【レビュー】テスラ・Waymo・日産の自動運転車に乗った人の感想 快適、怖い、それとも?

感想は「快適」と「怖い」に分かれた



出典:Waymoプレスリリース

自動運転車に実際に乗った人の評価は、快適と不安の両極に分かれている。米EV大手Teslaテスラ)のロボタクシーは長い待ち時間と分かりにくい降車地点が指摘され、米Google系の自動運転開発企業Waymo(ウェイモ)は逆走や渋滞での立ち往生が相次いでいる。

日産は報道関係者や議員が実質レベル4の自動運転を体験している。それぞれ乗った人の感想やレビューをまとめていく。


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■自動運転車に乗った人の感想は「快適」と「怖い」に分かれた

自動運転車に乗った人の感想は、大きく「快適だった」と「怖かった」に分かれている。同じ自動運転車でも、事業者によって体験の質は大きく異なる。料金の安さや走行の滑らかさを評価する声がある一方で、待たされた、降ろされた場所が遠かった、走行中の挙動が不安だったという声も根強い。

テスラとWaymoはすでに米国で一般の利用者を乗せた自動運転タクシーを走らせており、その生の体験談が次々と表に出ている。日産は日本で実証段階にあり、報道関係者の試乗を通じて走りの質が伝えられている。

【自動運転ラボの視点】
自動運転車の評価は事業者ごとにばらつく。重要なのは平均ではなく、待ち時間や降車地点といった体験の最後の質だ。普及の鍵は技術の派手さより、乗る人の不安をどれだけ減らせるかにある。

■テスラのロボタクシーは待ち時間と降車地点に不満の声

テスラのロボタクシーに乗った人がまず口にするのは、待ち時間の長さだ。金融大手のアナリストがテスラとWaymoのロボタクシーを乗り比べた。その結果、テスラの平均待ち時間は約15分で、UberやWaymoより長かったという。


需要に対して車両が足りず、サービスを呼べない時間帯が全体の50〜60%に達した一方、料金はUberのロボタクシーより約60%安かった。安く乗れる代わりに、なかなか来ない。そんな構図が浮かぶ。

待ち時間だけではない。降ろされる場所への不満も多い。Reutersの記者はダラスで試したところ、通常なら20分ほどの距離に約2時間かかった。車は主要な高速道路を避けて一般道を約35分走り、目的地から徒歩15分ほど離れた駐車場で記者を降ろした。

別の場面では、交差点で左折を4回失敗し、遠隔の係員に連絡してようやく曲がれたという。オースティンではアメリカ運輸省の道路交通安全局NHTSAに15件の事故が報告されており、大半は軽微だったが1件は入院に至った。

もっとも、これは車両数の少なさの裏返しでもある。オースティンで走るテスラ車は約50台で、250台を超えるWaymoに比べると規模が小さい。台数が増えれば待ち時間は縮む可能性がある。安さという魅力と、待ち時間や降車地点という不便さ。テスラの自動運転タクシーは、その両方を抱えたまま都市を広げている。

利用者の投稿には、配車がうまくいかず歩く羽目になったという嘆きがあった。初期の試乗に招待された利用者は、原因のはっきりしない急ブレーキの瞬間を撮影し、「まれな急ブレーキだった。大半の乗車は滑らかだった」とX(旧Twitter)に投稿している。

【参考】関連記事としては「テスラの自動運転タクシー、呼んでも全然来ないと話題に」も参照。

テスラの自動運転タクシー、呼んでも全然来ないと話題に

■Waymoは逆走・渋滞停止 運行一時停止に非難も

Waymoに対する不安の声は、ナッシュビルで一気に表面化した。Waymoは2026年4月にナッシュビルでサービスを始めたが、車両が道路の反対側を走る、工事ゾーンの通過に手間取る、渋滞で立ち往生するといった問題が相次いだ。さらに、アトランタではWaymo車が冠水し、不安視される声もある。

こうした混乱は、地元の人々がSNSに投稿した動画からも生々しく伝わる。ライマン公会堂前で一方通行の道に進入した車両や、工事ゾーンで立ち往生して作業員に手で誘導される様子、停止位置に迷って左折レーンを塞ぐ姿などが次々と記録された。地元局の記者は、メトロ・ナッシュビル警察がWaymo車への対応指針をまとめた資料を公開し、行政対応にまで発展した混乱ぶりを示している。また、配車の不安定さから目的地まで歩く羽目になった利用者の不満も報じられている。

