テスラ決算、ロボタクシーは3期連続未達 ウェイモと大差

完全無人走行で大差をつけられる



米EV大手テスラTesla)のロボタクシー事業が、当初描いていた拡大ペースに届いていない。7月22日のQ2決算説明会では、これまで「ハイパー指数関数的な拡大」という強気の言葉で語ってきたイーロン・マスクの発言トーンが後退し、より慎重な姿勢がにじんでいる。


説明会でテスラは、ロボタクシーの有料走行距離を累計250万マイルと初めて公開した。ただし運転席に安全監視員が同乗しない完全な無人走行は、そのうち38万マイルにとどまる。米Google系の自動運転開発企業ウェイモ(Waymo)の累計約2億2,000万マイルと比べると、完全無人では約580分の1という開きがあり、大差をつけられている。

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■ロボタクシーは計画に届かず、マスクの強気トーンが後退

テスラのロボタクシー事業は、当初掲げた拡大ペースに届いていない。7月22日のQ2決算説明会で、これまで「ハイパー指数関数的な拡大」という強気の言葉で語ってきたイーロン・マスクと経営陣は、より慎重なトーンに転じた。

未達は展開する都市の数にはっきり表れている。テスラは6月末までに7都市でサービスを始める計画を掲げていた。しかし実際に走り出したのはダラス、ヒューストン、マイアミの3都市にとどまる。決算発表の前日に、ようやくタンパとオーランドの追加を発表したばかりだ。

有料走行の勢いも鈍っており、初めて開示された数字は前進と停滞の両面をのぞかせた。自動運転タクシー市場をけん引してきたテスラの強気姿勢は、静かに後退したと言える。


【自動運転ラボの視点】
テスラの数字は初開示という前進だが、有料走行の失速と完全無人での大差は拡大の難しさを映す。派手な公約より、無人走行の実績を着実に積む段階に入ったと言える。

【参考】関連記事としては「テスラの「カメラのみ自動運転」、全米で禁止か」も参照。

■有料走行250万マイルを初公開、完全無人はわずか38万マイル

今回の決算でテスラが初めて明らかにしたのが、ロボタクシーの走行距離だ。有料の乗客を乗せた走行は累計250万マイルに達した。ただし、運転席に安全監視員が同乗せず完全な無人で走った距離は、そのうち38万マイルにすぎない。

しかも足元の勢いは落ちている。有料走行距離は第1四半期の約110万マイルから第2四半期は約70万マイルへと、前四半期比でおよそ36%減った。車両を増やしながら走行距離が縮むという、拡大とは逆の動きである。

■ウェイモとの大差、完全無人では約580分の1

この38万マイルという数字の意味は、先行するウェイモと並べると鮮明になる。米Google系の自動運転開発企業ウェイモ(Waymo)は、3月末時点で累計2億2,000万マイル超を完全自律で走っている。テスラの完全無人38万マイルは、その約580分の1にとどまる。


ウェイモの2億2,000万マイルはすべて完全自律の走行であるのに対し、テスラの有料走行250万マイルには安全監視員が同乗した分が含まれる。同じ無人走行どうしで比べれば、大差となる。

■遠のく「全米の半分」、かつての公約に慎重論

マスクはかつて、ロボタクシー網が「ハイパー指数関数的」に広がり、2025年末までに全米人口の半分が利用できるようになると語っていた。その公約は達成されないまま時が過ぎ、今回の決算では、なぜ展開が遅れているのかを説明する慎重な姿勢が目立った。

テスラは以前の決算説明会で、オーナーが自分の車をフリートに貸し出して収益を得る、Airbnbのような仕組みを将来像として示したこともある。ただし実現の時期は示されておらず、まずは目の前のロボタクシーサービスを安全に広げられるかが問われている。

■未達続きのテスラ、ウェイモとの大差は縮まるのか

初めて公開された走行距離は、テスラのロボタクシーが「これから」の事業であることを、期待と現実の両面で示した。250万マイルという数字は前進の証であると同時に、完全無人ではまだ38万マイル、ウェイモとは約580分の1という現状を突きつける。

拡大の勢いが鈍り、公約の時期が後ろへずれるなかで、マスクの言葉は強気から慎重へと重心を移した。派手な数字目標よりも、無人走行の実績を着実に積み上げられるか。ウェイモとの大差を縮められるかどうかは、次の四半期以降の走行距離が静かに答えを出していくことになるだろう。

記事監修:下山 哲平
(株式会社ストロボ代表取締役社長/自動運転ラボ発行人)

大手デジタルマーケティングエージェンシーのアイレップにて取締役CSO(Chief Solutions Officer)として、SEO・コンテンツマーケティング等の事業開発に従事。JV設立やM&Aによる新規事業開発をリードし、在任時、年商100億から700億規模への急拡大を果たす。2016年、大手企業におけるデジタルトランスフォーメーション支援すべく、株式会社ストロボを設立し、設立5年でグループ6社へと拡大。2018年5月、自動車産業×デジタルトランスフォーメーションの一手として、自動運転領域メディア「自動運転ラボ」を立ち上げ、業界最大級のメディアに成長させる。講演実績も多く、早くもあらゆる自動運転系の技術や企業の最新情報が最も集まる存在に。(登壇情報
【著書】
自動運転&MaaSビジネス参入ガイド
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