【調べてみた】自動運転の重大事故、「裏方」の企業は?

原因はシステム?オペレーター?



出典:弥彦村プレスリリース

新潟県弥彦村で運行中の自動運転バスが2026年4月、歩行者2人と接触する事故を起こした。うち1人は頭部から出血するけがを負ったようだ。

国内における自動運転モビリティで、歩行者と接触する案件としてはこれが3例目と思われる。事故はなぜ起こったのか。現在判明している事実とともに、自動運転×事故の国内状況に触れていく。


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■弥彦村で発生した事故の概要

現場は観光客で賑わうスポット

弥彦村は Auve Tech製「MiCa」を2台導入し、「ミコぴょん号」の名で2024年2月に運行を開始した。弥彦ルート、北吉田ルートの2路線で自動運転バス運行を行っている。

▼公共交通機関空白地帯の救世主!新潟県内初の自動運転車両「ミコぴょん号」12月14日(土)より土日運行開始!
https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000001.000154192.html

今回事故が発生したのは弥彦ルートで、弥彦温泉街を走行する観光客が多い路線だ。ミコぴょん号がいつも通り駅に向かって走行している際、おもてなし広場付近わきの歩道で歩行者2人と衝突する事故を起こした。村は事故を受け、ただちに運行を停止した。

事故後の村の会見によると、2人のうち40代男性が頭部から血を流し、30代女性が足をけがし、それぞれ病院に搬送されたという。車内のオペレーターと乗客7人にけがはなかった。被害にあった歩行者は車道と歩道の間にいたとしている。


手動運転時に車両が歩道に進入?

自動運転バスは通常レベル2運行をおこなっており、事故現場の55メートル手前で歩行者を検知したため自動で一時停止したという。その際、オペレーターが手動運転に切り替え、歩行者を避けたあともそのまま手動運転を継続していたが、何らかの理由で歩道側に進入してしまった可能性が高いとしている。手動運転時は、安全のためシステムによる自動制御は行われない仕様となっている。

グーグルマップで現場付近(2022年の画像)を見たところ、おもてなし広場部分は歩道のような空間が整備され、歩道と車道の間にブロックやパイロンなどが点在している。縁石の段差はなく、広場を抜けると歩道が途切れ、路側帯の白線が引かれている。

道路を渡った向かい側に駐車場があり、信号のない横断歩道も確認できる。観光客が多い日は歩行者でにぎわい、路上駐車車両も多いため手動介入も頻繁に行われていたという。


弥彦村で運行している自動運転バスは実質レベル2相当で、コンピュータが運転しているときもオペレーターが常時監視し、危険を察知した際はただちに手動介入しなければならないシステムだ。

今回の事故は、レベル2でもなく純粋な手動運転時に発生したとされており、その意味では自動運転システムそのものに過失はなかったと言える。

BOLDLYらが自動運転事業を委託

弥彦村の自動運転バス事業は、BOLDLYと大日本印刷、セネックが関わっている。車両の調達や運行管理をBOLDLYが担い、大日本印刷は屋外デジタルサイネージ「モビリティポート」の設置で関わっている。

2024年2月当時のリリースでは、MiCaの運行業務は当面の間BOLDLYとセネックが担当し、2024年度以降は地元の交通事業者を含めた関係者などと議論を重ねた上で最適な体制を構築する予定としている。

セネックは自動車運行管理業務や市場調査・診断業務などを行っており、茨城県境町や北海道上士幌町でも自動運転バスの遠隔監視サービスを提供している。本社を東京都内から境町に移転したほど、自動運転サービスに力を入れているようだ。

BOLDLYとしては、創業者の佐治友基氏が代表取締役社長兼CEOを退任してソフトバンクに戻って間もないタイミングだ。佐治氏としても歯がゆいところだろう。

自動運転業界のキーマン佐治氏、「BOLDLY退任までの10年」を語る【独占インタビュー】

今回の事故は、現状明かされている情報を精査する限り、車内オペレーターの過失である可能性が高い。このオペレーターを誰が担っていたかは不明で、BOLDLYやセネックのスタッフかもしれないし、地元の事業者かもしれない。前者であれば、運行管理のプロによるミスとなり、かなりきつめに褌を締め直す必要がある。

