テスラの自動運転試験、「ワンオペ」中に居眠り?

担当者、人員増強の訴えたらクビに?



テスラの自動運転システム「Full Self-Driving(FSD)」の試験運用を担当していた元管理職のハビエル・メドラノ氏が、人員増強の訴えを会社に無視された結果、安全管理体制が破綻して事故につながったとして、テスラを提訴した。


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■増員要求は聞き入れられなかった?

メドラノ氏は2024年10月から2025年5月まで、FSDテスト車両に同乗するセーフティオペレーターの管理業務を担当していた。業務内容は走行映像の確認や安全監査、事故対応、週ごとの同乗確認、緊急時のオンコール対応など多岐にわたっていた。

同氏によれば、管理者1人に対する適正なオペレーター数は15人程度とされていたが、担当するオペレーターは最終的に38人にまで膨れ上がっていたという。

適正人数を大幅に上回る人数を一人で管理することになったため、睡眠や食事すら十分に取れない過酷な状況に追い込まれた。そこで同氏は、上司へ「このままでは業務が維持できない」と人員増強を繰り返し求めた。

しかし、上司からは「仕事に押しつぶされているようには見えない」という趣旨の返答が返ってくるのみで、増員が認められることはなかったという。


■極度の疲労により…

同氏は、慢性的な人員不足と管理体制の不備は、やがて現場の安全を直接脅かす事態を引き起こしたと、出張している。

メドラノ氏の管理下で発生した事故の際、同氏は極度の疲労により「実際に眠っている最中」に事故対応を余儀なくされたという。その結果、現場のオペレーターへ不適切な指示を出し、オペレーターは危険な現場に約1時間留まることとなった。

さらにその間、酒や薬物の影響を受けていたとみられる第三者に接触される危険にも晒された。

メドラノ氏は、この事故は個人のミスではなく、慢性的な人員不足によって正常な安全管理ができない環境そのものが原因であると主張している。


■問題報告後、解雇される

事故後、メドラノ氏は正式な手続きを通じて、ヒューストン地区における人員不足や安全管理体制の問題を会社へ報告した。しかし、その後に同氏は解雇されることとなったという。

同氏は、この解雇が安全上の問題を指摘したことに対する「報復人事」であり不当解雇に当たるとして訴訟を起こした。職場への復職に加え、未確定だった株式報酬の補償、未払い賃金や将来給与、さらに精神的苦痛や経済的損失に対する損害賠償を求めている。

なお、テスラ側は現時点で本訴訟についてコメントを出していない。

■裁判で明らかになる事実に注目

テスラのFSDを巡っては、米道路交通安全局(NHTSA)による調査も進められている。今後、裁判でどのような事実が明らかになるのか、注目だ。

【参考】関連記事としては「テスラの自動運転機能(FSD)とロボタクシーを徹底解説」も参照。

記事監修:下山 哲平
(株式会社ストロボ代表取締役社長/自動運転ラボ発行人)

大手デジタルマーケティングエージェンシーのアイレップにて取締役CSO(Chief Solutions Officer)として、SEO・コンテンツマーケティング等の事業開発に従事。JV設立やM&Aによる新規事業開発をリードし、在任時、年商100億から700億規模への急拡大を果たす。2016年、大手企業におけるデジタルトランスフォーメーション支援すべく、株式会社ストロボを設立し、設立5年でグループ6社へと拡大。2018年5月、自動車産業×デジタルトランスフォーメーションの一手として、自動運転領域メディア「自動運転ラボ」を立ち上げ、業界最大級のメディアに成長させる。講演実績も多く、早くもあらゆる自動運転系の技術や企業の最新情報が最も集まる存在に。(登壇情報
【著書】
自動運転&MaaSビジネス参入ガイド
“未来予測”による研究開発テーマ創出の仕方(共著)




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