ちゃんと車輪もある「空飛ぶ車」、欧州認証を獲得

極めて高い「POA」の壁突破



出典:PAL-Vプレスリリース

欧州オランダを拠点とするPAL-V社が、空飛ぶクルマに関し、EASA(欧州連合航空安全庁)から欧州生産組織承認POAを取得した。

この承認によりPAL-V社の製造する製品は、欧州での公道走行と航空機製造の両方で認可を得ることになった。


同社は、欧州の厳しい基準で陸空両用の走行飛行(FlyDrive)の認可を勝ち取るはじめての企業で、これにより米国や中国などの他の競合を抑え、量産化するための決定的なリードを奪ったという見方もできそうだ。

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■極めて高い「POA」の壁

派手なデモ飛行で一時期の過熱したブームがあった空飛ぶクルマ。実現までに時間がかかるとして開発に冷ややかな視線が向けられることも少なくなかった。しかし、実用化に向けた技術開発と法整備は着実に前進している。

航空業界におけるPOA(Production Organisation Approval:欧州生産組織承認)の取得では、サプライチェーンの管理から製造手順の再現性、厳格な品質管理システムに至るまで、極めて高い航空安全基準を満たす必要がある。

この超難関のハードルをPAL-V社が突破した意義は極めて大きい。


■2人乗りのジャイロプレーン型機体

PAL-V社が開発、製造している「Liberty」は、一時期主流であったeVTOL(電動垂直離着陸機)ではなく、2人乗りのジャイロプレーン型機体だ。道路走行モードから飛行モードへの切り替えは僅か約5分で完了する。

また、地上では最高時速160キロで走り、空では航続距離400〜500キロの飛行性能を発揮する。

PAL-V社は、2020年に公道走行許可を得て欧州ナンバープレートを取得し、2026年3月にはRDW(オランダ車両庁)から自動車メーカー認定を受けた。そして、今回POAによる航空認可が加わったことで二重の認可を得たことになった。

■3年間の生産分は予約で埋まる

着陸後すぐにそのまま道路を走行できる利便性は、eVTOL同様、インフラが未整備なへき地への専門家の派遣や緊急医療、そして災害救助でも威力を発揮する。既にオランダの消防隊なども導入に関心を示している。


同社は型式証明の最終段階を進めていて、早ければ2028年にも最初の商業受渡を開始する計画だ。既に最初の3年間の生産分は利用の予約で埋まっており、市場からの期待は非常に高い。

欧州オランダから始まるこの静かな変革は、次世代モビリティの未来がすぐそこまで来ている証だ。

【参考】関連記事としては「空飛ぶクルマ(Flying Car)とは?いつ実現?」も参照。

記事監修:下山 哲平
(株式会社ストロボ代表取締役社長/自動運転ラボ発行人)

大手デジタルマーケティングエージェンシーのアイレップにて取締役CSO(Chief Solutions Officer)として、SEO・コンテンツマーケティング等の事業開発に従事。JV設立やM&Aによる新規事業開発をリードし、在任時、年商100億から700億規模への急拡大を果たす。2016年、大手企業におけるデジタルトランスフォーメーション支援すべく、株式会社ストロボを設立し、設立5年でグループ6社へと拡大。2018年5月、自動車産業×デジタルトランスフォーメーションの一手として、自動運転領域メディア「自動運転ラボ」を立ち上げ、業界最大級のメディアに成長させる。講演実績も多く、早くもあらゆる自動運転系の技術や企業の最新情報が最も集まる存在に。(登壇情報
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