後者であれば、業務を委託する際の教育方法を見直さなければならないだろう。事業の継続性を念頭に、BOLDLYは運行管理業務を少しずつ地元に移管していく方針を過去示していたが、コスト面や雇用面などを踏まえるとこの手法は一つの理想形と言える。

国内における自動運転モビリティによる事故・事案において、手動運転に切り替えた際に発生したものは意外と多い。レベル2・レベル3特有の事案だが、こうした人為的ミスも自動運転のマイナス評価につながる。

今回の件は当てはまらないものと思われるが、実証や運行時において、自動運転と手動運転の切り替えタイミングは難しい。車内のセーフティドライバーやオペレーターがいち早く危険を察知し、自動運転システムの判断を待つことなく事前に対応してしまうと、システムの学習につながらない。かと言って、ギリギリまで見定め過ぎると手動切り替えが間に合わなくなる。

セーフティドライバーやオペレーターには、一瞬の判断能力と持続的な集中力が求められるのだろう。

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■国内における自動運転の事故例

歩行者事故の国内1例目はe-Palette

歩行者が関わる人身事故としては、トヨタe-Paletteが2021年に起こした事故が国内初と思われる。東京2020オリンピック・パラリンピック競技大会のワールドワイドパートナーを務めたトヨタは、選手村における選手や大会関係者の移動にe-Paletteを導入し、レベル2運行で移動サービスを提供していた。

しかし、パラリンピック開催期間中、視覚障がいのある選手が交差点を渡ろうとした際、通過中のe-Paletteと接触する事故が発生した。

当時レベル2運行を行っており、車載センサーやオペレーターが歩行者に気付いて自動ブレーキ・緊急ブレーキを行ったが、完全に止まりきる前に歩行者と接触した。配備された誘導員との連係ミスもあったようだ。

国内2例目としては、2021年11月、静岡県伊東市内で発生した事案が確認できる。東急、名古屋大学、ソリトンシステムズらが実施した自動運転バス実証で、運転席無人の遠隔操作により運行中、監視映像に乱れが発生したため遠隔操作の停止措置を行ったが車両が停止せず、カーブ区間を直進したという。

異常に気付いた車内保安要員がブレーキ操作を実施したが、歩行中の男性に車両に左サイドミラーが接触した。

原因はアクチュエーターの不作動とされており、また遠隔操作者らによる動作不良の認知・対応の遅れも指摘されている。

乗客がけがをした事例としては、2025年8月に東京都八王子市内で発生した事故が記憶に新しい。都の事業で、日本工営が委託を受け、BOLDLYと西東京バスが再委託されている。使用車両はアルファバスジャパンの小型EVバス「E-City L6」で、自動運転システムの開発先は不明だ。

自動運転バスがレベル2状態で国道20号を時速約20キロで走行中、急に左側に車両が旋回し、時速約10キロで街路樹に衝突して乗客3人が軽傷を負った。

調査の結果、本来使用すべきではない古い目標位置情報を自動運転システムが誤って読み込む設計上の不備が判明した。車両が古い目標位置を参照して急ハンドル制御をおこなったため、街路樹に衝突したという。制御機能から独立した衝突回避機能がなかった点も指摘されている。

ややイレギュラーな案件だが、2023年1月には、乗客が座席から滑り落ちてけがをした事案も発生している。滋賀県大津市内でサービス実証中の自動運転バス(レベル2)において、ホテル敷地内で前方の駐車車両を避けるためセーフティドライバーが手動でハンドルを切ったところ、前方の障害物がなくなったと判断した自動運転システムが車両を時速10キロまで急加速し、その際に乗客が座席からすべり落ちたとされている。

弥彦村では過去軽微な接触事案が2件発生

弥彦村では、2024年6月と8月にも軽微な事案が発生している。6月に発生した事案は、路上停車している車両を避けるため手動に切り替えて操作したところ、操作ミスによって電柱の支線に接触したという。けが人はいない。

