Waymo 高速道路上のコーンを吹き飛ばして警察沙汰に

ユーザーの投稿動画が話題に



米Google系の自動運転開発企業Waymo(ウェイモ)が、サンフランシスコ・ロサンゼルス・フェニックス・マイアミの全4都市で、高速道路でのロボタクシー走行を一時停止した。理由は高速道路の工事ゾーンでの走行性能の改善である。一般道でのサービスは4都市とも続いている。

きっかけとされるのは、5月19日にあるXユーザーが投稿した動画だ。高速道路の工事ゾーンでWaymoがコーンを吹き飛ばして加速し、警察に追われたと本人は訴えた。Waymo自身は特定のインシデントが停止の引き金だとは明言していない。だが洪水を理由とした一般道での停止とも重なり、ロボタクシー大手は二重の停止に直面している。


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■Waymo、高速道路でコーンを吹き飛ばし警察沙汰の動画が拡散

発端は、5月19日にXユーザーのElliot_slade氏が投稿した動画だった。高速道路で乗車中、道路が閉鎖されていたところでWaymoが速度を上げ、工事ゾーンのコーンを突き破り、トラックの間を縫うように走って警察に追われたと本人は訴えた。投稿には「これは高速道路向けにはまだ仕上がっていない」という趣旨の言葉も添えられている。

 

同氏はさらに、車内では遠隔のオペレーターらしき担当が介入し、シートベルトの着用を促したとも書いている。動画は瞬く間に拡散し、自動運転タクシーの高速道路走行への不安をかき立てた。ただし、警察に追われたという描写はあくまで投稿者本人の主張であり、警察やWaymoの公式発表で裏づけられたものではない。複数の海外メディアも、この点を本人の証言として慎重に報じている。


【自動運転ラボの視点】
個人投稿の動画が企業判断を動かす時代である。真偽の検証は要るが、SNS上の体験談が無視できない圧力になる構図は、自動運転の社会受容を考えるうえで象徴的だと言える。

【参考】関連記事としては「Waymoの自動運転タクシー、NYから追放か」も参照。

■Waymoが全4都市で高速道路走行を停止、理由は工事ゾーン対応

Waymoは5月21日、米メディアの取材に対し、高速道路でのロボタクシー走行を一時停止したと認めた。対象はサンフランシスコ・ロサンゼルス・フェニックス・マイアミの4都市である。理由は工事ゾーンでの走行性能を改善するためだとし、「最近の技術的な知見をソフトウェアに反映しており、近くこれらのルートを再開する見込みだ」とコメントした。

一方で、4都市とも一般道でのサービスは続いている。停止はあくまで高速道路に限った措置だ。Waymoは特定のインシデントが引き金になったとは明言していない。とはいえ、拡散した動画から2日後という時期の近さもあり、工事ゾーンでの不調が判断を後押ししたとの見方は強い。

高速道路走行は2025年後半に始まったばかりの機能だった。空港へのアクセスや移動時間の短縮を支える要であり、Waymoの大都市圏での拡大を後押ししてきた。その停止は、自動運転タクシー市場での拡大シナリオに影を落とす。

■洪水問題と重なる二重の停止、ナッシュビルでも不調続く

Waymoが直面しているのは、高速道路の問題だけではない。これに先立ち、洪水を理由とした一般道のサービス停止も起きていた。アトランタで車両が冠水した道に進入したことなどを受け、アトランタ・ナッシュビル・テキサスの各都市で運行を見合わせている。米運輸当局は、洪水関連で約3800台のリコールを確認した。

つまり、高速道路で4都市、洪水で複数都市という、異なる二系統の停止が同時に進む状態だ。中でもナッシュビルの状況は厳しい。4月7日のサービス開始以降、逆走や工事ゾーンでの不調、渋滞での立ち往生が相次いで報告されてきた。新しい都市で次々と難所にぶつかる姿が浮かび上がる。

■専門家が指摘する「ロングテール問題」

一連の不調について、ヴァンダービルト大学の研究者デレク・グロウデマンズ氏は、AIや自動運転車が新しい状況や稀なケースへの対応を苦手とする点を指摘する。これは「ロングテール問題」と呼ばれ、めったに起きない場面ほど学習データが乏しく、適切な判断が難しくなる。

同氏は、都市ごとに固有の難しさがあり、Waymoが扱う課題の難易度を引き上げていると見る。サービスが広がるほど、想定外の場面に出くわす機会も増える。洪水や工事ゾーンといった非定型の状況は、まさにロングテール問題が表面化しやすい領域だと言える。

■ロボタクシーにとって手強い「高速道路」

高速道路上のコーンを吹き飛ばし警察沙汰になったとされる一本の動画は、ロボタクシーにとって高速道路がいかに手強い舞台かを映し出した。高速道路走行は週100万回の有料乗車という目標達成の鍵であり、その停止が長引くほど拡大計画への負荷は増す。Waymoは再開時期を明示していない。

洪水と工事ゾーン、性質の異なる難所が同時に立ちはだかる今、問われているのは派手な事故への対処ではなく、稀で予測しにくい場面を地道に乗り越える力だ。自動運転タクシー市場の成熟は、こうした難所をどれだけ着実に越えられるかにかかっていると言える。

記事監修:下山 哲平
(株式会社ストロボ代表取締役社長/自動運転ラボ発行人)

大手デジタルマーケティングエージェンシーのアイレップにて取締役CSO(Chief Solutions Officer)として、SEO・コンテンツマーケティング等の事業開発に従事。JV設立やM&Aによる新規事業開発をリードし、在任時、年商100億から700億規模への急拡大を果たす。2016年、大手企業におけるデジタルトランスフォーメーション支援すべく、株式会社ストロボを設立し、設立5年でグループ6社へと拡大。2018年5月、自動車産業×デジタルトランスフォーメーションの一手として、自動運転領域メディア「自動運転ラボ」を立ち上げ、業界最大級のメディアに成長させる。講演実績も多く、早くもあらゆる自動運転系の技術や企業の最新情報が最も集まる存在に。(登壇情報
【著書】
自動運転&MaaSビジネス参入ガイド
“未来予測”による研究開発テーマ創出の仕方(共著)




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