GOタクシー、無人化で「初乗り40円」へ?

既存タクシーの13分の1まで低下?



出典:Flickr/Dick Thomas Johnson (CC BY 2.0) https://www.flickr.com/photos/31029865@N06/53135503392/

米国、中国を中心に実用化の波が押し寄せる自動運転タクシー。その波は日本をはじめとする世界各国に辿り着きつつある。

サンフランシスコなどでは、もはやスタンダードなサービスと言って良いほど市民権を得ており、ライドシェアなどの既存サービスとしのぎを削る存在となっている。


しかし、ビジネスとして大成するのはまだ先の話だ。事業が本格的に軌道に乗れば、その恩恵は運賃引き下げなどの形で利用者に還元される期待が高まる。一説には、運賃は既存タクシーの13分の1以下に激落ちするという。

最近上場して注目されている日本のタクシーアプリGOも、いずれは無人化で初乗りが40円の時代がやってくるかもしれない。こうした予測・考察もしつつ、自動運転タクシーの運賃の未来に触れていこう。

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■自動運転タクシーの現在の相場

Waymoは割高設定、既存タクシー同等や格安提供する動きも

まず、先行する自動運転タクシー各社の運賃相場を見ていこう。Waymoは運賃体系を公表しておらず、サービス提供エリアや距離、時間などにダイナミックプライシングを加味した運賃体系としている。

Google系Waymoが展開している自動運転タクシー=出典:Waymo公式ブログ

運賃比較アプリ開発を手掛けるobiが2025年6月に発表したレポートによると、1キロ当たりの運賃は1.4キロ以下まで26.5ドル(4,200円)、14~2.2キロのレンジでは11.6ドル(1,800円)、2.2~2.9キロでは8.2ドル(1,300円)、2.9~4.3キロでは5.7ドル、4.3~9.3キロでは3.5ドル(560円)となっている。


別の調査では、約4キロの移動で概ね15〜20ドル(約2,300〜3,100円前後)という。走行距離が長くなればなるほど割安となるが、有人ライドシェアサービスと比べると平均3割ほど高めとするデータもある。

テスラも都度運賃体系を変更しているが、2026年3月に適用開始した運賃は、初乗り運賃3ドル(480円)+1マイルあたり1.4ドル(230円)という。Waymoに比べると格安だ。

百度やPony.ai、WeRideといった中国勢は、概ね初乗り運賃が10~16元(210〜320円)で、走行距離1キロ当たり2~4元(43〜86円)に設定しているようだ。有人タクシーとほぼ同じ相場とされている。

ただ、百度が初乗り運賃4元(約83円)を実現した――とする情報も2024年に報じられており、価格破壊が進み始めている可能性も考えられる。


このほか、NIKKEI Mobilityによると、リマック・グループ傘下VerneがPony.aiの技術を導入してクロアチア・ザグレブで実用化した自動運転タクシーは、一律1.99ユーロ(約366円)の運賃で利用できるという。有人タクシーの数分の一の相場だ。

激安!中国で「初乗り料金が4分の1」の自動運転タクシー登場。人気確実か

■自動運転タクシー運賃の未来

現在は採算ラインがやっと見え始めた段階

一部では格安設定の自動運転タクシーが登場しているようだが、多くは既存タクシーと同程度、あるいは割高に設定されているようだ。

Waymoら先行勢はそれぞれ1,000台を軽く超えるフリートを有し、複数都市で無人サービスを実現するフェーズに達しているが、技術開発はまだまだ終わらない。また、さらなる展開に向けた先行投資も終わりが見えない状況だ。

各社とも事業としての採算ラインがようやく見え始めた段階であり、まだ収益を運賃に還元するフェーズには至っていないのだ。

人件費削減で運賃も激減?

今後、フリートがさらに増加し、遠隔監視を行う一人のオペレータが数十台、数百台の車両を担当できるほど安全性が高まれば、自動運転タクシービジネスは大化けする。

既存タクシー事業のコストの大半はドライバーなどに係る人件費が占めているが、無人タクシーはこの部分を大幅削減することができる。自動運転システムが安定化し、かつフリートが増加すれば、自動運転車の量産効果が生まれ、一台あたり1千万円台、場合によっては数百万円レベルまで価格を抑えることが可能になる。

ここで培われた自律走行技術を他のサービスに転用することもでき、ビジネスとして想像を超えるポテンシャルを発揮することが期待される。

13分の1に低下すると予測する調査も

米調査会社のARK Investment が2019年に発表したレポート「BIG IDEAS 2019」によると、消費者が支払う1マイル当たりの移動コストは、従来の有人タクシーが3.5ドルのところ、無人の自動運転タクシーは0.26ドルまで下がるという。約13分の1のコストだ。

このコスト低減・運賃低減効果が実際に発揮されたらどうなるか。東京都内を例にすると、同所の初乗り運賃は1キロまで500円となっている。それ以降は232メートルごとに100円が加算される。2キロ移動すれば900円の計算だ。

この運賃が13分の1となれば、初乗り約40円、232メートルごとに8円で、2キロの移動はわずか72円となる。既存バスなどよりも著しく安い運賃だ。10キロ移動しても約350円となる。

この水準の運賃体系が実現するころには、エンドツーエンドモデルの実装が本格化し、エリア制限のない自由な自律走行が可能になっていることが考えられる。移動サービスの価格破壊により自家用車は激減し、自動車メーカーのビジネス形態も大きく変化している可能性が高い。

有人タクシーは激減し、逆に「特別な体験」として独自の価値を創出していくのかもしれない。

■【まとめ】2030年代に運賃が大幅低下する?

現実的には、コスト激減段階が到来してもそのすべてが運賃に還元されるわけではなく、新規事業創出などに回される可能性が高い。それでも、運賃が2分の1、3分の1になるだけでもインパクトは非常に大きく、移動サービスに革命が起こるのではないだろうか。

E2Eモデルの進捗次第では、そのフェーズは2030年代に訪れることも考えられる。業界再編は必須で、移動サービスが今後どのように変化していくのか、要注目だ。

記事監修:下山 哲平
(株式会社ストロボ代表取締役社長/自動運転ラボ発行人)

大手デジタルマーケティングエージェンシーのアイレップにて取締役CSO(Chief Solutions Officer)として、SEO・コンテンツマーケティング等の事業開発に従事。JV設立やM&Aによる新規事業開発をリードし、在任時、年商100億から700億規模への急拡大を果たす。2016年、大手企業におけるデジタルトランスフォーメーション支援すべく、株式会社ストロボを設立し、設立5年でグループ6社へと拡大。2018年5月、自動車産業×デジタルトランスフォーメーションの一手として、自動運転領域メディア「自動運転ラボ」を立ち上げ、業界最大級のメディアに成長させる。講演実績も多く、早くもあらゆる自動運転系の技術や企業の最新情報が最も集まる存在に。(登壇情報
【著書】
自動運転&MaaSビジネス参入ガイド
“未来予測”による研究開発テーマ創出の仕方(共著)




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