航空機の自動操縦の意味で広く使われてきた「オートパイロット(Auto Pilot)」という言葉を、自動運転業界でも耳にするようになっている。米EV(電気自動車)大手のテスラが自社製品の先進運転支援システムの名称として使っているからだ。
テスラの「オートパイロット(AutoPilot)」は現在は自動運転レベル2(部分運転自動化)相当の機能に留まっているが、いずれは自動運転レベル3、レベル4、レベル5と性能を高めていくと考えられている。この記事ではテスラのオートパイロットに焦点を当てて解説していこう。
■テスラの「オートパイロット」はどんな機能を備えているか?
航空機での自動操縦システムをイメージして作られたテスラの先進運転システムが「オートパイロット(AutoPilot)」であり、現在テスラのすべての車両(一部はオプション)に搭載されている。
同じ車線内でのハンドル操作、加減速を行って車間距離を適切に保つほか、オプションの機能を付ければ自動車線変更も可能となっている。高速道路などの真っすぐな道だけではなく、カーブの多い道路でも問題なく使えるようになっている。
テスラのオートパイロットは「レベル2」の自動運転とされており、システムがハンドルの操作や加減速をコントロールするが、常にドライバーが監視していなくてはいけない。
【参考】関連記事としては「【最新版】自動運転レベル2の要件や定義、機能を解説」も参照。
しかし、個人の敷地や私道などで約60メートル以内の距離であれば、スマートフォンのアプリで呼び出すと車が自分の近くまで来てくれる「スマート・サモン」と呼ばれる機能も最新のソフトウェアでは備えており、その進化は日進月歩だ。
■オートパイロット機能を支えるセンサー群
テスラのオートパイロット機能を支えているのが、車両に搭載されているサラウンドカメラやセンサーの存在だ。
テスラの公式サイトによれば、テスラ車両に搭載されているサラウンドカメラは360度の視界と最長250mまでの視認性を有しており、物体を検知する超音波センサーと併用することで、高度な物体認識システムを実現させているという。
また、レーダーシステムとしてテスラ独自の「フォワード・フェーシング・レーダー」を搭載しており、公式サイトでは「豪雨、霧、塵や前方を走るクルマをも見通すことが可能」と説明されている。
■「完全自動運転対応のハードウェアが搭載」
テスラではすでに「完全自動運転対応のハードウェアが搭載」と説明しているが、仮に技術的に自動運転が可能だとしても実際には各国における認可などが必要であり、今すぐにそうしたハードウェアを最大限生かすことは難しい。
一方で、無線通信でソフトウェアを更新するOTA方式により、ワイヤレスで自動運転ソフトウェアがアップデートされる仕組みになっていることにより、ソフトウェアが進化していき、将来的には現在の車両で完全自動運転に対応できるようになるようだ。
【参考】関連記事としては「Over The Air(OTA)技術とは? 自動運転車やコネクテッドカーの鍵に」も参照。
Over The Air基礎解説…自動運転車両で今後標準搭載へ 無線通信でソフトウェア更新 テスラが先行導入、トヨタ自動車や日産も https://t.co/pwLeTeoqhq @jidountenlab #OverTheAir #自動運転車 #コネクテッドカー
— 自動運転ラボ (@jidountenlab) November 14, 2018
■他社の先進運転システムにも注目
一方で、このような高度運転支援機能をすでに市販車に備えているのはテスラだけではない。日産の「プロパイロット(ProPILOT)」のほか、トヨタの「Toyota Safety Sense」なども挙げられる。
日産では、高速道路で車間距離を保って走行したり、先行車がいないところでは定速走行を行ったりするプロパイロット機能を提供しており、2019年7月にはマイナーモデルチェンジを発表した日産スカイラインには「プロパイロット2.0」が搭載された。
プロパイロット2.0は、車線変更支援や目的地のインターチェンジへの誘導、さらには「ハンズオフ」つまり手放しでの運転機能まで備えているということで話題になっている。
Toyota Safety Senseは「交通事故による死傷者ゼロ」を目指すトヨタが提供する高度運転支援機能だ。先進の予防安全パッケージとして提供されており、「レーンキープコントロール」や「追従ドライブ支援機能」などを機能として有している。
テスラのオートパイロットの進化に負けじと、日産のプロパイロットやトヨタのToyota Safety Senseも進化していくことが考えられる。
【参考】関連記事としては「自動運転、テスラの戦略まとめ スマート・サモン機能導入!ロボタクシー構想も」も参照。