国際組織「5GAA」とは?自動運転やコネクテッド技術との関連は?

車とさまざまなモノをつなげる「V2X」を推進



出典:5GAA公式サイト

次世代通信規格として注目される「5G」(第五世代移動通信システム)。5G市場は2030年には現在の300倍に拡大する見込みで、自動運転車でも大いに必要とされる。

この5Gを自動車でどう活用するかなどについて研究している「5GAA」という国際組織があり、近年この組織に加盟する企業が増えている。


この記事では「5GAA」の概要などについて紹介していこう。

■5GAAとは?

「5GAA」とは「5G Automotive Association」の略称だ。2016年9月に結成された世界的な業界横断組織で、ドイツのミュンヘンに本部を設置している。自動車やテクノロジー、通信などの各業界から企業が参画しており、5G技術を車両に導入し、さまざまなサービスやソリューションを開発することを目的としている。

■参画企業は?

創設メンバーは、アウディとBMWとダイムラーの大手ドイツ自動車メーカーのほか、エリクソン、インテル、Huawei(ファーウェイ)、NOKIA、Qualcomm(クアルコム)の計8社だ。

現在の加盟企業は130社を超える。創設メンバー以外の企業としては、米フォードやドイツのフォルクスワーゲン(VW)、ボルボ、米GM、仏ルノーなど自動車メーカーを筆頭に、航空機メーカーの仏エアバス、米アップル、中国ネット検索最大手の百度(バイドゥ)、カナダのブラックベリー、独ボッシュ、米シスコシステムズなどの面々が名を連ねている。


日本企業からは日産ホンダといった自動車メーカーのほか、NTTドコモ、KDDI、ソフトバンク、パナソニック、デンソーなども加盟している。

■5Gが自動運転に必要な理由は?

5Gは現在の通信手段である4G(LTE)通信よりも高速かつ大容量での通信が可能で、一度にたくさんの機器と接続することも可能だ。また通信における遅延が短縮され、リアルタイム性がより高い通信ができるようになる。

4Gと比較すると、1秒間に通信できるデータ量は1ギガビッドから20ギガビットと約20倍となり、遅延は約10分の1になるという。自動運転車ではリアルタイムに変化する交通情報などをはじめとした膨大なデータをクラウドとやり取りする必要があるため、5Gは必要不可欠なのだ。

【参考】関連記事としては「5G需要、2030年に170兆円規模 「自動運転車」などが牽引」も参照。


■5GAAのデモなどの取り組み

自動車が他の車や歩行者、信号システムのインフラなど様々なものとの通信する考え方を「V2X」(Vehicle to Everything)と呼ぶ。この「V2X」を5Gなどのモバイル用通信ネットワークで実現するのが「C-V2X(Cellular Vehicle-to-Everything)」であり、5GAAはこの技術の開発に力を入れている印象だ。

5GAAは2018年7月にC-V2Xのデモンストレーションをヨーロッパで実施している。5G通信を使用し、車とそのほか複数の対象をつなぐデモを実施したのはこれが欧州では初めてのことだった。具体的には、車両間や、車両と信号、交通センターとの通信など6種類のデモを行った。

2019年6月に開催されたモバイル業界のイベント「MWC Shanghai 2019」には5GAAの主要関係者が参加し、「C-V2X」について紹介した。中国はこの「C-V2X」の展開を加速させており、すでに10省の道路で実証実験が20回以上実施され、パイロットプロジェクトも盛んに行われているようだ。

■【まとめ】5GやC-V2Xの重要性が高まる次世代

5Gは自動運転やコネクテッドカーに欠かせないものだ。この記事で紹介した「C-V2X」という技術も重要だ。つまり、こうした5GやC-V2Xに関する取り組みを行っている「5GAA」の存在感は、通信業界でも自動車業界でも一層大きいものになっていくはずだ。

5GAAという組織名は業界関係者でなければ知らない人も少なくないだろうが、この機会にどういう組織が頭に入れておきたいところだ。

記事監修:下山 哲平
(株式会社ストロボ代表取締役社長/自動運転ラボ発行人)

大手デジタルマーケティングエージェンシーのアイレップにて取締役CSO(Chief Solutions Officer)として、SEO・コンテンツマーケティング等の事業開発に従事。JV設立やM&Aによる新規事業開発をリードし、在任時、年商100億から700億規模への急拡大を果たす。2016年、大手企業におけるデジタルトランスフォーメーション支援すべく、株式会社ストロボを設立し、設立5年でグループ6社へと拡大。2018年5月、自動車産業×デジタルトランスフォーメーションの一手として、自動運転領域メディア「自動運転ラボ」を立ち上げ、業界最大級のメディアに成長させる。講演実績も多く、早くもあらゆる自動運転系の技術や企業の最新情報が最も集まる存在に。(登壇情報
【著書】
自動運転&MaaSビジネス参入ガイド
“未来予測”による研究開発テーマ創出の仕方(共著)




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