日本学術会議が「自動運転推進における社会的課題」で4つの提言

新たなモビリティによる社会のデザインとは?





国内の科学者たちを代表する機関である日本学術会議は、2020年8月13日までに提言「自動運転の社会的課題について-新たなモビリティによる社会のデザイン-」を公表した。







自動運転の実現に向けて、技術開発や法制度の整備は加速的に進んでいるが、今後は社会受容性や事業性について取り組むフェーズに移行していく段階になるという。

今回の提言は全部で4つある。どのような提言内容か、紹介していこう。

■提言①:将来社会のグランドデザインにおける自動運転・モビリティの役割

1つ目は「将来社会のグランドデザインにおける自動運転・モビリティの役割」についてだ。

人とモノがつながり新たな価値を生み出すことで課題や困難を克服する社会「Society5.0」を目指す上で、移動の自由と安全の確保は社会のグランドデザインにおいて重要な課題であり、自動運転は社会デザインの一部として設計されるべきだという。

自動運転の社会実装は超高齢社会の課題解決に向けても期待され、山間地域から地方都市、大都市といった地域特性に応じた取り組みが必要であり、政府が総合的に取り組む体制を整えるべきであるという。

■提言②:人文社会科学的な価値観・倫理観に配慮した人間中心のデザインと社会実装

2つ目は「人文社会科学的な価値観・倫理観に配慮した人間中心のデザインと社会実装」についてである。社会のグランドデザインを考慮した自動運転の開発や社会実装においては、人間中心の設計という概念が重要であるという。

技術的な面での安全性や機能性だけでなく、自然環境保護や文化など価値観や倫理観への配慮も必要だ。国は省庁の垣根を超えて法整備をすべきであり、産業界や大学は領域を超えた国際的な取り組みを重視すべきだという。

■提言③:実証データの整備とエビデンスに基づく持続的な開発

3つ目は、「実証データの整備とエビデンスに基づく持続的な開発」についてだ。

新しい技術の開発においては実証データを整備するべきだという。効率的な技術開発ができる体制を整えることで開発コストを抑え、さらに交通安全の向上に向けた個人情報の扱い方や保険制度、責任の所在などをエビデンスベースで検討するべきであり、国や産業界は他分野とのデータ共有も視野に入れ、横断的に検討をするべきであるという。

■提言④産学官連携の国家的プロジェクトによる人材育成と研究開発

4つ目は、「産学官連携の国家的プロジェクトによる人材育成と研究開発」についてだ。

産学官連携によるSIPなどの国家的プロジェクトを継続的に実施し、人材の発掘や育成を行うことが必要であるという。ハードやソフト面のみならず、経済や法律、倫理などを含めた人材育成が必要であることも指摘している。

■【まとめ】社会のグランドデザインとして自動運転

自動運転の推進は社会のグランドデザインを考慮して行われるべきであるとする今回の提言では、学術界や産業界などがこれらの提言に従って自動運転を推進するよう、行政機関が指導・監督すべきであるとしている。

技術開発面で自動運転の社会実装が現実的になっている現在、「将来の社会」のグランドデザインの1つとしての「自動運転開発」を、国や行政がイニシアチブをとって国全体として推進していく段階に来ている。

▼提言:自動運転の社会的課題について(全文)
http://www.scj.go.jp/ja/info/kohyo/pdf/kohyo-24-t294-1.pdf

記事監修:下山 哲平
(株式会社ストロボ代表取締役社長/自動運転ラボ発行人)

大手デジタルマーケティングエージェンシーのアイレップにて取締役CSO(Chief Solutions Officer)として、SEO・コンテンツマーケティング等の事業開発に従事。同業上場企業とのJV設立や複数のM&Aによる新規事業開発をリードし、在任時、年商100億から700億規模への急拡大を果たす。2016年、大手企業におけるデジタルトランスフォーメーション支援すべく、株式会社ストロボを設立。設立3年で、グループ4社へと拡大し、デジタル系事業開発に従事している。2018年5月、自動車産業×デジタルトランスフォーメーションの一手として、自動運転領域最大級メディア「自動運転ラボ」立ち上げ、業界最大級のメディアに成長させる。講演実績も多く、早くもあらゆる自動運転系の技術・会社の最新情報が最も集まる存在に。
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