「荷物ごと置いていかれた」という体験も、自動運転車への不安を象徴する。これはナッシュビルではなく、カリフォルニア州のサンノゼ・ミネタ空港で起きた事例だ。初めてWaymoに乗った男性が空港に着いてトランクの開閉ボタンを押したが反応せず、荷物を載せたまま車が走り去った。運転手がいれば声をかけて止められる場面でも、無人の車では同じようにはいかない。Waymoは当初、配送費の負担を拒んだが、最終的には荷物の配送に応じた。約1年前にもサンフランシスコで同種の苦情が出ており、単発の事故とは言い切れない課題を残している。

【参考】関連記事としては「Waymo 高速道路上のコーンを吹き飛ばして警察沙汰に」も参照。

Waymo 高速道路上のコーンを吹き飛ばして警察沙汰に

■日産の自動運転デモ、「滑らかな走行」への驚き

米国勢が課題に直面する一方で、日本の日産には「滑らかだった」という驚きの声が集まっている。日産は2025年3月、横浜のみなとみらい地区で先進的な自動運転技術を公開した。屋根に載せたセンサーで周囲をより正確にとらえ、AIによって認識や予測、判断、制御を高め、複雑な場面でも滑らかな運転を実現したという。日本で初めて、車内に運転者がいない状態での公道走行も行われた。

走りの質は、試乗した報道関係者や議員の体験談からも伝わる。日産の運転支援技術「AI Drive」を東京の繁華街で後部座席から体験した記者は、車が歩行者を早い段階で検知して滑らかに減速し、渋谷のスクランブル交差点も難なく通り抜けたと報告した。運転席のエンジニアがハンドルを完全に握る必要はほとんどなく、「自然で、まったく怖くなかった」と評している。英国での試乗でも、最初は怖かったが車が完全に制御していると分かって安心したという同じような声があった。

ただし注意したい点がある。記者が体験したAI Driveは、日産がレベルを明言しておらず、ドライバーの前方注視が必要な高度な運転支援にあたる。一方、横浜の無人デモは自動運転レベル4を見据えた実証で、両者は別の技術だ。それでも「滑らかで怖くない」という生の感想は、自動運転車に対する不安を和らげる材料になる。

【参考】関連記事としては「自動運転、日産が世界初「自家用車レベル4」発売へ」も参照。

自動運転、日産が世界初「自家用車レベル4」発売へ

■「快適、怖い、それとも?」自動運転車の今後

テスラは安く乗れる代わりに待たされ、降車地点に戸惑う。Waymoは滑らかに走る場面が多い一方で、逆走や渋滞停止、荷物の置き去りといった想定外で信頼を揺らす。日産は滑らかで怖くないという声を集めつつ、まだ実証の段階にある。快適さと不安が同居する過渡期。それが、自動運転車に乗るという現在の状況だ。

自動運転タクシー市場やロボタクシー市場が実用化へ進むなかで、最後に問われるのは技術の華やかさではない。待ち時間、降車地点、荷物の扱いといった、乗る人の体験の細部だ。実際に乗った人の声は、その細部こそが普及の分かれ目だと教えている。自動運転車が本当に「快適」と言われる日が来るかどうかは、これら一つひとつの不安をどれだけ丁寧に消していけるかにかかっている。

記事監修:下山 哲平
(株式会社ストロボ代表取締役社長/自動運転ラボ発行人)

大手デジタルマーケティングエージェンシーのアイレップにて取締役CSO(Chief Solutions Officer)として、SEO・コンテンツマーケティング等の事業開発に従事。JV設立やM&Aによる新規事業開発をリードし、在任時、年商100億から700億規模への急拡大を果たす。2016年、大手企業におけるデジタルトランスフォーメーション支援すべく、株式会社ストロボを設立し、設立5年でグループ6社へと拡大。2018年5月、自動車産業×デジタルトランスフォーメーションの一手として、自動運転領域メディア「自動運転ラボ」を立ち上げ、業界最大級のメディアに成長させる。講演実績も多く、早くもあらゆる自動運転系の技術や企業の最新情報が最も集まる存在に。(登壇情報
【著書】
自動運転&MaaSビジネス参入ガイド
“未来予測”による研究開発テーマ創出の仕方(共著)




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