8月の事案では、自動運転バスが縁石に接触したようだ。乗車中のオペレーターが誤ってタブレット型の操作用端末に触れてしまったことが原因とされている。

MiCaに関連した事故

弥彦村で採用されている自動運転バス「MiCa」は、BOLDLYが国内各地で導入しているモデルだ。

福岡県福岡市で2023年11月、MiCaがタクシーと接触する事案が発生している。MiCaがJR 箱崎駅東口のバス停に停車後、自動運転モードで発車する際、前方に停車していた一般車両を検知して自動停止した。

その後、前方の一般車両が動き出したため自動発進し、右斜め前方に動き出した際、車両の前方右側面が後方から来たタクシーと接触したという。

2024年5月には、東京都内の臨海副都心で実証中のMiCaが、シンボルプロムナード公園と公道が交差する区間において搭乗員による手動運転を行っていた際、バスの車体側面が車止めに接触する事案が発生している。

自動運転バスの事故事例まとめ【調査報告書付き】

海外における人身事故例

海外では、実質レベル2状態で運行中のUber Technologiesの開発車両が、自転車を押して道路を横断中の歩行者と衝突した死亡事故が有名だ。Uberは当時自動運転開発に力を入れており、積極的に実証を重ねていたが、運行中のセーフティドライバーが私物の携帯端末に夢中になり、前方監視を怠っていたことが原因とされている。

この事故を受けUberは各地の実証を中止し、そのまま開発事業から撤退することとなった。

2023年10月には、GM系Cruise自動運転タクシーが人身事故を起こした。隣接レーンの別の車両に衝突した女性がCruise車両の前方に飛ばされ、ブレーキが間に合わず接触した事故で、ここまでであればもらい事故に近い印象だが、Cruise車両は衝突後、安全確保のため路肩に進路を変えた際、女性を引きずりながら走行したという。

この事故を受けCruiseは各地の自動運転運行を中止し、翌年、親会社のGMが事業停止を決定した。

2026年1月には、Waymoの自動運転タクシーが児童と衝突する事故が発生している。小学校付近を走行中、児童が駐車車両の陰から飛び出すような形で道路を横断しようとした。Waymo車は児童を検知して即座に緊急ブレーキをかけたものの間に合わず、時速10キロ未満まで減速した状態で衝突したという。児童は軽傷を負った。

自動運転車の事故、日本・海外の事例・事案まとめ

■【まとめ】ヒューマンエラーが目立つ内はまだまだ序の口

国内における自動運転バスの実証・実用化は加速しており、それに伴って事故・事案の発生も増加傾向にある。自動運転システムの不備に起因するものとオペレーターのミスによるものに大別できるが、オペレーターによるヒューマンエラーが目立つ段階は、まだまだ序の口と言える。

システムの高度化に伴いオペレーターの負担は徐々に軽減され、オペレーターに起因する事故事案は減少していくことが予想されるが、2026年中に各社の取り組みはどこまで進むのか。

弥彦村もしっかりと改善を重ね、通期運行の早期復活を果たすことを願いたい。

記事監修:下山 哲平
(株式会社ストロボ代表取締役社長/自動運転ラボ発行人)

大手デジタルマーケティングエージェンシーのアイレップにて取締役CSO(Chief Solutions Officer)として、SEO・コンテンツマーケティング等の事業開発に従事。JV設立やM&Aによる新規事業開発をリードし、在任時、年商100億から700億規模への急拡大を果たす。2016年、大手企業におけるデジタルトランスフォーメーション支援すべく、株式会社ストロボを設立し、設立5年でグループ6社へと拡大。2018年5月、自動車産業×デジタルトランスフォーメーションの一手として、自動運転領域メディア「自動運転ラボ」を立ち上げ、業界最大級のメディアに成長させる。講演実績も多く、早くもあらゆる自動運転系の技術や企業の最新情報が最も集まる存在に。(登壇情報
【著書】
自動運転&MaaSビジネス参入ガイド
“未来予測”による研究開発テーマ創出の仕方(共著)




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