中国製の太陽電池で「無限に走れるロボタクシー」誕生か

「ソーラー救急車」登場で可能性



車両画像の出典は「Solar Team Eindhoven公式サイト」

太陽光で走行するソーラーカーの開発を手掛けるオランダの学生チームが、「太陽光発電式救急車」という新たなコンセプトを発表した。中国AIKOの高効率ABCセルを採用し、走行だけでなく医療機器の電力も賄えるという。

日本では何かと叩かれがちな太陽光発電だが、上手に活用すれば新たな未来が拓ける。この技術を応用すれば、将来ロボタクシーを無限に走らせることも可能になるかもしれない。


ソーラーカーの最前線に迫る。

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■アイントホーフェン工科大学の取り組み

ソーラー救急車のコンセプトを発表

アイントホーフェン工科大学の学生研究チーム「Solar Team Eindhoven」は、ソーラーパネルにより車載医療機器への電力供給が可能なコンセプトモデル「Stella Juva」を発表した。

同チームは代々ソーラーカーの開発を手掛けており、過去、オーストラリアで開催されたワールドソーラーチャレンジのファミリーカー部門で4年連続優勝を果たすなど多大な実績を誇る。

2023年に製作した世界初のオフロードソーラーカー「ステラ・テラ」は、重量わずか1,200キロで、晴天時の航続距離は630キロに達したという。最高時速145キロで公道も砂漠も走行可能なモデルに仕上げた。


最新モデル「Stella Juva」は、ソーラーパネルによって、走行だけでなく車載医療機器への電力供給も可能にした救急車仕様となっている。太陽エネルギーのみで走行し、医療を提供できる世界初の救急車で、アクセス困難な地域など世界中のどこでも医療サービスを提供することを可能にしたい――といった思いが込められている。

2026年7月に運行開始予定で、8月には地元のNGOの複数の現場を訪問し、Stella Juvaがどのように医療機器を使用して患者ケアを安全に支援し、かつ充電できるかを実演する予定という。

出典:Solar Team Eindhoven公式サイト

AIKO製ABCセルを活用

実証に伴い、同チームがパートナーに選んだのが中国AIKOだ。同社が開発するABCセルは、前面に金属層を設けないフルバックコンタクト設計を採用し、光吸収を最大化する。さらに、銀を含まない金属層が微細な亀裂のリスクを低減し、長期的な耐久性に貢献する。低い温度係数と高い耐劣化性により、幅広い環境下で安定した性能を維持することができるという。

AIKOは同チームの取り組みについて、「輸送ソリューションから生活必需サービスを支える移動式エネルギーシステムまで、太陽光発電を利用したモビリティの役割を再定義する上で重要な一歩」と評価している。


ソーラーパネル搭載車は身近な存在に

クルマ×ソーラーパネルは、市販車両でも実用化されている。例えば、トヨタはプリウスPHEVやbZ4Xの最上位モデルにオプションでソーラー充電システムを設定することができる。

ルーフにソーラーパネルを搭載し、駐車中に太陽光をEV走行用エネルギーに変える。走行中は補機バッテリー系統に給電することで、駆動用バッテリーの消費を低減する。

プリウスPHEVは、年間でEV走行1,200キロ分に相当する電力を生み出すという。bZ4Xは1,850キロだ。意匠性を損なわない形でのパネル設置でも、一定の発電が見込めるのだ。

日産はJAPAN MOBILITY SHOW 2025において、軽EV「日産サクラ」に車載用電動スライド式ソーラーシステム「Ao-Solar Extender(あおぞら エクステンダー)」を搭載したプロトタイプを出展した。

電動スライド式のソーラーシステムで、駐車中などにパネルを広げることで発電量を増やすことができる。年間最大約3,000キロ相当の走行に必要な電力を太陽光発電でまかなうことを目指すという。

日照量に左右されるが、現状、一日当たり10~60キロ走行分を発電できるソーラーEVが実用化されているようだ。デザインなどを考慮せず発電に全振りすれば、発電量はまだまだ増やすことができるものと思われる。

将来は無限ロボタクシーも可能に?

さらなるイノベーションが必須だが、将来、一日当たり数百キロ走行可能なソーラー発電システムが誕生する可能性は否定できないだろう。表題のソーラー救急車のように、車内機器の電力までも賄うことができるかもしれない。

仮に、航続距離1,000キロクラスのソーラー発電システムをロボタクシーに搭載することができれば、停車して充電することなく無限に営業し続けることが可能になる。あくまで理論上の話だが、客を乗せて移動しながら、その走行分+αを発電し続けるのだ。

実際には、コンピュータ機器を休ませたり、メンテナンスしたり……といった休養時間が必要なため、無限に走行し続けることは現実的ではない。しかし、充電ステーションなどに依存することなく、8時間稼働し、少し休憩をはさんで再び稼働する――といった利用方法は可能かもしれない。

ソーラー発電であれ蓄電技術の進化であれ、航続距離が大幅に伸びれば、次は機械・コンピュータとしての連続稼働限界、耐久性を高める方向で技術が進化していくことも考えられる。丸一日稼働して休憩、三日間稼働し続けて休憩……といった具合で、連続稼働時間が伸びていくことは普通に考えられるだろう。

少し前まで「自動運転レベル5なんて無理!!」と言われていたが、AIの進化により状況は変わった。現状難しいと思われる無限ロボタクシーも、その実現可能性を完全否定すべきではないのだろう。

■【まとめ】太陽光発電は徐々に進化

ソーラー発電効率が一定レベル以上に高まれば、車載蓄電池を減らすことが可能になり、軽量化に繋がる。好循環が生まれるのだ。ペロブスカイト太陽電池やフレキシブル太陽電池など、太陽光発電は少しずつ進化を遂げている。

ソーラーカーとしてはまだまだ補助の域を脱しないが、未来のイノベーションに期待したいところだ。

【参考】関連記事としては「ロボタクシー、日本は「外資100%」でも許可を出す?」も参照。

記事監修:下山 哲平
(株式会社ストロボ代表取締役社長/自動運転ラボ発行人)

大手デジタルマーケティングエージェンシーのアイレップにて取締役CSO(Chief Solutions Officer)として、SEO・コンテンツマーケティング等の事業開発に従事。JV設立やM&Aによる新規事業開発をリードし、在任時、年商100億から700億規模への急拡大を果たす。2016年、大手企業におけるデジタルトランスフォーメーション支援すべく、株式会社ストロボを設立し、設立5年でグループ6社へと拡大。2018年5月、自動車産業×デジタルトランスフォーメーションの一手として、自動運転領域メディア「自動運転ラボ」を立ち上げ、業界最大級のメディアに成長させる。講演実績も多く、早くもあらゆる自動運転系の技術や企業の最新情報が最も集まる存在に。(登壇情報
【著書】
自動運転&MaaSビジネス参入ガイド
“未来予測”による研究開発テーマ創出の仕方(共著)




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