【ZMP特集#2】「交通楽者」へ 期待の自動運転タクシー デモは卒業、商業化へ—AI自動運転最前線・イノベーション・自動車革命

日の丸交通と実証実験スタート


連載第2回目では、株式会社ZMPの谷口恒社長が自動運転タクシーの構想を得たきっかけや日の丸交通と実施する実証実験の概要を紹介する。知られざるそのエピソードとは!?







谷口恒社長の故郷は、兵庫県姫路市だ。2013年夏、市内の香呂駅からタクシーに乗ろうとしたところ、谷口社長はタクシーが1台も駅にいなかったことに驚いた。

駅の周辺では何年も前から高齢化が進み、タクシー運転手の担い手が減り、タクシー会社が廃業していたことが原因だった。路線バスも運営会社の廃業により、年々本数が減っていることを知った。

車がないと不便な地域であるにも関わらず、タクシーも路線バスも消えていく——。交通弱者が日本に多数いることに直面した谷口社長。自動運転タクシーの構想が具体化したのは、このエピソードがきっかけだった。

「交通弱者」を「交通楽者」にする——。その思いが谷口社長の自動運転タクシー実現の原動力となった。

■構想わずか1年で自動運転公道試験

構想から1年後の2014年、ZMPは早々に自社開発の自動運転車両を使った公道実験を開始した。その後、神奈川県やZMPが本社を構える東京都文京区、東京オリンピック開催予定地である江東区などでもテスト走行を重ねた。

その後の公道実験の規制緩和によって、無人の遠隔走行実験をお台場エリアで実施・成功させたのが2017年12月。これは無人テストとしては日本初の取り組みとなり、日本の自動運転史にとっても歴史的な瞬間となった。

■2018年8月に遂に自動運転タクシー実証

そして2018年7月に開催された「ZMPフォーラム2018」で、ZMPはいよいよ自動運転とタクシーを組み合わせた自動運転タクシーの実証実験に乗り出すことを発表した。相方はタクシー大手の日の丸交通株式会社。公道実験のスタートは2018年8月27日だ。

実証実験は、東京都内でもタクシー需要が高い大手町・六本木間で実施。自動運転技術の実用化を加速することを目指した東京都の支援事業にも選定され、三菱地所株式会社や森ビル株式会社などの総合ディベロッパーも協力する。

ZMPが見据えるのは2020年の東京オリンピック・パラリンピック。この年にZMPは自動運転タクシーを実現させる構えだ。

■タクシー業界が直面する5つの課題

自動運転タクシーは鳥をモチーフにし、トヨタのミニバンを使用してデザインした。タクシーをキャラクター化することで街中で親しみを持ってもらいつつ、都心を駆け抜けているようなイメージも含ませた。

ZMPフォーラムの発表会で日の丸交通の富田和孝社長は「タクシー業界が未来に羽ばたくような願いを込めた」と語った。富田社長が自動運転タクシーにこれだけ期待を込めるにはわけがある。それがタクシー業界が直面している5つの課題だ。

日の丸交通の富田社長は「自動運転タクシーは需給バランスの調整弁とすべき」と説明した=撮影:自動運転ラボ

富田社長はZMPフォーラムで「ライドシェアの解禁危機」「自動運転車の到来」「深刻な人手不足」「タクシードライバーの高齢化」「働き方改革」を挙げ、特に10年後にはタクシードライバーの「リタイアゾーン」が現在の3.7%から34.6%に増加することに危機感を抱いていると語った。

その上で「日本の強みであるおもてなしのタクシーサービスはこれからも必要」と強調。自動運転とタクシーが共存することの必要性についても説き、「自動運転タクシーは完全にタクシードライバーの仕事を取り上げるのではなく、タクシーの補完的役割を果たす」と説明した。

■日本、そして世界も注目

「交通弱者」を「交通楽者」にする——。その谷口社長の目標にむけて、着実にプロジェクトは一歩一歩前に進んでいる。タクシー業界とタッグを組んで進めるこうした取り組みは、世界的にみても数えるほどもない。日本、そして世界がZMPの先進的な取り組みに注目している。

>>【ZMP特集】予告編(目次)

>>【ZMP特集】(1)「機は熟した」自動運転実用化へ

(閲覧中)【ZMP特集】(2)「交通楽者」へ 期待の自動運転タクシー

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