Mobileye快進撃、トヨタも射止めた!ADASや自動運転車へのEyeQ採用続々

OEMなどとのパートナーシップ拡大中



モービルアイのアムノン・シャシュアCEO=出典:インテル

インテル傘下のMobileye(モービルアイ)と独自動車部品大手ZFは、トヨタの複数のプラットフォーム向けのADAS(先進運転支援システム)開発ベンダーに選ばれたと発表した。今後数年のうちにADASソリューションの提供や搭載が始まる見込みだ。

モービルアイのシステムオンチップ「EyeQ」シリーズは世界25社以上のOEMが採用しているが、ついに世界最大手クラスのトヨタも射止めたようだ。勢いに乗るモービルアイのこの1年の動向を振り返り、その快進撃に触れていこう。







■トヨタが「EyeQ4」採用

モービルアイとZFは2021年5月、トヨタのADAS開発ベンダーに選ばれたと発表した。両社はZFのレーダー技術と統合された高度なカメラ技術をトヨタの主要なADASプラットフォームに提供していく。ZFは、合意の一環としてGen 21ミッドレンジレーダーも供給し、カメラとレーダーの統合を担当する。

モービルアイが提供する予定のEyeQ4は、現在利用可能な最先端SoCの1つで、車両の正面カメラからの情報を迅速に処理し、コンピュータービジョンアルゴリズムで強化された計算機能を適用する。あらゆる角度からの車両検出や次世代の車線検出などさまざまな機能を備えており、自動車メーカーのADASや自動運転技術を大きく前進させ、複雑な運転タスクを強力にサポートする。

一方、ZFのGen21ミッドレンジレーダーは、自動運転レベル2+を可能にするよう設計された高性能フロントレーダーだ。自動車メーカーのニーズに合わせて拡張可能で、緊急ブレーキなど向けに歩行者検出を支援する低速での広い視野と、アダプティブクルーズコントロール向けの高速でより長い検出範囲の両方を提供するという。

トヨタはこれまでデンソーなど国内部品メーカーの製品を中心に採用しきたが、近年は独コンチネンタル製品を取り入れるなど新たな動きを見せ始めている。

■費用対効果の高いレベル2+システム「coASSIST」発表

モービルアイとZFのパートナーシップは以前から続いており、2018年に高性能カメラ「S-Cam4ファミリー」を発表したほか、2021年2月には自動運転レベル2+を実現する手ごろなシステム「coASSIST」の一般発売も発表している。

EyeQカメラテクノロジーやHella短距離レーダーを中央制御ユニットと組み合わせることで、アダプティブクルーズコントロールや交通標識認識、車線変更支援、車線維持支援、高速道路走行支援、渋滞支援などの機能を可能にしている。

欧州の自動車安全テスト「EuroNCAP2025」のテストプロトコルを満たし、手ごろなコストで導入可能という。将来的にはZFのGen21ミッドレンジレーダーを導入し、より機能を高めていくとしている。

第1弾として中国の東風風神Yixuanが採用しており、3年以内に東風風神ファミリーのフラッグシップモデル東風風神MAXにも導入される予定としている。

■Udelvの自動運転配送車にMobileyeDriveが採用

自動運転配送車両の開発を手掛けるUdelvの次世代車「トランスポーター」に、モービルアイの自動運転システム「MobileyeDrive」が搭載されることが2021年4月に発表された。

MobileyeDriveはEyeQベースのレベル4コンピューティング、センサー、ソフトウェア、マッピングテクノロジーのRoad Experience Managementなどで構成されている。カメラ、レーダー、LiDARによってそれぞれがエンドツーエンドの自動運転機能をサポートする。OTA(Over the Air)によるソフトウェア更新も可能だ。

Udelvのゼロエミッショントランスポーターと自動配送管理システムをMobileye Driveと組み合わせることで、配送コストの大幅削減や安全性をいっそう高めることができるという。

Udelvのフリートは2023年に運用開始され、2028年までに3万5000台超が生産される予定としている。

■Transdev ATSらと自動運転シャトル実用化に向け提携

モービルアイとスマートモビリティ開発を手掛けるTransdev Autonomous Transport System(Transdev ATS)、モビリティソリューション開発を手掛けるLohr Groupは2021年2月、自動運転シャトルの開発や実用化に向け戦略的パートナーシップを結んだことを発表した。

モービルアイの自動運転システムをLohr Groupが製造するEVシャトル「i-Cristal」に統合し、Transdevのモビリティサービスネットワークとともに欧州をはじめとする世界中の公共交通サービスに導入していく計画だ。

まずフランスとイスラエルで公道実証を進め、2022年までに生産に向けた技術設計を行う。その後、2023年までに公共交通網に自動運転i-Cristalシャトルを配備する予定としている。

