転ができる仕様とし、2026年8月27日、自動運転戦略の全体像として正式に発表した。
商用シャトル領域では、2030年までに完全自律の自動運転レベル4の技術開発を進める。加えて、米Google系の自動運転開発企業ウェイモ(Waymo)とのロボタクシー事業参入も検討していることを明らかにした。
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■トヨタが2028年に自動運転車を発売
トヨタは2026年8月27日、自動運転技術の展開方針を包括的に示す発表を行った。柱となるのが、2028年から市販車に導入する自動運転レベル2++である。運転支援の対象を高速道路だけでなく市街地にも広げ、目的地までドライバーの操作をほぼ必要としない水準を目指すとしている。
これまでの運転支援機能は高速道路など限定された環境での利用が中心だったが、今回の発表では対応領域を市街地まで広げる点が特徴である。あくまで自動運転レベル2の枠内であるため運転の最終責任はドライバーに残るが、手放し運転ができる場面は大きく広がることになる。
レベル2++はドライバー責任下の運転支援に変わりないが、対象を市街地まで広げる判断は他社にとっても現実的な選択肢を示すものだ。安全性を裏付ける検証データの開示が、今後の普及を左右するだろう。
【参考】関連記事としては「自動運転はいつ実用化?レベル・モビリティ別に動向・有力企業を解説」も参照。
■市販する車両の「自動運転レベル2++」とは
自動運転レベル2++という呼称は、米自動車技術会SAEが定める公式の区分ではなく、トヨタが独自に用いる呼び方である。SAEが定める自動運転レベルのうち、レベル2は運転支援に位置づけられ、ハンドル操作やアクセル・ブレーキ操作をシステムが担う場面があっても、ドライバーが周囲を監視し続ける必要がある点は変わらない。
トヨタが示すレベル2++は、このレベル2の枠組みを保ちながら、手放し運転ができる場面を市街地まで広げたものと位置づけられる。運転の主体はあくまでドライバーであり、システムが判断に迷う場面ではドライバーへの運転の引き継ぎが発生する設計とみられる。監視義務そのものが軽減される自動運転レベル3や自動運転レベル4とは一線を画す仕組みである。
【参考】関連記事としては「トヨタの「自動運転車」はいつ買える?日産に先を越されて焦り見えるか」も参照。
■商用シャトルで自動運転レベル4開発、ウェイモとのロボタクシー参入も
乗用車向けのレベル2++と並行して、トヨタは商用シャトル領域でも開発を進める。2030年までに完全自律の技術開発を進め、自動運転レベル4の実現を目指す方針である。
ロボタクシー事業への参入検討を明らかにした相手は、米Google系の自動運転開発企業ウェイモ(Waymo)である。両社は2025年4月、自動運転の開発と普及に向けた戦略的パートナーシップの枠組みで基本合意しており、今回の発表はその延長線上に位置づけられる。ウェイモは米国内で自動運転タクシーサービスを展開してきた企業であり、トヨタが持つ車両開発力とウェイモの自動運転技術を組み合わせることで、自動運転タクシー市場での存在感を高める狙いがあるとみられる。
【参考】関連記事としては「ウェイモ72日ぶりに北米で高速復帰 洪水・工事ゾーンに突っ込む事故は改善したのか」も参照。
■トヨタ独自の自動運転アーキテクチャ
トヨタの自動運転開発の特徴は、内製でエンドツーエンド(E2E)AIによる自動運転技術を開発している点にある。E2Eとは、周囲の状況認識から運転操作の判断までを一つのAIが一括して担う手法であり、交通事故の6割を占めるとされるクルマ側の要因に対応する技術として位置づけられている。
一方で、E2E方式はAIがどのような判断を下したのか外部から把握しにくいという課題も指摘される。トヨタはこの点を踏まえ、AIが想定外の判断や動きをした場合に備え、ルールベースの仕組みである「ガードレール」を組み合わせるハイブリッド方式を採用する。E2E一本足打法をとる他社との差別化を図る狙いがあるとみられる。
なお、トヨタは2024年10月、NTTとの間で交通事故ゼロ社会の実現に向けた「モビリティ×AI・通信」分野の共同取り組みで合意しており、2030年までに両社で5,000億円規模の投資を見込むとしている。今回の自動運転戦略も、こうした基盤整備の延長線上にあるといえる。
■トヨタの自動運転車発売が競争地図を変えるか
国内の自動運転車をめぐっては、日産が自家用車向けの自動運転レベル4の市販化を打ち出すなど、各社の発表が相次いでいる。トヨタが2028年という具体的な時期を示したことで、自動運転車の実用化競争は新たな局面を迎える。
自動運転レベル2++はレベル4のような完全自律ではないものの、市街地まで対応領域を広げた運転支援を広く普及させられるとすれば、実質的な影響は小さくない。ウェイモとのロボタクシー事業参入検討も含め、2028年はトヨタにとって自動運転車戦略の分水嶺になりそうだ。