■Geely新車にMobileyeSuperVisionが採用

中国の自動車メーカー吉利汽車(Geely)は2020年9月、北京モーターショーでLynk&CoのプレミアムEV「ZeroConcept」をお披露目し、360度を見通すモービルアイのADAS「MobileyeSuperVision」が搭載されることを発表した。

EyeQ5に基づくSuperVisionはレベル4の自動運転向けに開発されており、このシステムのカメラのみを利用する形でZeroConceptに導入し、レベル2+システムを構築している。

2台のEyeQ5に7台の長距離カメラ、4台の近距離カメラで360度のサラウンドビューを確保し、無料のナビゲーションベースの高速道路や幹線道路、都市部までハンズオフ運転を実現するという。

車両は2021年後半にも出荷を始める予定としている。

■ドバイで自動運転サービス提供へ

モービルアイは2020年9月、アラブ首長国連邦を拠点とするAl Habtoor Group(AHG)とUAEのドバイで自動運転モビリティサービスの展開に向け戦略的コラボレーションを行うと発表した。協定内容には、ADASのマッピング技術や自動運転車、スマートシティソリューションなど複数のコンポーネントが含まれるという。

詳細は明かされていないが、自動運転サービスを可能にするためエリアの地図作成に向けデータ収集を開始するとしている。

■フォードとの提携強化

モービルアイと米自動車メーカーフォードは2020年7月、提携を拡大し、フォードの製品ラインナップ全体において最先端のドライバー支援システムの構築に協力していくと発表した。

フォードは、自社のADAS「Co-Pilot」のベースをモービルアイのソリューションに置き換え、搭載を進めていく構えのようだ。モービルアイは、Co-Pilot360テクノロジーで利用可能なADAS機能をサポートするEyeQセンシングテクノロジースイートを視覚処理ソフトウェアとともに提供していく。

■WILLERとロボタクシー実用化に向けパートナーシップ

モービルアイは2020年7月、日本や台湾、ASEANでのロボタクシーサービス展開に向けWILLERとパートナーシップを結んだと発表した。

両社は、モービルアイの自動運転システムを統合した自動運転車を活用し、WILLERが各地域とユーザーの好みに合わせたサービス提供に向け、フリート運用会社にモビリティサービスとソリューションを提供していく。

2021年に日本の公道で実証を開始する方針で、2023年に自動運転のライドシェアサービスなどを開始するとともに、台湾やASEAN諸国へのサービス展開を模索していくとしている。

【参考】ロボタクシーの日本展開については「インテル傘下Mobileye、東京で自動運転実証を数カ月以内に実施へ」も参照。

■MaaSプラットフォーマーMoovit買収

インテルは2020年5月、イスラエルのMaaSプラットフォーマーMoovitを約9億ドル(約960億円)で買収することを発表した。

Moovitはスマートフォン向けのマルチモーダルアプリの開発などを手掛けており、買収時点で世界103カ国、3,200の都市で8億人以上の利用者にサービスを提供している。自動運転技術を開発するモービルアイとMaaSを手掛けるMoovitを組み合わせることで、自動運転サービスをトータルソリューションとして世界展開していく戦略のようだ。

【参考】Moovit買収については「IntelのMoovit買収、自動運転タクシーの世界展開の布石か!?」も参照。

■【まとめ】自動運転技術を社会実装する新たなフェーズへ

自動車メーカーのADAS向けにSoC「EyeQ」シリーズの搭載が拡大しているほか、着々と自動運転技術を活用したモビリティサービスの実用化に向けても前進しており、自社技術を社会実装する新たなフェーズに突入し始めた印象を受ける。本当の快進撃はこれから始まるのかもしれない。

インテルは2021年5月、イスラエルでの研究開発拡充に6億ドル、そのうち4億ドルをモービルアイに追加投資する方針を発表しており、モービルアイの快進撃をしっかりと後押ししていく構えだ。

高度な自動運転技術や独自のマッピング技術を武器に、今後世界でどのように自動運転サービスを展開していくのか。ひとつの足掛かりとなる日本での取り組みにも要注目だ。

記事監修:下山 哲平
(株式会社ストロボ代表取締役社長/自動運転ラボ発行人)

大手デジタルマーケティングエージェンシーのアイレップにて取締役CSO(Chief Solutions Officer)として、SEO・コンテンツマーケティング等の事業開発に従事。同業上場企業とのJV設立や複数のM&Aによる新規事業開発をリードし、在任時、年商100億から700億規模への急拡大を果たす。2016年、大手企業におけるデジタルトランスフォーメーション支援すべく、株式会社ストロボを設立。設立3年で、グループ4社へと拡大し、デジタル系事業開発に従事している。2018年5月、自動車産業×デジタルトランスフォーメーションの一手として、自動運転領域最大級メディア「自動運転ラボ」立ち上げ、業界最大級のメディアに成長させる。講演実績も多く、早くもあらゆる自動運転系の技術・会社の最新情報が最も集まる存在に。
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